artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
ヘルムート・ヤーン《ソニー・センター》
[ドイツ、ベルリン]
竣工:2004年
ヘルムート・ヤーンが手がけた《ソニー・センター》にある映画博物館は、『カリガリ博士の部屋』撮影セットの復元模型、『メトロポリス』の特撮解剖、ナチスを嫌い、渡米したディートリヒ、リーフェンシュタールのオリンピック映像メイキング、東西時代の映画などを展示する。特にCGのない時代に制作された「メトロポリス」の各シーンが、このように撮影されていたのか! と、かなり感心する。
写真:映画博物館
2015/09/25(金)(五十嵐太郎)
ユダヤ人犠牲者記念館
ユダヤ人犠牲者記念館[ドイツ、ベルリン]
二度目のユダヤ人犠牲者記念館。地上はアイゼンマンとリチャード・セラの協同により、揺らぐ直方体の森が広がる。足下だけでなく、墓石のようなヴォリュームが微妙に傾き、生きているかのようだ。地下の情報センターは、天井や展示デザインに地上のグリッド・パターンを反映させながら、ホロコーストに絞った悲劇の内容を伝える。
2015/09/25(金)(五十嵐太郎)
ベルリン中央駅~ポツダム広場
[ドイツ、ベルリン]
ベルリン中央駅からポツダム広場方面へ、南下しながら歩く。もちろん、ドイツの建築家も多いが、ディーナー&ディーナー、カラトラヴァ、フォスター、ポルザンパルク、ゲーリー、ウィルフォード、アイゼンマン、チッパーフィールド、ピアノ、モネオ、ロジャース、磯崎、ザハ、グラッシなど、改めて国籍の多様性に驚く。外観のレギュレーションが強いなか、それぞれの建築家が工夫を凝らす。超傑作ばかりではないが、やはり群としての圧倒的な存在感が生まれている。この南北エリアは、かつてベルリンの壁沿いだったところで、東西の統一後、都市の中心になった、ほとんどが1990年代後半以降につくられた現代の風景だ。90年代に世界でもっとも激変した都市は、ベルリンと上海ではないかと思っているが、前者は世界のスター建築家を導入しながら、確実に都市の資産となる新しい街並みをつくり出している。一方、東京は結局、ザハを追い出したが、いま思えば外国人建築家に開かれていたバブルのときからの現代建築を将来も蓄積できるのか、心もとない。
写真:左=上から、ディーナー&ディーナー、カラトラヴァ、フォスター、ポルザンパルク、ウィルフォード。中=上から、ゲーリー、チッパーフィールド、ピアノ、モネオ。右=上から、ロジャース、磯崎、ザハ、グラッシ
2015/09/25(金)(五十嵐太郎)
《フンボルト・ボックス》
[ドイツ、ベルリン]
東ドイツ時代に王宮を破壊し共和国宮殿を建てたが、統一後にこれを壊して王宮を再建するプロジェクトを紹介する施設。むろん「王」宮にならないので、巨大な文化複合施設フンボルト・フォーラムが登場する(アジア、アフリカ、アメリカの民族学展示など)。すでに躯体を建設中だった。
写真:左上=建設中の《フンボルト・フォーラム》、右上=同模型、左下=《フンボルト・ボックス》、右下=旧宮殿模型
2015/09/24(木)(五十嵐太郎)
ボーデ博物館
[ドイツ、ベルリン]
竣工:1904年
大改造中のペルガモン博物館を横目に見て、ボーデ博物館へ。ここも巨大である。中世からバロック、彫刻、貨幣などを展示する。彫刻や絵画が建築と密接に関わるので、中世のパートが面白い。また、企画展は、敗戦時に失われた、あるいは破損した収蔵品がテーマだった。消えた作品を複写やレプリカで表現したり、修復の技法を紹介する。
写真:左上=改造中のペルガモン博物館、その他=ボーデ博物館
2015/09/24(木)(五十嵐太郎)