artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

《RICO》

[福島県]

郡山からタスエスの設計した《RICO》に向かう。新興の郊外住宅地において、斜めに振ることで今後建つであろう隣家の視線をかわしつつ、4つの木箱を置き、2階を含む大きな斜め屋根を架ける。収納を意識した設計で生活感がいい意味で溢れる。実は3.11の被災者の家でもあった。

2016/03/06(日)(五十嵐太郎)

《老方のいえ》

[秋田県]

竣工:2013年

続いて由利本荘を通過し、さらに山奥の渡邉浩昭による《老方のいえ》へ。小さなお堂に隣接し、斜めに矩形のヴォリュームを振って見晴らしを得る。コールテン鋼の壁と屋根に小さな開口を複数設けた外観が印象的だった。雪がとけ、壁を伝う水の流れが美しい。一転して室内は落ち着いた雰囲気である。向かいの旧家に収納を入れることで、リタイア後のコンパクトな居住空間を実現していた。

2016/03/05(土)(五十嵐太郎)

《蛭根の丘》

[秋田県]

竣工:2014年

盛岡から秋田へ。花田順・花田直子が設計した蛭根の丘を訪れる。隣地の桜を鑑賞できる土地を望んでいた施主が4年以上探してようやく見つけた細長い三角形の敷地だった。カーポートも含めて、全体を壁で囲みながら、中庭を設け、南からの光をとり入れつつ、前面道路には閉じつつ、借景に対して思い切り開く。

2016/03/05(土)(五十嵐太郎)

《朽ちる家》

[青森県]

さらに青森市まで移動し、稲見公介の《朽ちる家》を見学する。彼の両親と暮らす二世帯住宅で、隣が事務所である。コールテン鋼やウッドロングエコの外壁は、経年変化をポジティブに受け止めるための素材だった。室内は環境性能と省エネに配慮しつつ、地産の材料や職人の技術を徹底的に活用する。

2016/03/04(金)(五十嵐太郎)

《斜光の家》

[青森県]

続いて、蟻塚学による《斜光の家》へ。道路側からは細長い直方体のヴォリュームである。しかし、庭側から見ると、メガホン型に膨らむサンルームと子ども部屋に挟まれたサンルームを効果的に挿入し、内部に豊かな光を導く。リビングの大開口は窓側にのみ2階があり、物干しの場所にも使える。これまでの蟻塚建築の発展形と言うべきプロジェクトだ。

2016/03/04(金)(五十嵐太郎)