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五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

美術にぶるっ!ベストセレクション 日本近代美術の100年

会期:2012/10/16~2013/01/14

東京国立近代美術館[東京都]

東京国立近代美術館の「美術にぶるっ!」展の最終日はさすがの人出だった。展示のサイン・デザインが良い。常設でときどき見ていたものが勢揃いしていたが、西洋風を模倣する前衛よりも、近代日本画の方がクオリティが高いように思われた。いっそ企画展用の別棟をつくり、このオールスター展示をいつでも常設で見られるようにすると、美術館に迫力が出るかもしれない。ただ、海外コレクションはちょっと弱い。第二部「実験場1950s」は、原爆のテーマを基層としながら、東近美が誕生した時代を振り返る。当時の印刷物などを見ながら、僕が生まれる前だが、この空気感を覚えていると気づく。まだ時代が連続していた、と。では、いつ断絶したのか? 1990年代かもしれない。

2013/01/13(日)(五十嵐太郎)

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9h

[京都府]

前々から泊まってみたかった、おしゃれカプセルホテルの9h(ナインアワーズ)に宿泊した。外観の一階部分は景観条例によって、町家を意識したものだが、その上は即物的な立体駐車場のようだ。内部のデザインはよく整理され、フロアや左右のエレベーターによって男女の空間や機能を明快に分ける。なるべく言葉による説明を排し、廣村正彰のサインが的確に動作や道順をナビゲートする。ミニマムに削ぎ落されたホテルだった。

2013/01/12(土)(五十嵐太郎)

JFK空港ビジネスラウンジ

[アメリカ、ニューヨーク]

JFK空港のビジネスラウンジは、ドナルド・ジャッド、ダン・フレヴィン、クリストほか、巨匠のアートワークを散りばめ、しかも各作品のキャプションと解説までついている。さすが現代美術の街ニューヨークと思いきや、よく見ると、備品の横のフレヴィンやジャッドは、ありえないほど、ぞんざいで失礼な置き方でそのギャップがちょっと笑える。

2013/01/03(木)(五十嵐太郎)

41 Cooper Square

[アメリカ、ニューヨーク]

最終日、イーストヴィレッジ界隈を歩く。モーフォシスによる新しいクーパー・ユニオンの建物は、メインストリートに対して屈曲したファサードをもち、ゲーリー的な派手さを演出しつつも、躯体と表層を分離して内部はそれほど過激ではなさそうだ。その後、近隣を歩いたが、改めてニューヨークもガラスの高層建築が増えていることを痛感した。

2013/01/03(木)(五十嵐太郎)

トゥーランドット

メトロポリタン歌劇場[アメリカ、ニューヨーク]

メトロポリタン劇場にて、オペラ『トゥーランドット』を見る。垂直方向の高さや奥行きのある舞台美術は好みだ。しかし、相対する複雑な感情を楽曲で表わすモーツァルトのオペラ『ドン・ジョバンニ』とは違い、プッチーニのオペラはわかりやすい内容と曲で、オリエンタリズムの色彩が強いど派手な演出が目立つ。その感覚は、ハリウッド映画に近いというか、実際初期のスペクタクルはオペラの影響も受けていたのだろう。

2013/01/02(水)(五十嵐太郎)