artscapeレビュー
高橋一平《Casa O》
2016年06月15日号
[東京都]
竣工:2014年
高橋一平による小さな家のリノベーション、《Casa O》を見学する。木密地域の近接性ゆえに、隣家の古びた外壁が、室内の色と共鳴しつつ内壁のように見え、その隙間の上部から光がさす。いわゆるコミュニケーションとしての窓とは違う、拡張された壁をつくる大きな窓である。また家が小さいために、手前の開口から奥の開口が近く、正面のアプローチから家の向こうの風景までが通常とは違うスケール感をもち、家をすり抜けていくかのようだ。そして異界の2フロアを切断しつつ、曲がった階段が両者をつなぐ。
2016/05/14(土)(五十嵐太郎)