artscapeレビュー
村田真のレビュー/プレビュー
流麻二果「湧々(わくわく)」
会期:2010/10/04~2010/10/23
ギャルリー東京ユマニテ[東京都]
手のストロークと色彩に任せた色面抽象だと思ったら、人間の身体を描いてるらしい。そういえばなだらかな風景のように見える曲線にも、わずかに手や脚らしき輪郭が見てとれる。モチーフが身体であろうがなかろうが、描くのは身体だ。
2010/10/09(土)(村田真)
富田有紀子展
会期:2010/09/25~2010/10/09
ギャラリー椿[東京都]
花や果実の中心部を正方形の画面にドアップで描くことが多かった富田だが、今回は違った。いや花も果実もあるのだが、それ以外に洞窟のなかからのぞいた外の風景や、木立のあいだから見える空のような風景もある。それら風景に共通しているのは、画面の中心部に向こう側(遠景)の明るい領域があり、画面の周囲に行くほど手前(近景)の暗い領域になること。もちろん花も果実も洞窟も女性性のシンボルにほかならない。精神分析の対象としては絶好の作例かもしれない。
2010/10/09(土)(村田真)
オラファー・エリアソン
会期:2010/09/28~2010/10/28
ギャラリー小柳[東京都]
最初の部屋では床に置かれた7つの照明が光を発し、人が通ると壁にいくつもの影が映る。次の部屋では6つの照明に色フィルターがかけられ、壁に映る影にも色がつく(光とは補色関係)。最後の部屋では、鏡を自動車の横にとりつけて街なかを走った様子を撮影した映像を見せている。実像と鏡像が入り混じった美しい映像だ。が、精度の高さを別にすれば、この手の作品は昔、70年代くらいにしばしば目にしたような気がするんだけど。
2010/10/09(土)(村田真)
セルフポートレート──私という他人
会期:2010/09/04~2010/11/28
高橋コレクション[東京都]
ウフィツィ美術館の「自画像コレクション展」に合わせたのか、こちらもセルフポートレート展だが、たとえば中山ダイスケは金属製の甲冑のような作品だし、大野智史は具象抽象さまざまなイメージを組み合わせた絵画だし、必ずしも自画像とは限らない。でもサブタイトルの「私という他人」には合致しそうだ。ほかに、草間彌生、奈良美智、森村泰昌らの出品。
2010/10/09(土)(村田真)
M-ポリフォニー2010-鏡花水月-
会期:2010/10/04~2010/10/09
東京造形大学ZOKEIギャラリー[東京都]
大学の事務室に母袋俊也教授から展覧会の案内状が託されていたので、授業のあと見に行く。大学院生11人の絵画を中心とする展示。母袋教授は案内状のなかで「そもそも〈絵画〉は本質的に懐疑性を内包している」と、昨今のナイーブで楽天的な「小さな物語」たちを牽制している。その教えにしたがったのか、みずから制約を科しつつ制作を展開している八重樫ゆいの絵画は、けっして見た目に美しいとはいえないけれど、コリッとした反骨精神が感じられ好感がもてた。
2010/10/04(月)(村田真)