artscapeレビュー
カンパニー マリー・シュイナール「オルフェウス&エウリディケ」
2009年03月01日号
会期:2009/02/06~2009/02/08
北千住・シアター1010[東京都]
10人ほどのダンサーたちは、男女とも黄金のニップレスのみの裸身。真っ白な舞台に白い肌が際だつ。奇声を拾うマイクとか、身体を拡張させる衣装・オブジェとか、エロティックかつユーモラスきわまりないポーズとか、シュイナールらしい仕掛けは、とてもかわいく、ポップで、美しい。とはいえ、彼女の最大の魅力はそうした収まりのよいポイントではなく、観客を圧倒するフィジカルなプレゼンスにあるといいたい。中盤、長尺のラッパを轟音で吹き鳴らし、全員がバラバラで狂ったように踊りまたポーズをひたすら決め続けるところは、紅潮する肌とか揺れる胸など、目の前で躍動する身体の激烈さに、ひたすら高揚してしまった。「揚がる」感覚へ向けてすべての要素が結集している。そうした戦略に、舞台表現としてのダンスの今日的な指針が示されている気がした。
カンパニー マリー・シュイナール:http://www.mariechouinard.com/
2009/02/08(日)(木村覚)