artscapeレビュー

村田真のレビュー/プレビュー

京都国立博物館 深緑の記者発表会 in TOKYO 特別展「琳派──京を彩る」

会期:2015/06/26

カフェコムサ銀座[東京都]

この秋、10月10日から京博で始まる「琳派──京を彩る」の記者発表会。京博は昨年、新館が完成してから大きな特別展ごとに東京で記者発表会を開くようになったが、さすが関西、学者も笑いのツボを押さえてるし、気前よくお土産もくれる。今回は終了後にスイーツがふるまわれ、また京博のオフィシャル・キャラクターとして、尾形光琳の《竹に虎図》をフィギュア化した「虎形琳ノ丞(通称トラりん)」もプレゼントしてくれた。めでたしめでたし。ではなくて、「琳派展」。見どころはかの有名な《風神雷神図屏風》で、俵屋宗達(国宝)、尾形光琳(重文)、酒井抱一の世代を超えて描き継がれた3点が一堂に会するという。

2015/06/26(金)(村田真)

線を聴く

会期:2015/04/24~2015/07/05

メゾンエルメス・フォーラム[東京都]

エルメス財団が特別共催している森美術館の「シンプルなかたち展」に呼応する企画。こちらもカールステン・ニコライ、ニエーレ・トローニ、高田安規子・政子らの現代美術から、ロジェ・カイヨワの「石の絵」のコレクションまで幅広い。この「石」が自然に生成する図像には若いころハマったなあ。奥の展示室にはシュウ・ビンの山水画みたいな絵があるが、裏に回ると枯れ葉やガラクタなどで構成されてるという罰当たりな秀作だ。その奥には懐かしい、鯨津朝子のウォールドローイングも。

2015/06/26(金)(村田真)

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内海聖史「moonwalk」

会期:2015/06/19~2015/07/12

六本木ヒルズA/Dギャラリー[東京都]

入口から斜め奥に向かって両側に絵を描いたパネルが立てられ、突き当たると急角度で折れ曲がり、奥まで続いてる。つまりV字型に設けられた2枚のパネルのあいだを歩きながら見ていくかたち。パネルには黄色い花か葉が咲き乱れるように描かれ、絢爛たる屏風絵を彷彿とさせる。タブローではなく、かといって固定された壁画でもない、絵画によるインスタレーションの可能性を示唆している。

2015/06/24(水)(村田真)

スター・ウォーズ展

会期:2015/04/29~2015/06/28

東京シティビュー[東京都]

シリーズの衣装や小道具もあるが、ハイライトは、ジョージ・ルーカスが世界中のアーティストに対し「スター・ウォーズ」にインスピレーションを得て描くよう依頼したという絵画。大半がキャンバスに油彩またはアクリルで、写真を見て描いてるせいかスーパーリアルなイラスト風が多い。舞台設定は未来というか宇宙なのに描き方は古典的、というギャップがおもしろい。敵味方が入り乱れる戦闘シーンは、飛び道具こそハイテクだが、構図は昔ながらの戦争画を踏襲している。おまけに年代ものの額縁までついていて、とてもキッチュだ。ケッサクは、デュシャンの《階段を下りる裸婦》をロボットに置き換えたジョン・マットスの《階段を下りるC-3PO》、若き日のジャバに会えるC.F.ペインの《ジャバ・ザ・ハット:高校の同窓会》。この後、札幌芸術の森美術館、愛媛県美術館、静岡市美術館などを巡回するという。公立美術館でやるなよ。

2015/06/24(水)(村田真)

シンプルなかたち展

会期:2015/04/25~2015/07/05

森美術館[東京都]

内覧会のときは気づかなかったけど、今回あらためて見回してみて、これは「博物学」だなと思った。先史時代の石器からモノリス、ダチョウの卵からリンガ、プロペラからブランクーシの彫刻、雪舟の水墨画から杉本博司の写真まで、自然、人工、機械、芸術といったカテゴリーを超越して「シンプルなかたち」を集め、「形而上学的風景」「宇宙と月」「幾何学的なかたち」「動物と人間」などに分類し直し、新たな秩序を構築しようとしている。これは矛盾してるようだが、洗練された「ヴンダーカマー」の試みだ。

2015/06/24(水)(村田真)

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