artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
建築系ラジオ春合宿2011「神奈川県西部建築ツアー」
会期:2011/04/17
54の窓、松田山ハーブガーデン、アサヒビール神奈川工場、とらや工房[神奈川県]
合宿の二日目は、石井和紘の54の窓、高松伸の松田山ハーブガーデン、安藤忠雄のアサヒビール神奈川工場をまわり、原を含む、ポストモダン四天王について、学生とともにラジオ収録を行なう。最後は内藤廣によるとらや工房へ。断面で空間を決定し、環境に沿った配置でおちついた場をつくるシンプルだが、強度のあるデザイン。この隣が吉田五十八による東山旧岸邸で、ディテールのレベルで現代的な感覚により再解釈された和の空間を堪能する。その後、とらやに戻り、菓子とお茶をいただく。なかなか、初心者にはできないセレクションのマニアックな建築ツアーとなった。
2011/04/17(日)(五十嵐太郎)
建築系ラジオ春合宿2011「予選落ちなし、必ず講評が受けられる建築系ラジオ~設計・論文発表会」
会期:2011/04/16
丹沢ホーム[神奈川県]
建築系ラジオが企画した「予選落ちなし、必ず講評が受けられる建築系ラジオ~設計・論文発表会」は、卒計イベントが一部の選ばれた作品とそれ以外の選ばれなかった作品という風に、二分されてしまうことに対し、全員がクリティックを受けることができるオルタナティブである。実際、原広司が設計した丹沢ホームに泊まり、学部1年、2年の学生も、約30分の講評を全国各地からの先生と建築家から受けるという贅沢な企画になった。特に東京理科大学の一年生、木崎美帆が、写真課題や自室に手を加える課題において独特のセンスを示したことが印象に残っている。
2011/04/16(土)(五十嵐太郎)
東北大学による東日本大震災1ヶ月後緊急報告会
会期:2011/04/13
トラストシティ カンファレンス・仙台 5階[宮城県]
仙台のトラストシティ5階の会場にぎりぎりで到着すると、満員で立ち見だった。発表は建築よりも土木寄りだったが、だからこそ普段考えていなかった視点が多く興味深い。まだわからないことが多いことも、研究者から真摯に語られたのは印象的である。それは報告会の質疑応答でも繰り返されたシーンだが、安全か、安全でないといった白黒を常に要求し、(もっとも不安な)わからないという選択肢を排除するメディアの言語とは違う。筆者にとっては、東日本大震災について、まだ知らない事例が多いことを改めて知ることができたのが、最大の収穫だった。阪神・淡路大震災がピンポイントだったのに対し、今回は全貌をすぐ把握するのには、あまりにも広域なのである。
2011/04/13(水)(五十嵐太郎)
東日本大震災における建築家による復興支援ネットワーク「アーキエイド」
東日本大震災を契機に、その復興をサポートするための国際的な建築家のネットワークが立ち上がった。アーキエイドがめざすのは、緊急避難→仮設住宅→まちづくりという一連のプロセスにおけるとくに第三段階において、リサーチや提案などを通じ、建築家のスキルを生かすこと、被災した東北エリアの教育環境を支援すること、関連するリサーチや活動のアーカイブをつくること、そしてこれらの目的のために使える寄付金を集めることである。まだホームページが開設されたばかりで、始まったばかりの運動体だが、長く継続していくことが重要だろう。
2011/04/11(月)(五十嵐太郎)
台北の設計事務所、施設訪問
会期:2011/04/11
LEAD DAO(利道科技工程公司簡介)、H2R architects、ルメリディアン台北ホテル[台湾台北市]
豊田啓介が率いるNOIZ ARCHITECTS のChunwei Lee の案内により、半日、台北をまわった。最初は、構造、環境、設備、施工に関連して、デジタル技術の側面からコンサルティングとサポートを行なう事務所、Lead Dao(利道)を訪問した。もともとは工業製品の仕事を行なっていたが、伊東による台中のオペラハウスと高雄のスタジアム、高松伸やロジャースによる高雄の地下鉄駅、メカノの作品など、複雑な造形の建築プロジェクトにおいて、大きな役割を果たしている。
続いて、淡江大学のインキュベーション施設に拠点をおく、H2Rのメンバーと会う。元OMAの白井宏昌、スティーブン・ホール事務所出身の平原英樹、台湾の張容豪による国際的な若手ユニットで、大きなプロジェクトのプレゼンテーションの直前だった。最後は、台北のメリディアン・ホテルへ。大量の現代アートを展示し、へたな美術館よりも多い。一階にはNOIZ ARCHITECTSが手がけた、紙によるランダムなハニカム構造のアート作品を置く。また同ホテルにおいて、彼らはインテリアデザインとして、見る角度によって波形が変わる新しいシャンデリアも手がけている。
2011/04/11(月)(五十嵐太郎)