artscapeレビュー
ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours
2015年09月01日号
会期:2015/07/25~2015/09/23
国立国際美術館[大阪府]
日本では11年ぶりの大規模個展、会場は大阪オンリー、そして展示プランも作家自身がデザインするとあって、開催前から大きな話題となっていた本展。筆者は約1年前に同じ会場で行なわれたアンドレアス・グルスキーの個展と対比しながら鑑賞したが、グルスキーが強固・厳格・冷徹であるのに対して、ティルマンスはその逆であるような印象を受けた。もちろんティルマンスも妥協のない制作を行なう作家に違いない。しかし、どれだけ厳格なプランに基づいた作品であっても、繊細で柔軟でしなやかで、目前に現われた事象を一人称で受け止めるような作家性が感じられたのである。これは筆者の偏見かもしれないが、ドイツの写真といえば、ザンダーにせよ、ベッヒャー派にせよ、緻密なコンセプトに基づく厳格な作風が持ち味である。そうした土壌からティルマンスのような表現が生まれたことに興味をそそられる。
2015/07/24(金)(小吹隆文)
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