artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎《黒》BLACK「乱鶯」
会期:2016/03/05~2016/04/01
新橋演舞場[東京都]
開幕前に流されていたヘヴィメタルは、ジューダス・プリーストの『背徳の掟』から「ヘヴィ・デューティ」と「ディフェンダーズ・オブ・ザ・フェイス」で、高校のときよく聴いた曲である。回転舞台とセリを生かした場面変換の速い演出、古田新太、稲森いずみらの安定した演技、小気味がよい脚本だった。
2016/03/18(金)(五十嵐太郎)
竹岡雄二 台座から空間へ
会期:2016/01/16~2016/03/21
国立国際美術館[大阪府]
国立国際美術館の竹岡雄二「台座から空間へ」は、通常作品を支える台座やフレームがミニマルな彫刻として自立し、「作品」不在ゆえに空間性を帯び、さらには群として不思議な場所をつくる。常設では、竹岡に影響を与えたマルセル・デュシャン、ドナルド・ジャッドほか、アグネス、倉俣史朗の幾何学的な作品などを展示していた。
2016/03/15(火)(五十嵐太郎)
エッケ・ホモ 現代の人間像を見よ
会期:2016/01/16~2016/03/21
国立国際美術館[大阪府]
国立国際美術館の「エッケ・ホモ 現代の人間像を見よ」展は、所蔵作品を中心に第二次世界大戦後の人間を描いた作品が集結する。通して見ると、やはりアンディ・ウォーホルやフランシス・ベーコンの作品は強力だった。ほかに印象に残ったのは、小谷元彦の映像作品に、片山真里が登場していたこと。またブライス・ボーネンの顔が不気味にぶれる写真は、後のJホラーのセンスに先駆けるものがあった。
2016/03/15(火)(五十嵐太郎)
WE ARE Perfume──WORLD TOUR 3rd DOCUMENTほか
映画『WE ARE Perfume』とBABYMETALの海外公演映像は興味深かった。ともに英詞をつくらず、そのまま日本語で歌い、自動人形の身振りだが、海外で一定の反響を得ているのは、昔だったら考えにくかった状況である。しかも前者は一応、海外の観客の好みやコミュニケーションを考えるのに対し、後者は去年のオズ・フェストで見たのとそのまま同じパフォーマンスであり、演出を国内外で変えていないことに驚かされた。
2016/03/12(土)(五十嵐太郎)
ブリッジ・オブ・スパイほか
行き帰りの飛行機で幾つかの映画を見る。スピルバーグ監督の『ブリッジ・オブ・スパイ』は一見地味だが、とてもよい。敵側の出方を考える冷戦時代の駆け引きが、緊張感のあるドラマをつくり上げている。現在、世界の敵は理解不能なテロリストということになっているので、これが失われているのではないか。『悪のクロニクル』は脚本と演技がお見事である。また韓国映画らしく、業が深い内容だった。一方、機内で見ることができた最新の邦画は、『orange』や『俺物語』である。漫画ぽいというか、そもそも漫画が原作だからそうなのだけど、もっと緊張感のある映画が見たい。『図書館戦争 THE LAST MISSION』も、それほどのアクションでないし、政治・社会の掘り下げが浅い。
2016/03/12(土)(五十嵐太郎)