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カタログ&ブックス | 2023年10月1日号[テーマ:荒川修作+マドリン・ギンズと「意味」の湖を楽しく泳げるようになる5冊]
2023年10月01日号
「意味」とは何か。「荒川修作+マドリン・ギンズ《意味のメカニズム》全作品127点一挙公開 少し遠くへ行ってみよう」展(セゾン現代美術館にて2023年10月31日まで開催)で出会えるのは、我々が思考のなかで圧倒的な力をもつ言語や論理を超えて、意味の構築を探る実験場。“少し遠く”への補助線となる5冊を紹介します。
今月のテーマ:
荒川修作+マドリン・ギンズと「意味」の湖を楽しく泳げるようになる5冊
1冊目:22世紀の荒川修作+マドリン・ギンズ 天命反転する経験と身体
Point
死なないための方法を模索していた荒川の、没後10年に編まれた書籍。巨匠から若手まで幅広い書き手による論考・エッセイだけでなく、三鷹天命反転住宅でのワークショップのレポートや、そこに住む人々の素朴な所感に触れられる対話録まで、さまざまな形の荒川+ギンズとの接点や思い入れに触れられる賑やかな一冊。
2冊目:荒川修作の軌跡と奇跡
Point
荒川の生涯通じての作品や仕事、その変遷をある程度俯瞰して知りたい人におすすめ。生前の荒川+ギンズと深い親交のあったダダイスム・シュルレアリスム研究者の塚原史氏だからこその親密な視点が端々で垣間見えます。豊富な図版や対談を通して、荒川が一貫して希求していたものが読む前よりも立体的に見えてくるはず。
3冊目:絶滅へようこそ 「終わり」からはじめる哲学入門
Point
上で紹介した『22世紀の〜』にも寄稿する気鋭の哲学研究者・稲垣諭による論考集。人類はすでに絶滅に向かっているという仮定に立って考える、現代の私たちの「生」との距離。その思索の入り口として登場する、iPhoneなどのデバイスや、セルフレジ、K-POPのアイドル、村上春樹といったトピックの並びも絶妙。
4冊目:数学する身体
Point
学生時代に荒川に出会い衝撃を受け、数年後に三鷹の養老天命住宅に入居。晩年の荒川と時間を共にし、大きな影響を受けた1985年生まれの数学者・森田真生のデビュー作。本書で綴られる荒川とのエピソードの面白さはもちろんながら、身体的な思考の道具として数学を捉え直すきっかけとして、数学アレルギーの人こそぜひ。
5冊目:考える練習
Point
荒川にまつわるテキストをたびたび書いている小説家・保坂和志による語りの連なり。文学についてだけでなく社会問題、スポーツ、経済といった身近な話題を通じ、いかに論理的思考や「わかる」ことから遠くに行って思考できるかのを模索をテーマにしているという点でも《意味のメカニズム》との強い共振を感じさせます。
荒川修作+マドリン・ギンズ《意味のメカニズム》 全作品127点一挙公開 少し遠くへ行ってみよう
会期:2023年4月22日(土)~10月31日(火)※会期延長
会場:セゾン現代美術館(長野県北佐久郡軽井沢町長倉芹ケ沢2140)
公式サイト:https://smma.or.jp/exhibition/shusakuarakawamadelinegins
2023/10/01(日)(artscape編集部)