2022年09月15日号
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artscapeレビュー

「CAFAA賞2020-2021」ファイナリストによる個展 AKI INOMATA 「彫刻のつくりかた」

2021年07月01日号

会期:2021/06/01~2021/06/14

公益財団法人現代芸術振興財団 事務局[東京都]

六本木ピラミデビルにもずいぶんギャラリーが増えてきた。ビル全体をギャラリーコンプレックスにしてまえという森ビルの思惑か。ぐるっと回ってみたが、ここ以外は予約制になっていたのでスルーした。ギャラリー巡りにいちいち予約なんかしてられるか!

「CAFAA」は現代芸術振興財団が主催するアーティスト・アワード。2015年から始まり、今回はAKI INOMATA、田口行弘、金沢寿美の3人が受賞、それぞれここで2週間ずつ個展を開いていく。今回はその第1弾。INOMATAはヤドカリのヤド(建築)を3Dプリンタで製作し、実際にヤドカリに住まわせるという作品で知られるが、今回は無骨なかたちの木塊を何本か置いている。ヘタクソ以前の造形だが、それもそのはず、これはビーバーに角材をかじらせた彫刻なのだ。いや正確にいえば、これを「彫刻」と呼ぶのかと問題提起しているのだ。

ビーバーもただでたらめにかじっているわけではなさそうで、硬いところやまずい部分は避けるため、結果的に人物像に見えなくもない木塊もできる。もちろんそれはビーバーの美意識の反映ではないけれど、それなりに必然性のあるかたちであることは確かだろう。木の表面を年輪に沿って削ったジュゼッペ・ぺノーネの作品を思い出すが、ぺノーネが明確な芸術的意図の下に彫っているのに対し、ビーバーはただ本能に任せてかじっただけ。だからビーバーがつくった造形というより、木に内在する秩序がビーバーをして彫らせたかたちというべきだが、それを芸術的意図の下にやらせたのはINOMATAにほかならない。それは果たして「彫刻」なのか、「芸術」なのか。

2021/06/05(土)(村田真)

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