artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

ラディカルモダン展

会期:2015/05/29~2015/10/26

ベルリンギャラリー[ドイツ、ベルリン]

1960年代に焦点をあて、建築、都市計画、アートの動向を紹介する。現在の風景を形成した建築のプロジェクトからユートピア的な提案まで資料も充実した内容だった。常設の展示では、エル・リシツキーによるプロウン・インスタレーションの再現が白眉である。1923年にこの大胆な空間の使い方をすでにやっていたとは、凄すぎる。

写真:上=ベルリンギャラリー、中=ラディカルモダン展、下=常設展「プロウン・インスタレーション再現」

2015/09/18(金)(五十嵐太郎)

ケーニッヒ・ギャラリー

[ドイツ、ベルリン]

竣工:2005年(リノベーション)

続いて、ケーニッヒ・ギャラリーへ。住宅街の一角にあるモダン建築の教会をまるごと買い取り、ギャラリーに変えたものだ。さすがに天井が高い。へたな美術館よりも、展示にふさわしい空間である。日本でこういう宗教建築をアート・スペースにリノベーションした事例が少ないように思う。会場では、入れ子状に青い壁をつくるCAMILLE HENROT展が開催中だった。

2015/09/18(金)(五十嵐太郎)

Berlin Art Week ベルリンアートウィーク

会期:2015/09/15~2015/09/20

ハンブルグ駅現代美術館[ドイツ、ベルリン]

ちょうどベルリンアートウィークが開催中であり、そのメイン会場へ。ABC(アートベルリンコンテンポラリー)は、駅に隣接する旧郵便仕分けの巨大な建物ステーション・ベルリンを使う。こういう空間的なストックが、当たり前のように、都市のあちこちにあるのは羨ましい。ABCは商業ギャラリーの集合展示だが、日本のアートフェアにおける作品動向と全然違うのが興味深い。

写真:上=アートベルリンコンテンポラリー展示風景、下=ステーション・ベルリン。

2015/09/18(金)(五十嵐太郎)

ディーナー&ディーナー《フンボルト大学自然史博物館》ほか

[ドイツ、ベルリン]

過去の建築と対話するディーナー&ディーナーの《自然史博物館》と《ハンブルク駅現代美術館》へ。後者のブラック・マウンテン展は、大学を辞めさせられた先生が、1933年にアメリカで設立した理想の芸術学校を紹介するものだ。ドイツからアルバース夫妻を招聘してバウハウス教育を導入し、ジャンルを超えて名だたるアーティストが出入りしていた状況を丁寧に伝えている。この教育機関からはラウシェンバーグらが輩出された。

写真:上=ハンブルク駅現代美術館、下=ブラック・マウンテン展展示風景。

2015/09/18(金)(五十嵐太郎)

デイヴィッド・チッパーフィールド《ベルリン新博物館》

[ドイツ、ベルリン]

竣工:2009年

ベルリンへ。2012年のベルリン訪問は、あいちトリエンナーレのキュレータチームの現地作家リサーチという業務モードだったので、新しい建築を見る時間がとれなかった。まず、最初は博物館島へ。デイヴィッド・チッパーフィールドによる新博物館の修復・設計は、新旧の対比と過去の解釈、天井のバリエーションなど、洗練された大人のデザインである。シンケルの旧博物館は、たぶん学生のとき以来の訪問だが、内部の展示室は、中央のドーム部屋を除くと、あまり過去を感じさせるものがなく、少し残念だ。ペルガモン博物館は改修中で、イシュタール門のある南ウィングのみ入れた。これらと比較しても、過去と現在が共存する新博物館の内部空間が、いかに優れているかがよくわかる。

写真:左=旧博物館、右=新博物館

2015/09/17(木)(五十嵐太郎)