artscapeレビュー
小吹隆文のレビュー/プレビュー
鉄道芸術祭 vol.1「西野トラベラーズ 行き先はどこだ?」
会期:2011/10/22~2011/12/25
アートエリアB1、中之島デザインミュージアムde sign de >、Antenna Media他[大阪府、京都府]
京阪電車の駅構内という珍しい立地のアートエリアB1。その特徴を生かすべく、大阪、京都にまたがる同社沿線の3カ所で展覧会を行なうユニークな企画が行なわれている。メインアーティストの西野達は、アートエリアB1内に巨大な沿線絵地図、街灯で家具などを串刺しにしたオブジェ、4室の仮設インターネットカフェなど、インパクトの強い作品を披露した。他の2会場では漫画家の横山裕一が個展を開催している。また、アートエリアB1に隣接する地下駐輪場では、contact Gonzoらのパフォーマンスも。さらに12月初旬には、西野と漫画家のしりあがり寿による船上トークや、ホーメイ歌手の山川冬樹とダンサーの山川キムによる貸し切り電車内パフォーマンスも予定されており、話題が尽きることはない。鉄道会社とアートの先駆的なコラボレーションとして、要注目である。
2011/10/26(水)(小吹隆文)
堀香子 展「指は聴く 光のあわい」
会期:2011/10/25~2011/11/06
ギャラリー恵風[京都府]
有機的な形態と複雑な曲線の陶オブジェを制作している堀香子。以前は紐づくりのみで成形していたが、近年は「たたら」という薄い板状の粘土を組み合わせる制作法との併用に移行。造形のバリエーションが更なる進化を見せている。植物が芽吹く様子を思わせるフォルムが散見されたのも新作の特徴と言えるだろう。
2011/10/25(火)(小吹隆文)
プレビュー:龍野アートプロジェクト2011「刻(とき)の記憶 Art and Memories」
会期:2011/11/18~2011/11/26
うすくち龍野醤油資料館醤油蔵、龍野城、聚遠亭[兵庫県]
姫路城で有名な姫路市から、北西に約12キロの地点にあるたつの市。歴史のある城下町で、薄口醤油の生産でも知られる同市を舞台に、アートプロジェクトが行なわれる。参加作家は、招待作家の尹煕倉、東影智裕、小谷真輔(以上、招待作家)に加え、佐藤文香、芝田知佳、フランスのルーアン美術学校の卒業生など。会場は、醤油蔵や龍野城、かつては藩主の上屋敷だった聚遠亭など、地域のアイコン的な場所ばかりだ。アクセス至便とは言い難い場所だが、鉄道駅があるので自動車がなくても出かけられる。晩秋の一日を播磨の一隅で過ごすのも一興だ。
2011/10/20(木)(小吹隆文)
プレビュー:梅田哲也 展覧会「小さなものが大きくみえる」/exhibition as media 2011 梅田哲也 展「大きなことを小さくみせる」
会期:2011/11/12~2011/12/04
新・福寿荘/神戸アートビレッジセンター[大阪府/兵庫県]
日用品や家電を改装した装置と自然現象を組み合わせて、詩情豊かなインスタレーションをつくり出す梅田哲也。彼が、大阪と神戸の2会場で個展を同時開催する。大阪の会場は、通天閣がある新世界に程近いエリアにある築60年の木造アパート。一方、神戸の会場は演劇公演や映画上映もできるアートセンターだ。このまったく異なる個性を持つ2会場で、梅田がどんな世界を見せてくれるのかが見所である。
2011/10/20(木)(小吹隆文)
プレビュー:超京都 現代美術@名勝渉成園(東本願寺)
会期:2011/11/11~2011/11/13
名勝渉成園(東本願寺)[京都府]
ここ数年、関西ではホテルを舞台にしたアートフェアが盛んに行なわれているが、それらとは趣を異にするのが、この「超京都」だ。京都の歴史的建築物でアートフェアを行なうことにより、現代アートと京都の伝統美を一挙に味わえる贅沢な企画なのである。昨年の会場は伝統的な商家の佇まいを今に伝える杉本家住宅だったが、今年は東本願寺の飛地境内地(別邸)である名勝渉成園が選ばれた。建物はもちろん、庭園の美しさで知られる渉成園、しかも紅葉シーズンということもあって、シチュエーションは文句なしだ。あとは参加画廊と作家たち次第である。
2011/10/20(木)(小吹隆文)