artscapeレビュー

カタログ&ブックス│2019年9月

2019年09月15日号

展覧会カタログ、アートやデザインにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
※hontoサイトで販売中の書籍は、紹介文末尾の[hontoウェブサイト]からhontoへリンクされます





かたちは思考する 芸術制作の分析

著者:平倉圭
発行:東京大学出版会
発行日:2019年9月27日
定価:3,800円(税抜)
サイズ:A5判、360ページ

セザンヌからスミッソンに至る近現代美術、ゴダールの3D映画、トンネル工事の記録写真、そして同時代の演劇やダンスまで、多様なジャンルを包摂してひろがる「芸術」という営みを、一貫した方法論的精密さで分析する。芸術作品を見ることを通して、見る「私」を作り変える、驚異の芸術論。

ドナルド・ジャッド 風景とミニマリズム

著者:荒川徹
装幀:宇平剛史
発行:水声社
発行日:2019年8月23日
定価:3,000円(税抜)
サイズ:A5判並製、240ページ

《ミニマリズム》という用語がさまざまな領域に浸透している現在、はたして美術における《ミニマリズム》とは何であったのか?
現代アートを代表する美術家、ドナルド・ジャッド(1928-94)の絵画、オブジェクト作品、リノベーション建築から家具制作に至るキャリアを中心に、作品構造と形態の変化を克明に辿りながら、いかにしてミニマリズムの芸術が人工的な風景や工学的構造などに触発されてきたかを追求する。

SPECULATIONS 人間中心主義のデザインをこえて

監修・編著:川崎和也
編著:ライラ・カセム、島影圭佑、榊原充大、木原共、古賀稔章、ドミニク・チェン、太田知也、砂山太一、津田和俊、高橋洋介
寄稿:ヤンキー・リー、大橋香奈
翻訳:藤吉賢
執筆・編集協力:白米航
翻訳協力:垣貫城二
デザイン:村尾雄太
発行:ビー・エヌ・エヌ新社
発行日:2019年7月25日
定価:3,200円(税抜)
サイズ:B5判変型、312ページ

社会も、テクノロジーも、デザインを取り巻く利害関係も、ますます複雑化し混迷を極める世界において、今デザインはどこにあり、またデザインに何が求められているのでしょうか。本書で紹介するのは、そんな世界にあっても倫理を手放すことなく実践し、デザインと社会、そして実践と理論の接地面に光を射してくれる、合計99の「デザインリサーチ」です。本書では、今着目すべきデザインの問題系を明らかにするために、合計3パート/9つの章を設け、それぞれのテーマごとに11の事例と多様な編著者による導入テキストを収録しています。

瓦礫の未来

著者:磯崎新
発行:青土社
発行日:2019年8月23日
定価:2,400円(税抜)
サイズ:A5判、273ページ

2019年プリツカー賞受賞。世界的建築家による最新の著作。
天災と人災による破壊のさなかで、建築家は失った者たちや虐げられた者たちと語り合い、新たな点と線を描き、設計する。都市の政治的・経済的・メディア的状況に確かな視線を送り届けるための大胆な提言書。

イメージを逆撫でする 写真論講義 理論編

著者:前川修
発行:東京大学出版会
発行日:2019年8月14日
定価:4,400円(税抜)
サイズ:四六判、324ページ

ベンヤミン、シャーカフスキー、バッチェン、バルト。これまで写真について紡がれた代表的な言説をたどり直し、そこに伏在する二項対立を撹乱し「逆撫で」することで見えてくる写真理論の新たな相貌。イメージ=写真がますます遍在し覆い尽くす世界に近づく橋頭堡の構築のために。著者待望の写真論。

東南アジアリサーチ紀行──東南アジア9カ国・83カ所のアートスペースを巡る

著者:小川希
翻訳:弘川ゆきえ、本間順子、佐藤彩乃、地主麻衣子、高石晃、池田佳穂、本村桜アリス、太田エマ、ジョナサン・ウィストン、スザンヌ・ムーニー、ムジーブ・カーン
デザイン:原田光丞
イラストレーション:和田亜矢子
発行:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
発行日:2019年8月7日(新装改訂版)
定価:1,200円(税抜)
サイズ:四六判、272ページ

小川希(Art Center Ongoing代表)が2016年の3ヶ月間、東南アジア9カ国を巡り、83カ所のインディペンデントなアートスペースをリサーチした旅の記録を収録した書籍の新装改訂版。
東南アジアのスペース情報の更新に加え、東南アジアの多様な「コレクティブ」の在り方に触発されて立ち上げた「Ongoing Collective」での実践と葛藤、そして可能性について綴られた「『おわりに』の『つづきに』」を新たに収録しました。

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オルタナティヴ・アートスクール ──第4回 自分たちに必要なプロジェクトをつくる アートプロジェクトの0123|白坂由里:トピックス(2019年04月15日号)

wow, see you in the next life. /過去と未来、不確かな情報についての考察 The magazine vol.1

企画:コンタクトゴンゾ+YCAMバイオ・リサーチ
編集:三ヶ尻敬悟(コンタクトゴンゾ)、吉﨑和彦(山口情報芸術センター[YCAM])
デザイン:小池アイ子
発行:山口情報芸術センター[YCAM]
発行日:2019年8月9日
定価:1,000円(税込)
サイズ:23×15.5cm、64ページ

山口情報芸術センター[YCAM]で開催されるcontact Gonzo+YCAMバイオ・リサーチ「wow, see you in the next life./過去と未来、不確かな情報についての考察」(2019年10月12日〜2020年1月19日)に関連して制作されたマガジンの1号目。会期前から会期末にかけて、contact Gonzoメンバーの塚原悠也によるSF小説などを所収したマガジンが3回発行される。山口情報芸術センター[YCAM]にて販売中。

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過去と未来、不確かな情報についての考察──YCAMバイオ・リサーチとcontact Gonzoがとりくむ身体表現(第2報)|津田和俊/吉﨑和彦:キュレーターズノート(2019年09月15日号)
身体はどこから来て、どこへ行くのか──YCAMバイオ・リサーチとcontact Gonzoがとりくむ身体表現|津田和俊/吉﨑和彦:キュレーターズノート(2019年06月01日号)

しなやかな闘い ポーランド女性作家と映像 1970年代から現代へ

執筆:アンダ・ロッテンベルク、アグニエシュカ・レイザヘル、マリカ・クジミチ、岡村恵子(東京都写真美術館)
編集:岡村恵子(東京都写真美術館)
デザイン:木村稔将
発行:東京都写真美術館
発行日:2019年8月
定価:2,500円(税抜)
サイズ:A4変形、200ページ

本展より代表的な出品作品と当館学芸員と関係者のテキストを掲載。全199頁。





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2019/09/17(火)(artscape編集部)

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