artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

ダニエル・リベスキンド《ベルリン・ユダヤ博物館》

[ドイツ、ベルリン]

一般オープン(2001年)以来、つまり14年ぶりの《ユダヤ博物館》へ。アーティストとグリーナウェイのコラボレーションの展示を開催していた。以前、訪れたときは昼間だったが、今回は夕方だったので、ホロコーストタワーの内部の光がもっと弱々しく、さらに絶望的な空間に感じられた。また、外に出たときはもう夜になっており、リベスキンドお得意のジグザグラインの開口から室内の照明が漏れ、まさに闇の中の雷のように見える。亡命の庭もほのかに光り、時間帯によってかなり印象が異なることが収穫だった。

2015/09/21(月)(五十嵐太郎)

ブルーノ・タウト《ブリッツ・ジードルンク》

[ドイツ、ベルリン]

竣工:1925年

郊外の集合住宅へ。ブルーノ・タウトが手がけた馬蹄形のジードルングは思っていた以上に大きく、日本の感覚から見ると、空間にかなりゆとりがある。また、世界遺産になったおかげか、メンテナンスが行き届き、あまり古さを感じさせない。日本の集合住宅は半世紀もすれば、ほとんど壊されてきたが、ここはきちんと使われ続けている。

2015/09/21(月)(五十嵐太郎)

塩田千春のスタジオ

[ドイツ、ベルリン]

塩田千春のスタジオを訪問した。旧東側の壁に近いエリアで、監視塔を改装した建築である。ベルリンは、すぐに忘却する日本と違い、どこに行っても戦争や政治の痕跡が空間に蓄積されている。今年は残念ながらヴェネツィアビエンナーレ国際美術展に行く時間をとれなさそうだが、彼女が日本館の設営での苦労や成し遂げたこと、活動のいろいろをうかがう。

2015/09/21(月)(五十嵐太郎)

ミース・ファン・デル・ローエ《新ナショナルギャラリー》

[ドイツ、ベルリン]

チッパーフィールドが改修に関わるということで、現在閉鎖中のミース・ファン・デル・ローエによる《新ナショナルギャラリー》へ。ただ、工事の囲いはないので、外からでも全面ガラス越しに内部がまる見えである。天井のグリッドはいずれにしろ影響されないが、まったく何も展示物がない空っぽの状態こそ、この建築にふさわしいかもしれない。

2015/09/21(月)(五十嵐太郎)

《ボロス・コレクション》

[ドイツ、ベルリン]

ベルリンに戻り、《ボロス・コレクション》へ。大戦時につくられた防空壕を5層のギャラリーに転用したものである。粗末な建物かと思いきや、コンクリートの要塞の外観は、新古典主義的なパラッツォ風で、正方形プランで集中性が強い。ユニークな建築を見に訪れたが、アリシャ・クワデ、Sailstorfer、サラセノなど、現代美術の展示もいい。

写真:上から、《ボロス・コレクション》外観、同内観1、同内観2、サラセノ展示風景。

2015/09/20(日)(五十嵐太郎)