artscapeレビュー

有設計室/川口有子+鄭仁愉《市原湖畔美術館》

2014年06月15日号

市原湖畔美術館[千葉県]

市原湖畔美術館は、有設計室/川口有子+鄭仁愉によるリノベーションだ。コンクリートが弧を描く、懐かしい80年代的空間に対し、ゼロ年代的なポコポコの箱をばらまき、両者をぶつける/ケンカさせるような介入であり、あちこちに複雑な場を生む。アーツ前橋もそうだが、近過去のリノベはこれから重要になるだろう。個人的にポストモダンのリノベーションは興味あるテーマで、あいちトリエンナーレでは青木淳に黒川紀章建築の仮設的なリノベを依頼した。こちらは対決型ではなく、オリジナルへのリスペクトを行なうもの。千葉学による大多喜町役場の増築・改修も、軸線を介して、過去と現在をつなぐ。

2014/05/02(金)(五十嵐太郎)

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