2024年02月15日号
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artscapeレビュー

笠間悠貴企画展 小山貢弘「風景の再来 vol.2 芽吹きの方法」

2023年06月15日号

会期:2023/05/14~2023/06/03

photographers’ gallery[東京都]

本展は笠間悠貴の企画による連続展「風景の再来」の第二弾として企画された。小山貢弘は日本大学文理学部ドイツ文学科卒業後に、東京綜合写真専門学校で学び、2008年以来グループ展などで作品を発表してきた。2021年には川崎市市民ミュージアムの企画で、池田葉子との共著の写真集『Trail』を刊行している。

小山はこれまで一貫して、あきるの市から川崎市に至る多摩川中流域の河川敷に4×5インチ判の大判カメラを向けてきた。そこでは、草や樹木が生い茂り、石ころや廃棄されたゴミなどと相まって、輪郭も構造も判然としない混沌とした眺めを見ることができる。小山はその光景の細部を緻密に辿りながら、写真のフレームの中におさめていく。微妙な光と影の移ろい、手前から奥にかけてのパースペクティブにも目を凝らして、とりとめのない、だが見飽きることのない画面を織り上げる。そうやってできあがった、さまざまな植物、モノ、土壌などの配置・構成は、とてもよく練り上げられており、そのフレームワークの達成度は比類ないものがある。

だが問題は、そのようにして得られた緻密かつ膨らみのある画像が、どこに向かおうとしているかだろう。写真作品としての美学的な完璧さを探求するのか、それとも現代社会の一側面を指し示す指標を提示するのか、あるいは多摩川の河川敷という地理的な条件にこだわっていくのか、そのあたりの道筋はまだはっきりとは見えない。「画面」としての完成度を梃子にして、次のステップに進むべき時期に来ているのではないだろうか。


公式サイト:https://pg-web.net/exhibition/fukeinosairai-vol-2/

2023/05/19(金)(飯沢耕太郎)

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