artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
トランスフォーメーション・イン・大石膏室
会期:2010/10/29~2010/11/17
東京藝術大学絵画棟大石膏室[東京都]
都現美の「トランスフォーメーション」に連動した芸大生の展示。どうせ石膏室を使うんだから、自分の作品を運んできてただ展示するだけじゃなく、居並ぶ石膏レプリカ群にからんで自爆してほしいものだ。その意味で、サモトラケのニケの前に10分の1くらいの大きさの模造を置いた宮原嵩広の《小さな勝利》と、ロダンの《青銅時代》の台座の上で彫刻に扮してポーズする自分を撮った下西進の映像作品が特筆に値した。
2010/10/29(金)(村田真)
絵画思考──油画現職教員展
会期:2010/10/20~2010/10/31
藝大アートプラザ[東京都]
佐藤一郎、保科豊巳、O JUNら藝大のセンセーが小品を展示即売している。上限10万円程度と安めだが、国立大学の教官が構内で自分の作品を売っていいのか? あ、法人化されたから自分で稼がないといけないのか。でも奈良や村上がセンセーになったら小品でも100万円するぞ。まあそんな人気作家は藝大には行かないから心配無用だが。
2010/10/29(金)(村田真)
空と宇宙展 飛べ!100年の夢
会期:2010/10/26~2011/02/06
国立科学博物館[東京都]
ぼくはてっきりレオナルド・ダ・ヴィンチあたりから始まって、ライト兄弟を経てスペースシャトルにいたるまで世界の航空宇宙史が見られると思って出かけたのだが、なんだ「日本の航空宇宙100年記念」じゃないか。小惑星探査機はやぶさも無事帰還したことだし、ついでに出しちゃえっていうか、むしろはやぶさの帰還に便乗して日本の航空宇宙史100年を振り返ってみましたってほうが正解みたいな。そのはやぶさのカプセル関係は別室でものものしく陳列され、そこだけ撮影禁止。もし撮影したらデータを消去させていただきます的な脅し文句が。そんなにタイソーなもんか?
2010/10/29(金)(村田真)
オランダのアート&デザイン新言語
会期:2010/10/29~2011/01/30
東京都現代美術館[東京都]
「トランスフォーメーション」展の続きで、アトリウムのイ・ブルやバールティ・ケールらの彫刻を見て次の部屋に入ると、なんか変。そのまま進んでいくうちに、ようやく別の展覧会に突入していることがわかった。ちゃんと終わりと始まりの区切りをつけといてくれなくちゃ。てか、私の注意不足ですが。でもすぐに気づかなかったのは、オランダのアート&デザインにも「トランスフォーメーション」の要素が入っているからだし、逆になんか変だと感じたのは、展覧会としての緊張感が異なっていたからだ。オランダ展のまったりした素朴な展示に比べ、「トランスフォーメーション」がいかに空気がピンと張りつめていたか、会場を出て初めて気づいたのだった。
2010/10/28(木)(村田真)
トランスフォーメーション
会期:2010/10/29~2011/01/30
東京都現代美術館[東京都]
「変身-変容」をテーマに、人間とそうでないものとの境界を探る展覧会だそうだ。出品作家はマシュー・バーニー、フランチェスコ・クレメンテ、ヤン・ファーブル、イ・ブル、パトリシア・ピッチニーニ、アピチャッポン・ウィーラセタクン……と国際展並の顔ぶれ。出品作品も国際展並に映像が多いので、国際展並にのぞき見程度にトバシた。自身をモデルにした頭部にシカの角やウサギの耳をつけたヤン・ファーブルの彫刻群は圧巻。その手前の回廊に、ペットボトルや洗濯バサミなどの日用品を組み合わせてインスタレーションしたサラ・ジーの作品もぼくは好きなのだが、どこが「トランスフォーメーション」だって気がしないでもない。(つづく)
2010/10/28(木)(村田真)