artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
畠山直哉 展 Natural Stories ナチュラル・ストーリーズ
会期:2011/10/01~2011/12/04
東京都写真美術館[東京都]
自然への人工的な介入による崇高な風景(「ブラスト」や「テリル」のシリーズなど)がメインだが、今回注目された彼の故郷である陸前高田は、逆に自然が人工的な環境に暴力的に介入した風景といえるだろう。陸前高田の3.11以前と以後が対峙する一角は、スペクタクル化を避けるべく、小さな写真となっていた。筆者が被災地を歩いた経験から、瓦礫の片付け具合を見ると、それぞれの写真がいつ頃に撮影されたものか大体わかってしまうことに気づいた。
2011/10/02(日)(五十嵐太郎)
せんだいスクール・オブ・デザイン 2011年度春学期成果発表会
会期:2011/10/01
東北大学工学研究科中央棟DOCK[宮城県]
せんだいスクール・オブ・デザイン2011年度の春学期成果発表会において、「文化被災」を特集した『S-meme』2号の報告を行なった。袋とじ製本だが、通常とは違うスタイルである。まず最初の状態で東浩紀インタビューを普通に読めるのだが、ページのあいだを切り裂くと、別のテキストが出現し、それもさらにもう一度上部を切ることができ、隠れた文章があらわれる。テキスタイル・コーディネーター、デザイナーの安東陽子によるゲストレクチャーでは、最初に百貨店で販売を経験し、お客にあった洋服を選んだことから、今の仕事につながったことを知った。実際、伊東豊雄が来客し、建築の仕事に接点が生まれたという。
2011/10/01(土)(五十嵐太郎)
建築系ラジオ・ブースの「台湾若手建築家展」/大西麻貴+百田有希 展
新・港村(新港ピア)[神奈川県]
新・港村にて、謝宗哲さんがキュレーションした建築系ラジオ・ブースの「台湾若手建築家展」と、U-35ギャラリーにて筆者が推薦して選ばれた「大西麻貴+百田有希展」を見る。前者は村上春樹の『1Q84』に着想をえたリトルピープル・アーキテクツの作品を紹介し、後者は二重螺旋の家を展示するが、全体の会場構成がオリジナルの空間の雰囲気を再現しており、秀逸である。
2011/09/30(金)(五十嵐太郎)
建築同人誌『ねもは02+』刊行記念イベント「建築プレゼンテーション」
会期:2011/09/30
UPLINK FACTORY[東京都]
渋谷のアップリンクにて、UIAの関連企画としてケンチク映像祭+『ねもは02+』刊行記念イベントを行なう。フルに完成した『ねもは』の2号は、全416pで図像資料満載。学生の同人誌でこれを超えるのは難しいだろう。いや、「学生の同人」を外しても、なかなかのクオリティといえる。この自由な図版の感じは今風というよりも、かつての雑誌の勢いを思い出す。五十嵐への5万5千字インタビューも収録している。しかも震災により図書館がしばらく使えなくなり、教室も研究室も失った劣悪な環境にもかかわらず、この雑誌がつくられたことに驚く。
2011/09/30(金)(五十嵐太郎)
UIA(国際建築家連合)2011東京大会関連企画「Girls meet Architecture─東京建築ガールズ・コレクション展」
会期:2011/09/22~2011/10/01
するところ[東京都]
両国のするところの「東京建築ガールズ・コレクション展」は、想像以上に力作そろい。タイ、インドネシア、国際フォーラム4階の日米の女性建築家の歴史展をたどってここに来ると、「女性」という括りよりも、大学ごとの教育の違いが透けて見え、それよりもさらに「日本」の建築という属性が一番強く感じられる。
写真:上から「東京建築ガールズ・コレクション展」「未来へ──日米女性建築家のパイオニアたちの肖像展」
2011/09/28(水)(五十嵐太郎)