artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
アーティスト・ファイル2013─現代の作家たち
会期:2013/01/23~2013/04/01
国立新美術館[東京都]
国立新美術館の「アーティスト・ファイル2013」展を訪れた。最初の部屋のヂョン・ヨンドゥは、子どもが描く想像の世界を、そのまま写真として再現しようとする試みである。むろん、そこに作家の解釈も相当入り込むが、元の絵と写真を並べる展示の形式も興味深い。志賀理江子はスペースの都合上、せんだいメディアテークで展示された写真の1/3くらいを持ち込む。場所によって、見え方が変わっていくインスタレーションである。
2013/02/23(土)(五十嵐太郎)
Recover&Rebuild Japanese art & design 第1回東日本大震災チャリティ展「Monster展」オープニング・レセプション
会期:2013/02/22~2013/02/27
渋谷ヒカリエ 8/ COURT[東京都]
渋谷のヒカリエにて、庄司みゆきが企画したMONSTER展のオープニングに顔を出す。公募の審査に関わり、会場にて展示された選出作品を見てまわり、さらにベストのものに投票する。完成度や機能性(とはいえ、あえて一部機能がないモノも含む)の点から、小野誠による異形のライターのセットが良かった。淀川テクニックも元気である。デザインやアートなど、多ジャンルが混ざる公募の審査は、選ぶための基準を決めるのが難しい。
2013/02/22(金)(五十嵐太郎)
震災2年目を迎える日本─建築、アートの可能性 ~復興再生にどうかかわり、何ができるか~
会期:2013/02/21
日比谷にて、FPCJ特別企画プレス・ブリーフィング「震災2年目を迎える日本─建築、アートの可能性」を開催した。五十嵐は、被災した気仙沼のリアスアーク美術館、3.11により青森県立美術館で中止になった青木淳と杉戸洋のコラボレーションの実現、仙台在住の志賀理江子や青野文昭、被災地をリサーチした海外作家ブラスト・セオリーやアルフレッド・ジャーによるプロジェクトなど、あいちトリエンナーレにおける東北との関係を紹介した。一方、伊東豊雄はみんなの家と釜石のプロジェクトの現状を語る。後半は、仙台のみんなの家の現場と中継を結ぶ。当日は多くの外国人記者が集まり、いまだにさめない復興への関心の高さがうかがえる。
2013/02/22(金)(五十嵐太郎)
ここに、建築は、可能か 第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館帰国展
会期:2013/01/18~2013/03/23
TOTOギャラリー・間[東京都]
ギャラリー間の「ここに、建築は、可能か」展を訪れた。大量のスタディ模型など、大がかりなインスタレーション以外のコンテンツは、ほぼすべてを東京会場でも見ることができ、内容的にはヴェネチアビエンナーレ国際建築展2012の完全移植と言える。ただし、オリジナルがあの使いにくいと言われる日本館を巧みに使い倒した空間展示のインスタレーションだっただけに、場所を変えたときの違いはやはり気になってしまう。例えば、四面の壁で囲まれていた畠山直哉による陸前高田のパノラマ写真が、ここでは一直線に展開している。
2013/02/22(金)(五十嵐太郎)
せんだいスクール・オブ・デザイン 2012年度秋学期学内講評会
会期:2013/02/15
KatahiraXプロジェクトルーム、ギャラリートンチク[宮城県]
せんだいスクール・オブ・デザインの学内講評会を行なう。メディア軸のスタジオの成果物は、現代美術を特集した『S-meme』5号である。今回の内容は、受講生全員による志賀理江子「螺旋海岸」展レビューとsmtの担当学芸員・清水建人さんのレクチャー、そしてスローウォークの実践という二本柱だ。そのほか、拝戸雅彦によるあいちトリエンナーレと、住友文彦の前橋、横浜、別府における地方とアートのレクチャーも収録した。そして螺旋海岸展とスローウォークの運動をヒントに、蛇腹形式を三ひねりくらいした前衛的な装幀デザインが最大の特徴である(全体を開くと一直線ではなく、S字になり、菊判一枚に)。また印刷機を活用したグラデーション印刷の手法も実験した。いずれも紙の媒体でしかできない読書の体験をもたらす試みである。
2013/02/15(金)(五十嵐太郎)