artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
メタボリズムの未来都市展
会期:2011/09/17~2012/01/15
森美術館[東京都]
森美術館の「メタボリズムの未来都市」展は、戦時下の都市計画から始まり、丹下健三の戦災復興計画、広島ピースセンターや東京湾を横断する東京計画1960を経て、1960年代に一気にメタボリズムが花開く状況を紹介する。戦前と戦後を単純な断絶とみなさず、大きなヴィジョンの国土計画の連続ととらえる視点は、本展の企画監修に関わった八束はじめの著作『メタボリズム・ネクサス』と共通するだろう。紹介されているほとんどの内容は知っているが、モノとして同時に資料が一覧できる悦びは大きい。また森美術館が、黒川紀章のコレクションを集めていることもわかる。
2011/09/21(水)(五十嵐太郎)
SD Review 2011 第30回「建築・環境・インテリアのドローイングと模型の入選展」
会期:2011/09/14~2011/09/25
代官山のヒルサイドテラスにおいて、建築系若手の登竜門、SDレビュー2011を見る。今年の出展者は、知人、同僚、仕事で担当スタッフだった人、過去にコンペや卒計の審査で選んだ人が多い。作品のなかでは、へんてこなリノベーションの今村水紀+篠原勲、加藤比呂史+ヴィクトリア・ディーマー・ベネッツェン、メジロスタジオの《バルコニービル》などが印象に残る。
2011/09/21(水)(五十嵐太郎)
第2回ヤング・アーキテクツ・プラザ「若手建築家による東日本大震災復興支援・建築デザイン」展
会期:2011/08/23~2011/09/22
オリエアート・ギャラリー[東京都]
オリエアート・ギャラリーの「若手建築家による東日本大震災復興支援・建築デザイン」展は、おおむね平地への洗練された高台案、傾斜地を生かした住宅配置、エネルギー系の提案に分類できる。この手の企画を見ると、なぜ現場を知る東北の建築家がいないのだろうかと、つい思ってしまう。
2011/09/21(水)(五十嵐太郎)
Visualizing Architectural Design Exhibition(VAD)国際建築イラストレーション展
会期:2011/09/17~2011/10/02
ポーラ ミュージアム アネックス[東京都]
UIA関連企画、ポーラミュージアムアネックスの国際建築イラストレーション展は、技術的にすぐれた大量のドローイングが紹介され、なかにはSF的な作品もある。が、ジャンル絵画というか、枠を突き抜ける異物はない。絵が巧いことは間違いないのだが、心をゆり動かすものではなく、アートとの違いを考えさせられる。
2011/09/19(月)(五十嵐太郎)
岡本信治郎 空襲25時
会期:2011/08/09~2011/09/19
渋谷区立松濤美術館[東京都]
松濤美術館の岡本信治郎「空襲25時」展を訪れる。彼は磯崎新と同世代だが、ゼロ年代に入り、東京空襲の記憶を銀ヤンマなどになぞらえ、巨大な連作として展開している。9.11を受けた作品群も制作されている。表面的にはドロドロせず、ポップでさえあるのだが、それがかえってクールに怖さをかきたてる。おそらく展示には使いにくいであろう白井晟一の湾曲した空間が、今回はむしろ効果的に活用され、宗教的な場になっていた。
2011/09/19(月)(五十嵐太郎)