2019年12月01日号
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artscapeレビュー

FUJIFILM SQUARE 企画写真展 11人の写真家の物語。新たな時代、令和へ 「平成・東京・スナップLOVE」 Heisei - Tokyo - Snap Shot Love

2019年07月01日号

会期:2019/06/21~2019/07/10

FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)[東京都]

ややベタなタイトルだが、とても活気のある面白い内容の展覧会だった。出品作家は有元伸也、ERIC、大西正、大西みつぐ、オカダキサラ、尾仲浩二、中野正貴、中藤毅彦、ハービー・山口、原美樹子、元田敬三の11名。彼らが平成時代に撮影したそれぞれの代表作が、壁にぎっしりと並んでいる。

平成時代の30年間は、彼らのような「ストリート・スナップ」の撮り手にとっては苦難の時代だった。「肖像権」、「個人情報」といった言葉が一人歩きして、路上で自由に撮影することがむずかしくなってきたからだ。だが展示された作品を見ると、あらかじめ先入見なしに街を徘徊し、目に飛び込んでくるモノ、人、出来事に向けてシャッターを切っていく行為が、今なお充分に魅力的なことがよくわかる。一見フラットに均質化しつつあるように見える都市の路上にも、次に起こるかわからない未知の可能性が秘められている。それを定着していくのに、スナップショットという方法論以外は思いつかない。

出品作家の年齢を見ると、1950年生まれのハービー・山口が最年長で、有元伸也以下1950〜70年代前半生まれの写真家たちが並ぶ。70年代後半以降に生まれたのはERIC(1976年生まれ)、オカダキサラ(1988年生まれ)の2名のみである。こうしてみると、若い世代がやや手薄なのが気になる。そのことにも、スナップショットを撮りにくくなったというSNS時代の空気感が反映しているのではないだろうか。あと何年か後に「令和・東京・スナップLOVE」展が開催可能になるくらいの、撮り手の厚みを保ち続けていってほしいものだ。

2019/06/23(日)(飯沢耕太郎)

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