2019年07月01日号
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artscapeレビュー

JAGDA新人賞展2019 赤沼夏希・岡崎智弘・小林一毅

2019年07月01日号

会期:2019/05/28~2019/06/29

クリエイションギャラリーG8[東京都]

今年もJAGDA新人賞展の季節がやってきた。同賞には毎年、3人前後の受賞者が選ばれるが、受賞者のキャリアは大半が決まっている。大手広告代理店か大手メーカー、もしくは有名デザイン事務所に所属しているか出身者である。いずれも広告の世界で敏腕を振るってきた実績が受賞につながる場合が多いのだ。しかしたまに例外もいる。今年の受賞者のひとり、岡崎智弘(1981年生まれ)もそうではないか。39歳以下という対象年齢もギリギリなうえ、岡崎は広告よりも、映像制作や展覧会の空間構成などで独特のセンスを発揮し、注目されてきたデザイナーだからだ。今年の受賞者に岡崎の名前が入っていたこと自体、正直、とても驚いた。逆に言えば、彼が受賞することで、JAGDA新人賞の懐の深さを見たような気もした。

岡崎の作品は、2018年の個展のポスターや出品作品、空間構成、映像「イメージの観測所」、また博物館・放送局の企画展(「デザインあ」展)の出品作品「概念のへや じかん」、同グッズ「しめじの解散!」などである。まさにNHK Eテレの子ども番組「デザインあ」での「解散!」をはじめとする映像制作こそ、岡崎の真骨頂と言えるだろう。これは身の周りのものの部品や要素をバラバラに分解し、それらを体系的に並べ、ものの成り立ちを観察する映像だ。コマ撮りによる緻密な作業にはただただ脱帽するばかりだが、何しろ映像がユニークなので、本人がもっとも楽しんでつくっていることが伝わる。そこが岡崎の作品の魅力であり、本展ではかなり異彩を放っていた。

展示風景 クリエイションギャラリーG8

ほかの受賞者は博報堂に所属する赤沼夏希(1990年生まれ)、資生堂に所属したのち、独立した小林一毅(1992年生まれ)である。赤沼が手がけた美濃吉食品「みやこの鯖寿し」のロゴや一連のポスターは潔く、爽やかで、古色蒼然となりがちな老舗料理店のイメージを覆す、好感の持てるグラフィックデザインだった。一方、資生堂で商品広告やパッケージデザインを手がけてきた経験を持つ小林は、本展では個展のポスターや自主制作作品を中心に出品しており、イラストレーションによる大胆なアイコンが印象的だった。来年はどんな若手デザイナーが選ばれるのだろう。また良い意味での裏切りを期待したい。

展示風景 クリエイションギャラリーG8


公式サイト:http://rcc.recruit.co.jp/g8/exhibition/201905/201905.html

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2019/06/08(杉江あこ)

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