artscapeレビュー

村田真のレビュー/プレビュー

家縛りプロジェクト──東邸

会期:2015/06/27

渋谷区恵比寿・東邸[東京都]

建物に十文字型に縄をかける松本春崇の「家縛りプロジェクト」、今回は築10年を迎える恵比寿の東邸を縛るというので早々駆けつけてみたら、手伝えという。なんかそういうシステムらしい。東氏は会社勤めのかたわら美術館のボランティアにも精を出す現代美術の強力なサポーターで、通りに面した自宅玄関にも展覧会のポスターが何枚も貼ってある。小雨が降ったり止んだりするなか、その細長い3階建ての家のなかを上ったり下りたりしながら縄を渡し、最後に正面には築10年を祝って特別に紅白の縄で蝶々結びをとりつけた次第。おめでとうございました。


東邸

2015/06/27(土)(村田真)

伊東豊雄「ライフスタイルを変えよう──大三島を日本で一番住みたい島にするために」

会期:2015/06/04~2015/08/22

LIXILギャラリー[東京都]

今治市伊東豊雄建築ミュージアムがある瀬戸内海の大三島。ほかにも大三島美術館、ところミュージアム、岩田健母と子のミュージアムなどいくつかの美術館があるこの島を舞台に、これからのライフスタイルモデルを提案しようというもの。それはいいんだけど、このギャラリースペース、初期の伊奈ギャラリー時代から原則的に現代美術家の作品を紹介し続けてきたはずなのに、いつから変わっちゃったんだっけ?

2015/06/26(金)(村田真)

神山明追悼展「いい夢を見たかい」

会期:2015/06/15~2015/06/27

コバヤシ画廊企画室+ギャルリー東京ユマニテ[東京都]

3年前、還暦を前に亡くなった作家の追悼展。コバヤシ画廊は5点の大作を中心とする展示で、家型もあればテーブル型や舟型もある、いかにも神山らしい建築的な作品が並ぶ。あらためて見ると、家の内部には階段とかテーブルまでちゃんとしつらえてあり、じつによくできている。材質は杉にオイルステインを塗ったもので、画廊の床とほとんど見分けがつかない。ユマニテのほうは、高さ約2メートルの細長い六角錐が15点ほど林立していて、灯台のようだ。別の部屋には、白い紙をつなげて人を思わせるかたちにした晩年の立体作品もあって、これは初めて見る。最後に人のかたちに行き着いたのはなんでだろう。「うまく行けば、あと30年間、ぼくには制作の時間がある」と書いた数カ月後に死去。

2015/06/26(金)(村田真)

川上勉「死と変容」

会期:2015/06/15~2015/06/27

ヴァニラ画廊[東京都]

乾漆による少女の彫刻。といっても表皮は黒ずんでるうえ、肋骨が浮き上がり、棺桶みたいな箱に入ってるものもあれば、内臓がなくて上半身と下半身が脊椎だけでつながってるものもある。いずれも「スリーピングビューティー」な少女たちだ。

2015/06/26(金)(村田真)

Kamerian.展 Fugly land

会期:2015/06/22~2015/06/27

ヴァニラ画廊[東京都]

タイトルの「fugly」とは「ふぐり」をアルファベット化したシャレだと思ったら、実際に英語として通用していて「fucking ugly」つまり「超醜い」という意味らしい。作品は、アメリカンコミックっぽいくっきりした輪郭線とケバい色彩の暑苦しい少女画だが、ヴァニラ画廊だもん明るいわけがなく、性と暴力がテーマ。「肉欲と暴力が支配し/汚濁の溜まりに雷鳴が轟く(…中略…)ようこそ、ここは愉快なFuglyland」なるコメントが寄せられていた。

2015/06/26(金)(村田真)