artscapeレビュー

村田真のレビュー/プレビュー

頭と口「WHITEST」

会期:2016/11/05~2016/11/06

KAAT 神奈川芸術劇場[神奈川県]

ジャグリング公演というので、大道芸の好きな息子と行ってみる。でも想像していたものとずいぶん違って、たしかにジャグリングの要素もあるけど、舞踏的でもあれば新体操っぽくもあるし、あまつさえカーリングの要素まで入っていて、おもしろいといえばおもしろいのだが、ジャグリングとして見ても舞踏として見ても物足りなさが残る。息子は満足しなかった模様。

2016/11/06(日)(村田真)

かんらん舎(1980-1993):Daniel Buren/Tony Cragg/Imi Knoebel

会期:2016/10/22~2016/11/19

ギャラリー小柳[東京都]

ギャラリー小柳で「かんらん舎」の展覧会? そもそもかんらん舎のことを知らない人も多いと思うので簡単に紹介すると、70年代末ごろは夭逝の画家の作品を扱っていたが、80年代に入るといきなりヨーロッパの現代美術に転換。それもトニー・クラッグやダニエル・ビュレンら当時最先端のアーティストに新作を依頼するという徹底ぶり。スペースは小さいけれど国際的に注目された画廊なのだ。今回はどうやらギャラリー小柳がかんらん舎の展覧会を開くのではなく、かんらん舎がギャラリー小柳を借りて展覧会を開いたということらしい。どっちでもいいけど。出品はダニエル・ビュレン、トニー・クラッグ、イミ・クネーベルの3人。ビュレンは黒と緑のストライプ模様の透明ガラスを壁に止めた《壊れたガラス》、クラッグはペンキがはがれかけた漂流物の木を壁に三角形に配置した《山と湖》と、ところどころ穴の開いた磨りガラスの器をテーブル上に並べた《静物》、クネーベルは木の板に荒々しく傷をつけて黒く塗り込めた《黒い絵》。それなりに時代を感じさせるが、特にクネーベルの作品には心がざわめく。

2016/11/04(金)(村田真)

開館90周年記念 アーカイブズ資料展示 造形講座と東京都美術館

会期:2016/11/03~2016/12/04

東京都美術館[東京都]

1926年開館の東京都美術館も今年で90歳。新築移転してからでも40年以上たつ。なぜ都美館は団体展の貸し会場となったのか、戦時中どれだけ戦争画展が開かれたのか、読売アンデパンダン展における前衛美術家との攻防はどうだったのか……。その1世紀近い歴史の資料を公開するのかと期待して行ってみたら、ぜんぜん違う。立体造形講座とか平面造形講座とか、都美館で開かれていた造形講座の資料しかない。しかもラウンジの片隅にパネルを並べただけの小展示。チラシをよく見たら、小さく「造形講座と東京都美術館」とサブタイトルにあるのを見逃していた。ガーン! すぐ帰ったわ。

2016/11/04(金)(村田真)

世界遺産 ラスコー展 ~クロマニョン人が残した洞窟壁画~

会期:2016/11/01~2017/02/19

国立科学博物館[東京都]

待望のラスコー展! これが国立西洋美術館ではなく、隣の国立科学博物館で開かれるところに、洞窟壁画の立ち位置が示されている。ラスコーの洞窟壁画は「西洋美術」の範疇に入らないばかりか、美術史の枠からも外れた考古学の対象であるということだ。会場に入るとまず、ラスコーの洞窟壁画が発見された経緯や洞窟の構造がパネルやマケットによって紹介され、使われた顔料やランプ、石器などが展示されている。つい忘れてしまいがちだが、そもそも洞窟内は真っ暗で、岩肌は平らでも垂直でもなく凸凹しており、絵具も筆もないなかで、記憶と想像を頼りに絵を描いたという事実。チンパンジーも絵を描くが、あれは人間が画材を与えたから描けるのであって、画材も環境も整っていないなかで絵を描いたというのは、やはり人類にとって大きな一歩というか転換点だったに違いない。
ひととおり予習をしたあとで、いよいよ実物大レプリカの登場となる。これは壁画のなかでも《黒い牝ウシとウマの列》《泳ぐシカ》《井戸の場面》など5場面を凹凸まで精密に再現したもの。もちろん洞窟内部に入ったほどの臨場感はないけれど、最初に絵を描いた原始人の気分をそれなりに味わわせてくれる。ただ一定時間ごとに明かりが消えて線刻された部分だけライトアップするのは、啓蒙的サービスのつもりだろうけど余計なお世話だ。どうせやるなら明かりをランプの焔のようにゆらゆら揺らめかせて、当時の人たちには動物の絵がどのように見えていたか(たぶん動いているように見えたのではないか)を示してほしかった。

2016/11/04(金)(村田真)

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蜷川実花展「Light of」

会期:2016/10/21~2016/12/03

小山登美夫ギャラリー[東京都]

花火を撮った写真を中心とする展示。花火を長時間露光で撮影したり、特殊なフィルターをかけて撮ったりすると幻想的な幾何学模様が得られるが、蜷川はそんな小細工はしない。あくまで手持ちでバシバシ撮る。いってみれば抽象表現主義。こういう花火の写真はありそうでなかったと思う。そこがいい。

2016/11/02(水)(村田真)