artscapeレビュー
舟越桂──私の中のスフィンクス
2015年09月01日号
会期:2015/06/27~2015/08/30
兵庫県立美術館[兵庫県]
日本を代表する彫刻家、舟越桂の仕事を1980年代から今年まで、10年刻みの3期に分けて紹介する展覧会。ドローイングも合わせ約70点が展示された。80年代の大理石の玉眼を入れた独特な「顔」を要とする彫刻から、90年代の胴体を自然の「山」を象る特徴的な作品群や、通常ではありえない体のパーツを再接合したような作品群を通じて、2000年代から現在までの人間でも動物でもないユニセックスなスフィンクスの登場までを通観できる。舟越の第一期の彫刻作品がもつ、なにか宗教的なものを感じさせる静謐なたたずまいをした作品の魅力だけでなく、第二期にみられるボディのマッスと造形的な面白さと、第三期における異形の人像と裸体表現と自由な色使いの斬新さを堪能できる。今回とりわけ興味深かったのは、舟越のドローイング。彫刻制作のために作家の着想を描きとめるためのものであるが、そのドローイングのもつ趣きの深さと完成度に感嘆した。[竹内有子]
2015/08/14(金)(SYNK)
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