artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

出版社ARCHI-CREATION編集部

[中国]

石上純也のレクチャーを企画した出版社ARCHI-CREATIONの編集部を訪問した。日本でも出ていない『エル・クロッキー』の中国版のほか、フェニックス国際メディアセンターや人民大会堂など、ひとつの建物だけをテーマに、一冊ずつ本がつくられている。こういう贅沢な企画が、最近の日本では少ない。その後、高速鉄道に乗って、南京に移動する。25年前に初めて中国に来たときには考えられない速度だ。

2016/04/09(土)(五十嵐太郎)

《望京SOHO》

[中国、北京]

竣工:2014年

前回訪れたときは建設中だったザハ・ハディドの《望京SOHO》を見学する。同じ北京にある《銀河SOHO》と比べると、内部空間はやや弱いが、逆に外構のランドスケープはなかなかいい。4月の北京は天候もよく、ザハ的なうねる人工地形のなかで人々がくつろいでいた。今後、北京ではザハによる巨大ヒトデのような空港も建設が予定されているように、彼女を追い出した東京とは違い、この都市は完全に受け入れている。

2016/04/09(土)(五十嵐太郎)

天安門広場

[中国、北京]

北京の訪問はもう5、6回目になるが、今回はこれまでゆっくりまわっていなかった天安門広場をちゃんと歩く。昨年、建築や美術と絡めながら、刺激的な天安門広場論を展開したウー・ホンの著作『北京をつくりなおす』を読んだことも、その理由である。確かに世界でもこうした空間は意外になく、面白い政治的な場所である。そして行列をつくって見学する毛主席紀念堂や、OMAほかも参加した国際コンペを経て、増築した巨大な国家博物館も見学したが、なるほど国民に見てほしい両施設は入場無料になっている。

写真:左上から、《天安門広場》、《毛主席紀念堂》、《国家博物館》外観 右上から、《国家博物館》内観、展示空間、増築前の図面、増築後の模型(中庭部分が展示空間になっている)

2016/04/09(土)(五十嵐太郎)

EL croquis Lecture

会期:2016/04/08

フェニックス国際メディアセンター[中国、北京]

北京のフェニックス国際メディアセンターにおいて、石上純也の講演+筆者の石上論+中国の若手建築家との対話イベントが開催された。会場には400人近い観衆が集まったが、さらに全国80カ所を同時中継でつなぎ、ネットでも配信し、1万人以上が視聴したという。これは『エル・クロッキー』の石上特集の中国版の刊行に合わせたもので、サイン会で長い行列が生まれた。現地では若きイケメン天才建築家として大ブレイクの雰囲気だった。ちなみに、会場となった建築は、香港系のテレビ会社のための、巨大なガラス建築である。アニッシュ・カプーアのようなねじれた彫刻的な造形をもち、その内部にうねるスロープや地形のような大階段が続く、強烈なアイコン建築だった。2013年に竣工したもので、設計はBIAD UFo建築工作室である。

2016/04/08(金)(五十嵐太郎)

第1回日本建築設計学会賞作品展+公開審査会

会期:2016/04/02~2016/04/10

ASJ UMEDA CELL 梅田阪急ビルオフィスタワー24F[大阪府]

梅田阪急のASJにて、第一回日本建築設計学会賞の公開審査会が行なわれた。現地審査を経て選ばれた6組のファイナリスト、桑原賢典、松岡聡+田村裕希、河井敏明、島田陽、アルファヴィル、平田晃久らが模型や図面をインスタレーション的に展示する。まずはそれを囲んで建築家の説明と質疑。審査員は、竹山聖、古谷誠章、倉方俊輔、五十嵐の4名である。続いてパワーポイントによって、それぞれの建築の思想をプレゼンテーションしてから審査の最終討議となった。第一回ということもあり、事前に打ち合わせなどはなく、その場でやり方を模索しながら審査が進められた。最終的にいろいろな視点からその面白さを解釈できる、島田陽の石切の住居に絞られ、単純な投票ではなく、議論によって大賞が決まる。ビエンナーレ形式で、次回の設計学会賞は2年後になるらしい。

写真:左上から、桑原賢典、松岡聡+田村裕希、河井敏明 右上から、島田陽《石切の住居》、アルファヴィル、平田晃久

2016/04/05(火)(五十嵐太郎)