artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
川俣正 展「Expand BankART」
会期:2012/11/09~2013/01/13
BankART Studio NYK[神奈川県]
川俣正 展「Expand BankART」へ。オープンの日はまだ一部しかできておらず、ワーク・イン・プログレスを続け、訪問時は完成していた。BankARTの内外ともに、開口の建具やパレットが増殖しながら建物をハッキングしていく。二階で壁を使わず天井のみの設置、あるいは三階の展示室に大きな余白をもうけるなど思い切った構成もカッコいい。
2012/12/24(月)(五十嵐太郎)
東京アートミーティング[第3回]アートと音楽─新たな感覚をもとめて
会期:2012/10/27~2013/02/03
東京都現代美術館[東京都]
都現美の「アートと音楽」展は、想像以上によかった。理系アート好みには楽しい展示であり、池田亮司の宇宙/遺伝子のデータ音楽の美しいこと!筆者の修士論文が建築と音楽をつなぐ論考「ゴシックとノートルダム楽派」だったので、武満徹やケージの図形楽譜、田中未知のアイウエオ楽器は、院生の頃よくチェックしていた分野でそれも懐かしい。
2012/12/23(日)(五十嵐太郎)
スカイフォール 007
映画『スカイフォール』は、スタイリッシュな絵だった。内容としては、『007』シリーズ50年のレガシーを継承しながら、古くなったものを新しい時代に復活させることがテーマである。トルコ、上海、マカオ、軍艦島、スコットランドの風景描写も素晴らしい。特にテクノスケープ系におすすめである。以前から筆者もカッコいいと思っていた高架の道路の青い照明など、未来的な上海ブルーの表象が最高だった。また上海のガラスの摩天楼を舞台とした、人のシルエットや青っぽいクラゲの映像がリフレクションするなかでの戦闘シーンの美しさも忘れがたい。東京は、もはやアンティークではないかと、ふと思う。
2012/12/21(金)(五十嵐太郎)
SSDハウスレクチャー 「線の事件簿」松田行正
会期:2012/12/18
阿部仁史アトリエ[宮城県]
仙台の卸町にて、デザイナーの松田行正が自ら手がけた大量の本を会場に持ち込み、レクチャーを行なった。二次元的なグラフィックにとどめるのではなく、本という三次元のモノへのこだわりが強く感じられる内容だった。個人的にも『線の事件簿』でファンになり、筆者が編集委員長のとき『建築雑誌』の表紙デザインを依頼したことがある。毎年、牛若丸で自由に好きな本をつくっているが、実は恒例のライブで喜ばれるお土産からスタートしたとのこと。またデザイナーの資質に加え、もともと編集者的なセンスが根源にあったことを知る。
2012/12/18(火)(五十嵐太郎)
ス・ドホ│パーフェクト・ホーム
会期:2012/11/23~2013/03/17
金沢21世紀美術館[石川県]
金沢21世紀美術館で開催されていたス・ドホの「パーフェクト・ホーム」展を見る。繊細なファブリックを用いて、既存の建築/空間のヴォリュームを再現することで知られる韓国のアーティストである。今回は宿泊できるモバイル建築の試み、建物の隙間に家が挟まった屋外インスタレーション、家が家に衝突して破壊されたような風景や模型(このタイミングだと、日本では津波の被害を想起させるが)などを紹介していた。
2012/12/16(日)(五十嵐太郎)