artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
東京藝術大学コレクション 麗しきおもかげ 日本近代美術の女性像
会期:2016/03/05~2016/04/17
名古屋市美術館[愛知県]
名古屋市美の「麗しきおもかげ」展は、東京藝大のコレクションをベースに女性を描いた日本近代の絵画を総覧する企画である。知らない作家も多く、だからこそ個別の特徴よりも時代のモードの変遷が感じられた。2階の展示は、日本画科の卒業制作に絞る。こうして通覧すると、確かに洋画よりも日本画の方が漫画やアニメに近いことがよくわかる。
2016/03/20(日)(五十嵐太郎)
台湾カルチャーミーティング 台湾文化センター主催トークイベント 第1回「台湾建築散歩──戦後台湾建築史と都市景観の今」
会期:2016/03/19
台湾文化センター[東京都]
台湾文化センターにおいて、通訳と司会を担当した天野健太郎の仕切りで、建築史家の李清志とともに、戦後台湾建築史を振り返るトークを行なう。しばらく政府によってモダニズムよりも中華イデオロギーのデザインが優先されていたが、戒厳令が解かれた後、1990年代にアメリカ型のポストモダンが開花する。この頃、初めて台湾を訪れたのだが、足を踏み入れた恐竜をテーマにしたインディアン・レストランが、当時の開放的な雰囲気をよく示したデザインだったことを知る。また近代建築の保存運動も開始したという。そしてゼロ年代以降の日本建築ブームなどの流れをおさらいした。
2016/03/19(土)(五十嵐太郎)
歌劇「さまよえるオランダ人」全3幕
会期:2016/03/19~2016/03/20
神奈川県民ホール 大ホール[神奈川県]
この大作にどうして舞台転換の途中休憩がないのかと訝しがったが、船の外形に沿って湾曲した巨大なスクリーンに、CG映像で荒れる海、呪われた船、家の広間を表現していることで納得した。照明を暗くしたおかげもあり、ここまでリアルに見えるのかと感心する。『パイレーツ・オブ・カリビアン』のような場面もあるのだが、ワーグナーのスペクタクル性をハリウッド的な感覚で提示したものと言える。
2016/03/19(土)(五十嵐太郎)
KAAT×地点共同制作作品第6弾 地点「スポーツ劇」
会期:2016/03/11~2016/03/21
KAAT神奈川芸術劇場[神奈川県]
KAAT×地点「スポーツ劇」は、体調が万全でなかったので、言葉を精緻に読みとる余裕がなく、むしろ畳みかける言葉の渦にただ身を任せる感じでの鑑賞となった。かつてのヴェネツィア楽派のごとく、両サイドからリズミカルな人間楽器がつくる音の空間に挟まれつつ、背後に向かって急なスロープとなっている舞台では俳優が重力と摩擦に身を委ねる。
2016/03/18(金)(五十嵐太郎)
岸 和郎:京都に還る_home away from home
会期:2016/01/28~2016/03/20
TOTOギャラリー・間[東京都]
ギャラリー・間の岸和郎「京都に還る」展は、力の入った内容だった。そして図面、模型、写真などの基本要素を並べた、奇をてらわない、いわゆる正統派の建築展である。また自らの作品だけではなく、彼が育てた弟子たちの活動も紹介する、圧倒的なヴォリュームで、ギャラリーの個展というよりは、もはやミュージアムの一大回顧展のような密度だった。
2016/03/18(金)(五十嵐太郎)