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大阪中之島美術館「Hello! Super Collection 超コレクション展 ─99のものがたり─」展ほか

2022年03月15日号

[大阪府]

大阪の新型コロナの感染者数が多かったので、準備室が設置されてから約30年、ようやく迎える開館がさらに延期になるのではと心配していたが、杞憂に終わった。1月にはすぐ美術館の長期閉館を決定した青森県とは違う対応である。実はオープン前に完成した建築の内部を一度見学する機会があったが、やはり大勢の来場者が入り、長いエスカレータや階段による人の動きや、大空間の吹き抜けのスケール感がわかった状態を体験するのが、ダイナミックでいい。立体的に人が行き交うさまは交通施設のようでもあるが、《大阪中之島美術館》(2022)は都市型の新しい巨大美術館として誕生した。設計を担当したのは、コンペで巨匠や大手設計組織を破り、最優秀案に選ばれた遠藤克彦である。次世代につながるという意味で、ようやく1970年生まれの建築家が、これだけ大きな公共建築を手がけたことも祝福したい。黒い直方体が浮かぶ外観だが、内部は外への眺望が効果的に計算されている。そしてフランスの現代建築を想起させる艶をもったデザインだ。


《大阪中之島美術館》外観



《大阪中之島美術館》5階



《大阪中之島美術館》吹き抜け



大阪中之島美術館 開館前の展示の歴史


開館記念の「Hello! Super Collection 超コレクション展 ─99のものがたり─」は、凄いヴォリュームだったが、ただ作品を並べるだけでなく、実業家の山本發次郎らのコレクションをもとにした作品収集の経緯もあわせて紹介している。もちろん、まずは大阪に関わりのある近現代の作品が見所なのだが、ほかに特徴的なのは、1992年から家具や食器などを含むデザインのコレクションも進めていたこと。そして閉館した大阪のサントリーミュージアムから預かったポスターコレクションも充実していた。メインの展示室は上部の4、5階だが、2階の多目的スペースでは、一般から提供されたホームビデオをもとに林勇気らが参加したホームビデオ・プロジェクト「テールズアウト」も開催している。また隣接する国立国際美術館の「感覚の領域 今、『経験する』ということ」展では、コロナ禍が世界共通の体験だと再認識させる大岩オスカール、壁に囲まれた空間ごと作品環境を創出する名和晃平を楽しみ、美術館の壁が動く(!)、いや来場者が押して動かす飯川雄大の作品に驚く。そして京阪電車 なにわ橋駅のアートエリアB1の鉄道芸術祭vol.10「GDP THE MOVIE〜ギャラクティック運輸の初仕事〜」は、contact Gonzoとdot architectsが共同制作し、ゆるいSF映画の撮影所兼映画館兼メイキング展示を設置していた。大阪の中之島が、現代アートの拠点として盛り上がっている。


「Hello! Super Collection 超コレクション展」の最後は倉俣史朗《ミス・ブランチ》



飯川雄大「デコレータークラブ」(2022)



鉄道芸術祭vol.10「GDP THE MOVIE〜ギャラクティック運輸の初仕事〜」展示風景


Hello! Super Collection 超コレクション展 ─99のものがたり─

会期:2022年2月2日(水)~3月21日(月・祝)
会場:大阪中之島美術館
(大阪府大阪市北区中之島4-3-1)

感覚の領域 今、「経験する」ということ

会期:2022年2月8日(火)~5月22日(日)
会場:国立国際美術館
(大阪府大阪市北区中之島4-2-55)

鉄道芸術祭vol.10「GDP THE MOVIE〜ギャラクティック運輸の初仕事〜」

会期:2021年11月20日(土)~2022年2月27日(日)
会場:アートエリアB1
(大阪府北区中之島1-1-1 京阪電車なにわ橋駅地下1階)

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