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第12回文化庁メディア芸術祭

2009年03月01日号

会期:2009/02/04~2009/02/15

国立新美術館[東京都]

毎年恒例のメディア芸術祭。昨年に比べて会場がコンパクトになっていたものの、例年どおりテクノロジー系のメディア・アートが幅を利かせていた。そうしたなか、ひときわ際立っていたのが、Mark FORMANEKの《Standard Time》という映像作品。木材を組み合わせて巨大なデジタルカウンターをつくり、時間の進行にあわせて、その数字を人力で組み替えていく様子を映し出すもの。原則的に一分以内に作業を完了させているけれど、たとえば「6」から「7」への作業はかなりハードで、その必死さが笑える。重労働を捨て去りながら身体感覚を限りなく延長させていくハイ・テクノロジー全盛の時代にあって、もう一度私たちの感覚を身体労働にシフトダウンさせる、傑作だ。

2009/02/13(金)(福住廉)

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