artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
渋谷
[東京都]
『カーサ・ブルータス』の編集部と、渋谷を撮り続ける佐藤豊さんに街の変遷についてお話しをうかがい、過去の写真をいろいろ見せていただく。オリンピックを契機に整備された公園通りは、かつて連れ込み宿が多く、いまとは全然違うイメージだったなど、歴史の生き証人だった。その後、パルコ40周年ということで、撮影に立ち会い、インタビューを受ける。個別の建築はそれほど変わったデザインではないが、坂道が多い地形のなか、ネットワーク的に連結する店舗群が渋谷という街と人の流れを確かに変えた。
2013/04/08(月)(五十嵐太郎)
《石川近代文学館》《石川県立歴史博物館》《金沢くらしの博物館》ほか
会期:2013/04/03
[石川県]
久しぶりに金沢の近代建築群をまわる。建築史の勉強を始めてすぐ見て、それ以来だから、20年ぶりくらいになるだろうか。空襲や地震などの被害を受けなかったこともあるが、石川近代文学館(旧制第四高等中学校本館)、石川県立歴史博物館、金沢くらしの博物館(旧制金沢第二中学校)、旧陸軍金沢偕行社、陸軍第九師団司令部庁舎など、改めて明治の建築がよく残り、しかもリノベーションされながら、活用されていることを確認した。かといって過去に囚われるのではなく、相変わらず美しい空間をつくる谷口吉生の鈴木大拙館、工藤和美の金沢海みらい図書館など、新しい現代建築も着実に増えている。こうしたまちの雰囲気は、どことなくヨーロッパの中規模都市を思い出させる。
写真:左上=《旧第四高等中学校本館(石川近代文学館)》、左中=《旧陸軍金沢偕行社》、左下=谷口吉生《鈴木大拙館》、右上=《石川県立歴史博物館》、右中=《旧陸軍金沢偕行社》、右下=堀場弘+工藤和美《金沢海みらい図書館》
2013/04/03(水)(五十嵐太郎)
ジャンゴ 繋がれざる者
会期:2013/03/01
タランティーノ監督の『ジャンゴ』は、『イングロリアス・バスターズ』が映画を使ってナチスをやっつけたのに続き、アメリカの奴隷制度に立ち向かう作品。既存ジャンルの遺産を最大限に利用しながら、引用とオマージュにとどまることなく、かつて成立することがなかった唯一無二の映画に仕上がっている。ある意味、物語の展開は無茶苦茶なんだが、それを突っ込むのが野暮だと思う勢いをもった映画批判になっているのが痛快だ。
2013/04/01(月)(五十嵐太郎)
クラウドアトラス
会期:2013/03/15
『クラウドアトラス』を見る。複数の物語を織り交ぜると言えば、『インセプション』が多重の入れ子構造であるのに対し、これは6つの異なる時空が連鎖しながら、同時存在するようにも見える感じだった。ただ、『インセプション』が過去の記憶の深層に向かっていく一方、『クラウドアトラス』は、人々が輪廻転生を繰り返しつつ、自由な未来に向けて、少しずつ世界をよりよいものに変えていこうとするメッセージを込めている。
2013/04/01(月)(五十嵐太郎)
パラモデル「パラの模型/ぼくらの空中楼閣」
会期:2013/02/16~2013/05/06
メゾンエルメス8階フォーラム[東京都]
メゾンエルメスのパラモデル展「バラの模型/ぼくらの空中楼閣」を見る。今回は、カラフルな鉄道模型のキットを使う、いつもとは違うタイプの作品を展開していた。レンゾ・ピアノのシステマティックな建築を意識し、天井からキュービックなヴォリュームを反復したインスタレーションを吊る。さらに水晶宮やタウトの「都市の冠」を参照した作品も制作していた(イ・ブルもこれらの建築を意識した作品をやっていたが)。
2013/03/31(日)(五十嵐太郎)