artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
建築の際シンポジウム「映画、建築、記憶」
会期:2012/11/17
東京大学情報学環・福武ホール地下2階 福武ラーニングシアター[東京都]
「建築の際」シンポジウムに際して、諏訪敦彦監督の『H STORY』(2001年公開)とアラン・レネの『二十四時間の情事』(1959年6月公開)を久しぶりに見る。後者は当時の広島平和記念資料館の展示の様子がわかって興味深い。前者はラストの原爆ドーム内からのショットが印象的で、『不完全なふたり』と同様、開口=フレームが多くを物語る。シンポジウムでは講師を呼んで終わりではなく、4名の学生が問題提起を行ない、2部にわたって「映画、建築、記憶」をめぐる討議を展開した。射程は3.11後に及ぶ。諏訪がすべてを決定する主体としての監督ではないことがわる。また懇親会では、奥様も制作の過程で重要な役割を果たしていたことを知る。
2012/11/17(月)(五十嵐太郎)
墨田まち見世2012/特別企画「どこにいるかわからない」展
会期:2012/11/10~2012/11/25
東向島の「どこにいるのかわからない」展をまわる。路地と屈曲した通りに沿って、空き家、空き地、旧工場などを使い、幾つものアートプロジェクトが展開し、文字通り、道に迷い、どこにいるのかわからなくなるような場所性を体験する。個別の作品もこのコンセプトを意識したものが多い。ここのまちづくりに関わってきた真野洋介のトークでわかったのは、墨東のエリアには、北川貴好、KOSUGE1-16、戸井田雄が入っており、あいちトリエンナーレの長者町の作家とかぶっていること。そして土屋公雄の薫陶を受けた武蔵野美大の建築系ネットワークが強い。ゆえに、展示も空間を使う力作がそろう。
2012/11/16(金)(五十嵐太郎)
神田コミュニティアートセンタープロジェクト「TRANS ARTS TOKYO」
会期:2012/10/21~2012/11/25
旧東京電機大学校舎11号館ほか[東京都]
神田のTRANS ARTS TOKYOを訪れた。解体予定の旧電機大学の校舎がまるごと展示空間になっており、ぶっとんだ学園祭のようである。13階は建築系だが、たぶん少ない予算のため、大量の紙を貼る+映像といった類似した展示のパターンが多い。最近はどうしても展示環境を見てしまうのだが、改めて学校空間は出入口を管理しやすいと気づく。
2012/11/16(金)(五十嵐太郎)
石巻市立湊小学校避難所
映画『石巻市立湊小学校避難所』を見る。震災後の7カ月間、ある意味で小学校が急きょ集合住宅にリノベーションされた日々の記録だ。人々が肩を寄せ合い、大きな家族が形成され、仮設住宅に移ることでまた去っていく。テレビで放映されないような本音も聞かれて興味深い。仙台で見たのだが、劇場にいる観衆の雰囲気が東京とまるで違う。
2012/11/14(水)(五十嵐太郎)
美しい星|フェスティバル/トーキョー
会期:2012/11/12~2012/11/20
The 8th Gallery(CLASKA 8F)[東京都]
ピーチャム・カンパニーの「美しい星」を観劇した。核の恐怖を背景とした三島由紀夫のSF(!)的な小説が原作である。舞台装置はミニマムにおさえる。本編は少し長過ぎると思ったが、クラスカの8階から屋上へと場所を変えたエピローグの空間環境の素晴らしいこと! 狂言まわしは「ゴドーを待ちながら」のエストラゴンとヴラジーミルが重なる。
2012/11/12(月)(五十嵐太郎)