artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
メトロポリタン美術館
[アメリカ、ニューヨーク]
メトロポリタン美術館を久しぶりに訪れる。このメガ・ミュージアムは、モノを並べる展示空間も、エジプト、中国、ギリシア、イスラム、ゴシックなど、地域や時代ごとのテーマにあわせて入念につくり込み、いわばすべて本物を並べたディズニーランドのようだ。また大吹抜けの人の多さはまるで駅のようだ。日本美術のセクションでは、近世の絵に囲まれて、名和晃平によるビーズに覆われた鹿の彫刻を置く、ユニークな展示が心憎い。
2013/01/02(水)(五十嵐太郎)
グランド・ゼロ
[アメリカ、ニューヨーク]
9.11の同時多発テロの跡地へ。6年前に訪れたときは、まだ鎮魂の雰囲気が強かったように思うが、いまは新しい高層ビルの建設が進み、タワー跡を強調するメモリアル施設も完成し、新しい観光地として、多くの人の流れが生まれている。近くにはファサードの垂直線がうねうねとくねる76階建てのゲーリーによる高層マンションも登場していた。
2013/01/02(水)(五十嵐太郎)
ハイライン
[アメリカ、ニューヨーク]
マンハッタンにて、高架線跡地を公園にリノベーションしたハイラインを歩く。ディラー+スコフィディオのデザイン、ピエト・オウドルフの造園、高架跡をまたぐホテルなど、さすがにセンスがいい。どうして、こういう洗練された空間が日本にできないのだろうか? またハイラインに沿って、フランク・O・ゲーリーやニール・ディナーリらの幾つかの現代建築、屋外のアートワーク、そして巨大なガゴシアンを含むギャラリー街も見学できる。
2013/01/01(火)(五十嵐太郎)
ブロードウェイ/タイムズ・スクエア
[アメリカ、ニューヨーク]
前回ニューヨークを訪れたときは時間がなく、スキップしたので、今回はおよそ15年ぶりにブロードウェイとタイムズ・スクエアの界隈を歩く。電飾や大型のスクリーンがすごいことになっており、かつての東京以上に『ブレードランナー』的な世界が出現している。人工の光によって、本当に夜が眩しい。特に屋外の大きなスクリーンに歩行者が映り込む、シンプルなメディア・アート的装置が大人気だった。
ちなみに、大晦日は夕方から、カウントダウンで有名なタイムズ・スクエアの周囲の数ブロックに大量の警官があふれ、クルマを閉めだし、人の交通を制限すべく、バリケードで道路を封鎖している。都市に戒厳令でもしくかのように、ものものしい。このエリアに泊まっていたため、夜ホテルに戻るのにも、宿泊証明書を見せないと通れなくなるほどだった。
写真:タイムズ・スクエアの周囲と大型スクリーン
2012/12/31(月)(五十嵐太郎)
MoMA SP1
[アメリカ、ニューヨーク]
MoMAのPS1へ。いまや日本でもめずらしくなくないが、学校をアートの場にコンバージョンして使う先駆者である。ただ、やはり日本とアメリカでは、もとの学校の空間性能は違う。こちらは天井も高い。訪問時は、LAのアフリカン・アメリカンによるアートの歴史、パキスタンのベーコンみたいなBHABHAによる彫刻と絵画、ゲイでアウトサイダーアートのLANIGAN-SCHMIDT(身のまわりの素材で宗教的な作品を制作)、パゾリーニの映画を特集しており、空間だけではなく、展示もオルタナティブで興味深い。
2012/12/31(月)(五十嵐太郎)