artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
小さな建築展 第36回「豊橋の曙町建売住宅」展
会期:2012/11/01~2012/11/25
吉村順三記念ギャラリー[東京都]
結婚式の二次会前に自由学園から吉村順三ギャラリーに移動し、展示と室内空間を見学する。かつて吉村が打ち合わせで使った部屋や変形する家具が興味深い。現在、上階は複数の設計事務所のシェアオフィスになっている。「小さな建築展」の展示そのものは説明があまりなく、決して親切なものではないが、会場に吉村の娘や元スタッフがいて、いろいろと解説してくれる。また愛知県芸の保存問題も話題になった。
2012/11/11(日)(五十嵐太郎)
フランク・ロイド・ライト、遠藤新《自由学園 明日館》
[東京都]
五十嵐研の教え子同士の結婚式で、明日館を訪れる。いかにも建築系の場所だが、式でエヴァンゲリオン旧劇版の楽曲「甘き死よ、来たれ」が流れたことには驚かされた。さすが研究室第一期、最強の二人である。加茂川智哉の卒計は漫喫、修士設計でサブカルチャーの聖地である中野ブロードウェイ改造計画。アニメ好きの鈴木茜は卒計日本一ファイナリスト、修士はトウキョウ建築コレクション最優秀だった。なお、結婚式用の建築ではないので、やたら横に長いプロポーションの部屋での会食は新鮮な空間の使い方である。
2012/11/11(日)(五十嵐太郎)
分館爲三郎記念館 特別展 高北幸矢インスタレーション「落花の夢」
会期:2012/10/13~2012/12/16
古川美術館[愛知県]
古川美術館・分館の為三郎記念館にて、デザイナーの高北幸矢によるインスタレーション展「落花の夢」を見る。すでにガラスの透明性を獲得しつつも、凝った木造のディテールが共存する近代の数寄屋建築のあちこちに、赤い造花がささやかに散りばめられる。建築と庭の空間を引き立てる展示だった。
2012/11/10(土)(五十嵐太郎)
長者町ゑびす祭り
会期:2012/11/10~2012/11/11
長者町[愛知県]
長者町のえびす祭りを体験する。斉と公平太のゆるキャラ・アートの長者町くんのほか、あいちトリエンナーレ2010のときに制作されたKOSUGE1-16の山車によるパレードが人目をひいた。ダイナミックな回転運動、そしてゲートをくぐるときに上下する頂部。これはまさしくモバイル・アーキテクチャーだった。都市の祝祭をうたうトリエンナーレのアート作品が、町の祭りに組み込まれたことも素晴らしい。
2012/11/10(土)(五十嵐太郎)
トリエンナーレスクール「原っぱと鉄の浮遊する粒子」
会期:2012/11/09
名古屋市美術館 2階 講堂[愛知県]
名古屋市美術館にて、トリエンナーレスクール「原っぱと鉄の浮遊する粒子」を行なう。個展を開催中の彫刻家、青木野枝と建築家の青木淳のトークの進行役をつとめる。あるがままに美術館を受けとめ、それに合わせて作品を制作・設置する青木野枝と、周囲の環境を読み込み建築の主張を消していく青木淳。やはり、世界に対する態度において共通点が感じられた。それゆえ、気が合うのだろう。二人が共同した吉祥寺のAOAO荘のエピソードも興味深い。美術家と建築家のトークは意外に多くはないが、これは両者の接点を感じさせる未来志向の貴重なものだった。ごく自然にさりげなく当たり前に二人が語っていたことで、その邂逅の希有さが感じられないほど。
2012/11/09(金)(五十嵐太郎)