artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
資本空間 vol.2 村上華子
会期:2015/05/30~2015/07/04
ギャラリーαM[東京都]
ネットで見つけた雲のイメージを銀メッキした銅板に転写し、ダゲレオタイプ化した写真。マヤ暦最後の日である2012年12月22日をコロンビアで迎え、翌日世界の終わりが来なかったことを祝し、印刷屋で刷ってもらった踊る男女と2羽のニワトリのポスター。芽吹いたころは食用として重宝されるが、大きくなると役に立たないウドの大木の鉢植え。これらはいずれも作者自身の書いた解説による。解説込みの作品なので、写真をつくってるわけでもポスターをつくってるわけでもなく、物語をつくってるというべきだろう。いちばんわかりやすいのは、あぶらとり紙で自分の顔を拭いた聖ヴェロニカ風自画像。これは写真の原点でもある。
2015/06/13(土)(村田真)
西江雅之写真展「影を拾う」
会期:2015/06/12~2015/06/27
ギャラリー・ハシモト[東京都]
西江さんはもう40年も前に、真夏の集中講義で文化人類学を教えてくれた先生。話はスワヒリ語からポロックの絵画まで、めっぽうおもしろかった。例えばアフリカで喉が渇いたとき、濁った水ときれいに澄んだ水のどちらを飲むか。ふつうきれいな水を選ぶが、先生は澄んだ水は細菌も棲めないほど猛毒かもしれないので、濁った水を選ぶと。あと、毎日生肉を食べてたり、10カ国以上の言語を話せたり、天才とか奇人とかいうより怪人の類いだった。写真はケニアのマサイ族、インド、ネパール、ハイチのヴードゥー教、パプアニューギニアなど、世界の民族を撮ったもので、約70点。モノクロームも数点あるが、大半はカラー。写真集『花のある遠景』の出版記念展というが、これを見た翌日、西江さん死去の報。なんと!
2015/06/13(土)(村田真)
門田光雅「色彩のドローイング」
会期:2015/05/15~2015/07/17
セゾンアートショップ[神奈川県]
みなとみらいのヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル(長すぎる)1階に、ミュージアムグッズを扱うお店がオープン。そこで個展を開いてるというから「どんなんかな?」と思ったら、空いた壁面(強引に空けたというべきか)に大小4、5点の絵を展示しているだけだった。でも以前より絵具のせめぎ合いが密になった門田の新作が見られたのでよかった。
2015/06/11(木)(村田真)
笛田亜希「Animaless Zoo Project INOKASHIRA」
会期:2015/06/09~2015/08/08
un petit GARAGE[東京都]
新橋演舞場近くのビルの駐車場(1台分)を改装したプチギャラリー。笛田は動物をよく描くが、それは武蔵野生まれが関係しているらしく、小さいころからしばしば井の頭動物園に通っていたからだそうだ。とくにゾウのはな子がお気に入りのようで、今回のメイン作品もはな子を描いたもの。よく観察していることは細部を見ればわかるが、とりわけ皮膚のテクスチュアが微に入り細を穿っていて、背景の描き方とは明らかに違うのだ。ほかにワラビー、野鳥のスケッチなど、動物愛にあふれた作品ばかり。
2015/06/10(水)(村田真)
リー・キット/李傑 展 The Voice Behind Me
会期:2015/06/02~2015/07/26
資生堂ギャラリー[東京都]
リー・キットは香港生まれ、台北を拠点に活動するアーティスト。もうこれだけで表現のモチベーションにこと欠くはずはないだろう、と思うのは平和ボケした日本人だけか。でも作品は絵画と既製品を組み合わせたり、映像と絵画を並べたりしたインスタレーションで、なんかピンと来ないというか、インパクトに欠けるなあ。
2015/06/10(水)(村田真)