2020年11月15日号
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artscapeレビュー

三田村陽「hiroshima element」

2015年09月01日号

会期:2015/07/21~2015/08/08

The Third Gallery[大阪府]

関西在住で、広島とは縁もゆかりもない三田村陽。彼は約10年間にわたり月に一度広島を訪れて、スナップ写真を撮影し続けた。その作品をまとめた写真集『hiroshima element』の発行を記念して開催されたのが本展だ。広島は原爆と共に語られることが多いが、三田村は既成概念を避け、あえて白紙の状態から広島と向き合った。もちろん原爆にまつわる情景を撮った作品もあるが、あくまでも一モチーフに過ぎない。だとすれば、「なぜ広島なのか」との問いが脳裏をよぎるが、三田村は「むしろ自分もそれを知りたいのです」と言わんばかりに「わからなさ」を隠そうとしないのだ。むしろ戸惑いや問いかけの連続こそが彼の作品の本質であり、被写体と真摯に向き合う姿勢の積み重ねこそが作品の魅力なのだろう。「なぜ広島なのか」と思った人は、その問いかけこそ自分が既成概念にとらわれている証だと気付かされるに違いない。

2015/07/21(火)(小吹隆文)

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