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小吹隆文のレビュー/プレビュー

世界制作の方法

会期:2011/10/04~2011/12/11

国立国際美術館[大阪府]

大西康明、パラモデル、青木陵子+伊藤存、鬼頭健吾、金氏徹平、エキソニモ、クワクボリョウタ、半田真規、木藤純子の9組(いずれも1970年代生まれ)が出品。今後日本の美術シーンの中心的存在として活躍するであろう作家たちが、各々の世界を存分に見せてくれた。それぞれ作風が違う彼らだが、共通するのは、素材やジャンルに対する意識が自由で、美術史上のイズムやイデオロギーからも柔軟な態度が感じ取れること。正直、意図が掴めない作品もあったが、一回り上の世代に当たる私には、彼らの軽やかな振る舞いそのものが眩しく感じられた。

2011/10/03(月)(小吹隆文)

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すみっこにみつける いつも近くにある世界:中居真理 展

会期:2011/09/23~2011/10/11

Gallery PARC [グランマーブル ギャラリー・パルク][京都府]

「KYOTO EXPERIMENT 2011 京都国際舞台芸術祭」のプログラムとして開催された展覧会。部屋や建物の隅をアップで撮影した画像をタイルに焼き付けて16ピース1セットの平面作品を制作する中居が、「KYOTO EXPERIMENT」の会場や会場間の道で撮影した画像をもとに新作を発表した。色とりどりの幾何学形態が繰り返されるミニマルアートのような作品は、間近でイメージを見た瞬間にそれらが現実世界の一部だとわかり、そのギャップが観客の心を刺激する。しかも各ピースは磁石で仮留めされているだけなので、幾らでも並べ替えができる。本展では、観客が触れる作品も数点用意されており、観客がイメージの操作を楽しむ情景も見られた。

2011/09/23(金)(小吹隆文)

高嶺格/ジャパン・シンドローム~step.1 球の裏側

会期:2011/09/23~2011/10/16

京都芸術センター[京都府]

「KYOTO EXPERIMENT 2011 京都国際舞台芸術祭」のプログラムとして開催された展覧会。本展は、今後約3年にわたり継続されるプロジェクトの第1回にあたる。南ギャラリーでは、ブラジルで取材した映像とスラム発祥の音楽が流れ、観客が手をかざすと変化するインタラクティブなインスタレーションが展示された。北ギャラリーでは、南ギャラリーでの観客の振る舞いを覗き見する、少々意地悪な視点の作品が。これは、日本人のブラジルに対する関心や南北問題を皮肉った表現なのだろうか? また、南ギャラリー近くの階段横では、食品の放射能汚染について語る商店主と客の会話を再現したビデオ作品《ジャパン・シンドローム~関西編》も。本作は当初の予定にはなかった作品かもしれないが、時宜を得たテーマだったので、むしろ南北ギャラリーの作品以上に印象的だった。

2011/09/23(金)(小吹隆文)

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プレビュー:榎忠 展 美術館を野生化する

会期:2011/10/12~2011/11/27

兵庫県立美術館[兵庫県]

1960年代後半から神戸を拠点に活動を続けてきた榎忠。その活動は既存の美術館や画廊とは一線を画しており、展示場所をつくる段階からすべて独力で行なう特異なものだった。作品も独特で、ギロチンで裁断した鉄の塊、大量の薬莢を用いたインスタレーション、砂型で鋳造した自動小銃、果ては自作の大砲といったハードなものが多い。その一方で、自ら女装して“ローズ・チュウ”となり、バーを開店したこともある不思議な魅力をたたえた作家である。そんな榎の業績を展観する初めての回顧展が、遂に地元神戸の美術館で行なわれる。彼の作品には現存しないものも多いので、どのようなかたちになるのかはわからないが、いずれにせよ、近年の関西で最もエキサイティングな展覧会となる可能性が高い。

2011/09/20(火)(小吹隆文)

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プレビュー:世界制作の方法

会期:2011/10/04~2011/12/11

国立国際美術館[大阪府]

現代アートが従来のジャンルや枠組みを解体しつつ進展してきた歴史的事実を前提としつつ、先行世代がなしえなかった課題を独自の方法論で乗り越えていく30代を中心とした9組の作家(エキソニモ、パラモデル、伊藤存+青木陵子、クワクボリョウタ、木藤純子、鬼頭健吾、金氏徹平、大西康明、半田真規)を紹介する。印象的な展覧会タイトルは、20世紀アメリカの哲学者ネルソン・グッドマンの著書に由来する。世界の複数性を論じたグッドマンの言葉が具現化したかのような空間が、果たして実現するのか。粒揃いのメンバーが揃ったので、十分期待が持てる。

2011/09/20(火)(小吹隆文)

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