artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
ルノワールの時代 近代ヨーロッパの光と影
会期:2016/03/19~2016/08/21
名古屋ボストン美術館[愛知県]
19世紀後半からのヨーロッパの都市の変化と地方の関係を背景に近代絵画を紹介する。確かに何を描くかというモチーフはそうした切り口で説明できるが、いかに描くかについては、同時代に出現した写真に対し、絵画をどう差別化するかという視点から考えるとわかりやすくなるのではないかと思う。例えば、ルノワールの《ブージヴァルのダンス》は、都市と田舎/女性と男性という風に説明できるのだが、この絵は動いている踊りの一瞬ではなく、動きそのものを視覚化した想像的な動画ではないか。当時の雲や空の表現も同様である。これは当時の写真だとやりづらい表現であり、絵画ゆえに可能な表現で、その独自性を示す手法だったはずだ。
2016/03/21(月)(五十嵐太郎)
Assembridge NAGOYA 五十嵐太郎×服部浩之×米澤隆「地域美学スタディ vol.1:批判的地域主義の現在形」
会期:2016/03/20
慶和幼稚園ホール[愛知県]
図像を一切使わない下道基行による言葉の地図を手に街を歩き、岡本太郎の壁画がある慶和幼稚園ホールに移動する。ここでキュレーターの服部浩之がモデレートする「地域美学スタディvol.1:批判的地域主義の現在形」に登壇する。僕からは概念の説明と現状、米澤隆は強い形態の建築ながら、今風のリレーショナルな説明を強調した自作のプレゼンテーションを行なう。話題は、地域とアートの話にも及ぶ。
2016/03/20(日)(五十嵐太郎)
Assembridge NAGOYAプロジェクト「L PACK|コーヒーのある風景」ほか
会期:2016/02/26~2016/03/27
旧潮寿司ほか[愛知県]
その後、街中を歩き、アートのミニブックを展示する渡辺英司のボタンギャラリー、L PACKが寿司屋を「コーヒーのある風景」に変容させた終わりなきリノベーション、徳重道朗による旧つむぎ店に多重フレームを出現させたインスタレーション、ヒロスムの映像、山本聖子の「オランダに山をつくる」などを鑑賞する。トリエンナーレ以外でも、こうした筋がよいアートプロジェクトが稼働しているあたりに、名古屋のアートの底力を感じる。
写真:左=上から、ボタンギャラリー、「コーヒーのある風景」、右=上から、多重フレームを出現させたインスタレーション、「オランダに山をつくる」
2016/03/20(日)(五十嵐太郎)
MAT Exhibition vol.1 ペーター・フィッシュリ/ダヴィッド・ヴァイス 毛利悠子「THE BEGINNINGS(or Open-Ended)」Part2
会期:2016/02/26~2016/03/27
Minatomachi POTLUCK BUILDING 3F:Exhibition Space[愛知県]
そして「THE BEGINNINGS」展は、「事の次第」と毛利悠子の新作を取りあげ、後者は前者のループする機械仕掛けを継承しつつ、スキャンの反復とズレによる心霊的なイメージを生む。
2016/03/20(日)(五十嵐太郎)
Assembridge NAGOYA プレイベント 現代美術展「パノラマ庭園 ─動的生態系にしるす─」
会期:2016/02/26~2016/03/27
Minatomachi POTLUCK BUILDING[愛知県]
名古屋港のエリアに向かい、新しいアートと音楽の拠点となった、港まちポットラックビルを訪れた。「パノラマ庭園」展は、日常を異化する強烈な色彩の城戸保と玉山拓郎を紹介する。
写真:上=港まちポットラックビル、下=「パノラマ庭園」展
2016/03/20(日)(五十嵐太郎)