artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
《ソニーシティ大崎》
[東京都]
竣工:2011年3月
《ソニーシティ大崎》の見学会に参加した。駅前の140m四方に及ぶバイオスキンのファサードでは、多孔質な陶器製管内を雨水がめぐり、打ち水効果で都市を冷やす。悪者扱いされがちだが大きな建築だからこそできることを逆に考えたという。しかも、それによって多くの樹木を都市に植えたような効果をもたらす、オフィスビルである。内部は《ポンピドーセンター》のように無柱の大空間が広がっている。
2011/11/12(土)(五十嵐太郎)
シンポジウム 次世代の表現と可能性5「アジアに飛びだす建築家が提示する新しい造形」
会期:2011/11/11
建築会館ホール[東京都]
年末に行なう恒例のシンポジウムの第5回。今度はグローバリズムに絡めて、アジアをテーマとした。高雄などの国際コンペで前衛的な造形を提示する平田晃久、台湾と日本、あるいはデジタルとリアルを行き来する豊田啓介、上海に拠点を置く佐伯聡子=KUUらがその活動を語る。現在の日本にはない、新しいチャンスがあるアジアの建築界を知るよい機会となった。
上:豊田啓介《GRAVITY-FIELDS》
下:KUU《マイナスKハウス》(上海)
2011/11/11(金)(五十嵐太郎)
谷尻誠 展覧会「Relation」
会期:2011/10/25~2011/11/13
ビームスジャパン B GALLERY[東京都]
建築を浮かせたら、ということで、そのイメージによるインスタレーションの作品。一般の人にもわかりやすい、空中都市の模型である。部屋に入り、おお、どうやって浮かんでいるのかなあと見ていると、中央の微小なたわみと、小さな支持体が目にとまり、逆説的に重力の強さを感じる展示でもあった。
2011/11/11(金)(五十嵐太郎)
『A haus No.10』
発行所:Ahaus編集部
青森の建築雑誌『A haus』10号は、新幹線開通にあわせ、「交通都市青森の記憶と未来」を特集。先日の青森県立美術館のシンポジウムでも言及したように、地方発の建築誌として重要な存在だが、残念ながら今号をもって休刊とのこと。仙台発の『S-meme』とともにがんばっていきたかったのだが。
2011/11/10(木)(五十嵐太郎)
『Under 40 Japanese Architects』
http://www.under40japanesearchitects.com/
ベルギーから東北大の五十嵐研に来ていた留学生のヴィンセント・エヒテが修士課程の修了作品として制作した映像『Under 40 Japanese Architects』がウェブ上で公開された。ちょうど東北大学やせんだいスクール・オブ・デザインの講師に訪れていた石上純也、平田晃久、中山英之、西田司らのインタビューと、《KAIT工房》など、彼らの建築を収録したものである。最初に彼に会ったとき、大分の藤本壮介による《House N》のCGを使ったムービー作品を見せてもらったが、その後、日本に滞在し、実際の建物と本人の映像を撮りためて、今回の完成に導いた(残念ながら、タイミングが合わず、藤本へのインタビューはかなわなかった)。途中、東日本大震災による帰国という障害を乗り越えて、日本の若手建築家の現在を知るための、すぐれた映像作品になっている。院生のレベルを超えているのは、本人が建築よりも映像を志しているからだろう。
2011/11/09(水)(五十嵐太郎)