artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
アイアン・メイデン
会期:2016/04/20~2016/04/21
両国国技館[東京都]
最近ここで相撲を見たばかりなので、靴を脱いでの升席など、不思議な雰囲気である。久しぶりに見たアイアン・メイデンだが、年齢をあまり感じさせないパフォーマンスだった。世界ツアーゆえに、最新の技術に頼らず、世界各地の施設のスペックに関係なく対応できる幕を採用することで、簡単に背景を変化させるローテクなシステムや、ハイライトで突然登場する巨大空気人形のエディなど、なるほどの演出である。
2016/04/20(水)(五十嵐太郎)
MOTアニュアル2016 キセイノセイキ
会期:2016/03/05~2016/05/29
東京都現代美術館[東京都]
「MOTアニュアル2016 キセイノセイキ」の展示は興味深い。ARTISTS’ GUILDとの協働企画であり、現代日本に対する彼らの構えが表明され、やや焦点が合わないクロッシングとは対照的だった。藤井光の抜け殻になったミュージアムとして東京大空襲祈念館など、突き刺さってくる作品が多く、規制について考えさせる問題提起になりえていた。
写真:上=ダン・ペルジョヴスキ 下=藤井光
2016/04/20(水)(五十嵐太郎)
スタジオ設立30周年記念 ピクサー展
会期:2016/03/05~2016/05/29
東京都現代美術館[東京都]
平日でもかなりの集客だったが、確かにピクサーの映画は、現代において最も人とお金をかけたアートである。少し粗があっても作家性の強さでグイグイ引っ張る日本のアニメに対して、コンピュータを媒介して膨大なスタッフが分業しながら、集合知を積んで、パーフェクトなアニメをつくるシステムは、建築業界の日本と海外の違いにも通じるかもしれない。
2016/04/20(水)(五十嵐太郎)
六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声
会期:2016/03/26~2016/07/10
森美術館[東京都]
もともと知っている作家はまあ悪くなかったのだけど、展示全体としてはあまり引っかからなかった。むしろ同館のアジア現代美術史を扱うMAMリサーチプロジェクトがいい。今回はインドネシア編である。政治が変革し、建築でも大きな変化が起きた1998年以降の現代美術の動向もさらに知りたいと思った。
写真:上=毛利悠子 下=片山真里
2016/04/20(水)(五十嵐太郎)
Concussion/スポットライト
飛行機では、『Concussion』と前の週に時間切れとなった映画『スポットライト』を鑑賞した。後者はアメリカのカソリック教会における児童の性的虐待を報道した地方紙を描いたものだが、地味な人事資料の山を徹底的に照合して事の真相を暴く、歴史調査のような手続きにぐっとくる。同じく実話に基づく「Concussion」は、アメリカン・フットボールの試合中の脳震とうが引き起こす深刻な問題を扱うが、組織的な隠蔽工作と闘う主人公たちの使命感という点でモチーフが共通する。
2016/04/18(月)(五十嵐太郎)