artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

僑福芳草地(Parkview Green)

[中国、北京]

東大橋駅から歩いて5分。新しくオープンした話題の巨大複合商業施設、僑福芳草地へ。閉鎖的なフェニックス国際メディアセンターに対して、斜めにせり上がる、開放的なガラス張りの巨大ショッピングセンターである。内部に3つの高層棟を収容し、異なるエントランスを吊り橋などでつなぐダイナミックな空間で、六本木や虎ノ門ヒルズ、ミッドタウンが霞んでしまう凄まじさだ。
10階に現代美術展示場のほか、随所に多数のパブリックアートが散りばめられているが、作品の質はいまいちである。とはいえ、いずれこうしたソフトのクオリティも上がっていくだろう。

2016/04/17(日)(五十嵐太郎)

五道営胡同

[中国、北京]

五道営胡同へ。古い建物を活用した小さな店舗が並び、よい雰囲気である。こじゃれたカフェやショップが並ぶストリートで、完全に観光地化されていた。その後、四半世紀ぶりに雍和宮を見学する。南から北へ、なかなかボスキャラが出ない、奥へ奥へと続く伽藍構成を歩く。そして最後に登場する、天井を突き抜けるような立像の巨大さに呆れる。

写真:左上、右=《雍和宮》 左下=五道営胡同

2016/04/17(日)(五十嵐太郎)

人民大会堂

[中国、北京]

2週続けて天安門広場を訪問した。今回は人民大会堂の内部に初めて入る。ファサードの巨大なオーダーはエジプト風にも見える。ともあれ、これもデカイ。テレビでよく見る議事堂を確認し、とんでもなく広い宴会場に驚く。また、中国の各行政区域に割り当てられた部屋が随所に散りばめられ、大階段の吹抜けを挟んで、紫禁城を見下ろす北京と現代都市の絵が飾られた上海の部屋が向き合う。

写真:左上から、《人民大会堂》、万人大礼堂、中央ホール、宴会場 右上から、北京の部屋、大階段、上海の部屋

2016/04/17(日)(五十嵐太郎)

《国家大劇院》

[中国、北京]

竣工:2007年

ポール・アンドリューが設計した《国家大劇院》へ。水盤に囲まれた巨大な楕円ドームに地下から入り、その中心にオペラの大ホール、両側にコンサートと劇場を配置する。さらに小劇場も付す。特に感心したのは、ここで開催されたオペラの舞台美術と、中国劇場史の建築模型群の充実した常設展示があること。通常、ホールはイベントをやって終わりなので、意外にほかで見ないアーカイブ型のコンテンツだろう。なお、図書資料室も付いていた。

写真:左上から、《国家大劇院》外観、内観 右上から、オペラ舞台美術の展示、劇場史の建築模型群、オペラ舞台の模型

2016/04/17(日)(五十嵐太郎)

「建築と音楽」展 シンポジウム

会期:2016/04/16

清華大学[中国、北京]

「建築と音楽」のシンポジウム@北京・清華大学に登壇した。同大に拠点を置く雑誌『世界建築』の2月号の特集テーマに合わせた企画である。以前は『建築文化』『SD』『10+1』などの雑誌が特集主義で刊行されていたが、最近日本の建築メディアは単なる作品紹介ばかりで、こうした切り口が激減したなと痛感する。シンポジウムの後、編集者に案内してもらいながら、清華大学のキャンパスを散策する。三度目の訪問だが、周辺部の官舎、ゲストの宿泊施設のほか、大学名の由来となる場所、江南風の庭園、いわゆる西洋風の大学を思わせる一角、牡丹園など、実に広大である。多くの観光客や市民もキャンパスの自然を楽しんでいたのが印象的だった。
シンポジウムの後、清華大学近くの書店に立ち寄る。翻訳された筆者の本も置いてあったが、海外の翻訳書が全ジャンルにわたって、よく揃っていることに感心した。しかも値段が安い。日本だと新書や文庫は安いが、ハードカバー、専門書、翻訳書になると、結構高い。しかし、日本語訳なら2,000円以上はするローラン・ビネやミラン・クンデラの本でさえも、中国語訳だと、現地のコンビニでちょっと食べ物や飲み物を買い物するより安い。これなら学生も気兼ねなく本を購入できるだろう。

写真:左上3枚=《清華大学》、左下=宿舎 右上=マリオボッタによる美術館、右下2枚=《清華園》

2016/04/16(土)(五十嵐太郎)