artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻3年生展覧会「空中にて」
会期:2015/12/18~2015/12/26
ここでも藝大の展覧会だ。学部3年生なので、翌年に控えた卒業制作展の予行演習のつもりかもしれない。でも油画専攻なのに、ぱっと見、絵画は半分くらいで、あとはインスタレーションだったりメディアアートだったりする。いや実際には絵画はもっと多いはずだが、インスタレーションやメディアアートのほうが目立つから絵画の存在感が薄く感じられるのだろう。それがまた絵画離れを加速させているのかもしれない。肝腎の絵画も少女マンガやイラストに毛が生えたような幼稚な発想の作品が多くて、おじさんは不満だ。
2015/12/23(水)(村田真)
2015 SHORT SHORT
会期:2015/12/15~2015/12/24
博士展に合わせて油画技法材料研究室の修士1年の成果発表をやってたのでついでに見たけど、別に見なくてよかったかも。
2015/12/23(水)(村田真)
東京藝術大学大学院美術研究科 平成27年度 博士審査展
会期:2015/12/15~2015/12/24
東京藝術大学大学美術館+絵画棟など[東京都]
藝大博士課程の展示。専攻別に見ると、文化財保存学が最多の6人で、先端芸術表現5人、日本画、油画、芸術学が各4人、彫刻3人、工芸2人、デザイン、建築が各1人と続く。やはり金にならないジャンルほど大学院に残るようだ。しかも博士課程まで行くとドツボにはまり、ますます売れそうにないもの、役に立たないものをつくってしまいがち。展示を見ると、かたわらに置かれた論文に目を通せばもう少し理解できるだろうけど、そんなヒマもないので、つい視覚的にインパクトのあるものに足を止めてしまう。菱山裕子はしばしば銀座の画廊で個展を開いてきたベテランといっていいが、今回は空気を送り込んで膨らませる植物状(またはタコ足状)のバルーンを用いている。これまでの金網の彫刻から脱却か。川島大幸は半透明の光学ガラス製の彫刻を回転させ、そこに光を当てて壁に反射させている。これはガラスの彫刻がメインなのか、光の反射がメインなのか……まあどっちも重要だろうけど。笹川治子はベニヤ製の人間魚雷をつくり、天井から吊るしている。いかにもチープなつくりで笑えるが、実は大戦末期に粗造された人間魚雷もこれと大して変わりがなかったとしたら恐ろしくなる。
2015/12/23(水)(村田真)
東京都高等学校文化祭 美術・工芸部門 第26回 中央展
会期:2015/12/13~2015/12/20
東京都美術館[東京都]
都立高校文化連盟の美術・工芸部門の発表会。ざっと数えて120校を超す高校から各7、8人参加してるから1000点近くありそうだ。それを公募展示室の1フロアに展示しているので3段掛けは当たり前、最高6段掛けのところもあった。やはり学校によってレベルもカラーも画材もサイズも異なるので、見比べるとおもしろい。雪舟やミレーやゴッホらの模写が多い拝島高校は先生の教育方針だろうか。さすがにテクが抜きん出ているのは総合芸術高校だが、ほかにレベルが高かったのは若葉総合高校、両国高校、東高校、清瀬高校、国分寺高校、八王子桑子高校、片倉高校など。とくに森の絵と陶製のキノコや小動物を組み合わせてジオラマ風に仕立てた馬場毬加(若葉総合)の作品は、チラシにも使われるほど。でも音楽とは違って、美術は高校から大学にかけて(つまり子どもから大人になるときに)大きな価値転換が起きるものなので、これからが下克上だ。
2015/12/18(金)(村田真)
平野恵子 個展「floating stone」
会期:2015/12/12~2015/12/19
1の1スタジオ[神奈川県]
黄金町のスタジオを借りての個展。台座の上にのせた卵型の石の彫刻を見てたら「どうぞ触ってください」といわれたので触れてみると、意外にもフワッと動く。あれ? っと思って触りまくるとユラユラ揺れる。ただそれだけなんだけど、単に見るだけとはまったく違った感触がある。
2015/12/17(木)(村田真)