artscapeレビュー
artscape編集部のレビュー/プレビュー
カタログ&ブックス | 2020年7月1日号[テーマ:庭園]
テーマに沿って、アートやデザインにまつわる書籍の購買冊数ランキングをartscape編集部が紹介します。今回のテーマは、クレマチスの丘 ヴァンジ彫刻庭園美術館(静岡県)で2020年8月31日(月)まで開催中の展覧会「センス・オブ・ワンダー もうひとつの庭へ」にちなみ「庭園」。このキーワード関連する、書籍の購買冊数ランキングトップ10をお楽しみください。
「庭園」関連書籍 購買冊数トップ10
1位:ハプスブルク家「美の遺産」
神聖ローマ皇帝として、オーストリア皇帝として、645年間君臨したウィーンの名門一家ハプスブルク家。絵画、工芸、建築、庭園、食卓など、宮廷が育んだ美の来歴を、ハプスブルグ家の人々の物語とともに辿る。
2位:鉛筆画マスターBook 質感を描き分ける! すべては鉛筆から始まる
英国の有名アーティストである著者が、初心者はもちろん、さらに腕を磨きたい中級者にも向けて、鉛筆画の極意を分かりやすく解説。取り上げるテーマは「樹木と森林」「庭園と草花」「建物」などの風景から、「静物」「人物」「鳥と動物」まで誰もが描きたい人気のものばかり。知っているようで意外と知らなかった「基本的な線の引き方」、使いこなしたら立体感が増す「陰のつけ方」などををベースに、順を追って丁寧に説明。動物のふわふわした毛、堅いレンガ、やわらかい布……描き分けたかった質感も自由自在。そして、学んだテクニックを繰り返し練習し、仕上げていくだけで描画スキルがどんどん向上し、自信が持てるようになります! 何より鉛筆画はすべての絵の基本。鉛筆画が描けるようになれば色鉛筆も水彩も思いのまま。さあ、鉛筆画を描いてみましょう。
3位:日本美術の歴史
「かざり」「あそび」「アニミズム」をキーワードとして、絵画、彫刻、工芸、考古、建築、庭園、書、写真、デザインなどの多分野にまたがる日本美術の流れを、縄文から現代までたどる。
4位:おでかけ美術館&博物館 関西版(LMAGA MOOK おとなのエルマガジン)
ミュージアムの庭園やカフェで寛いだり、建築やインテリア、常設展示にお気に入りを探したり。関西の美術館&博物館を、周辺のショップやカフェ、レストランとともに紹介します。データ:2018年5月現在。
5位:半分、生きた
1998年に映画『ポルノスター』で監督デビューを果たして以来、『青い春』『空中庭園』『ナイン・ソウルズ』『モンスターズクラブ』『I’M FLASH !』、そして『泣き虫しょったんの奇跡』など、数多くの映画を生み出し、映画界はもちろんのこと、多くの俳優にも影響を与えてきた豊田利晃。(中略)2019年、50歳を迎え、これまでの半生を振り返った本書は、映画作品の製作についてのみならず、その時間の中で出会い、別れ、深く関わってきた人々との物語が、赤裸々に真っ直ぐな言葉で綴られた、未来に向けた声明文ともいうべき内容となりました。
6位:大人の塗り絵 すぐ塗れる、美しいオリジナル原画付き 花咲く美しい庭園編
蓼科高原バラクライングリッシュガーデン、軽井沢レイクガーデン、あしかがフラワーパークなど、日本各地の四季折々の庭園風景を集めた塗り絵。書き込み式。
7位:文化遺産と〈復元学〉 遺跡・建築・庭園復元の理論と実践
失われた歴史遺産を再生する復元。何のため、いつの時点へ、どう戻すのか? 古代から現代における国内外の遺跡や建物、庭園、美術品の復元を検討し、復元の目的や実情、課題に迫る。
8位:日本の芸術史 造形篇1 信仰、自然との関わりの中で(芸術教養シリーズ)
縄文時代から鎌倉時代までの造形を中心に、仏教美術、建築、庭園などを取り上げ、基本的な知識や時代について概説し、具体的な作例を通して造形的な特徴を解説。その後の展開にもふれる。
9位:岡上淑子フォトコラージュ沈黙の奇蹟
国内外で再評価の高まる岡上淑子の代表的なフォトコラージュ約100点をほぼ原寸で収録した作品集。岡上淑子、瀧口修造のエッセイ、神保京子の論考、作品リストも掲載。2019年東京都庭園美術館開催の展覧会公式カタログ。
10位:遠近法がわかれば絵画がわかる(光文社新書)
物体、色彩、陰影、線…。さまざまな重なりが織りなす「遠近法」を、私たちは目と脳でどう読み解いているのか。名画、建築、庭園、現代アートをとりあげ、その謎に迫る。また、遠近法が確立されるまでの美術史もひもとく。
10位:アジアン・インパクト 日本近代美術の「東洋憧憬」
1910〜60年代の日本近代美術にみられる、アジアの古典を強く意識した傾向を、日本画、洋画、そして工芸の各ジャンルの事例により検証。東京都庭園美術館で開催される展覧会の公式図録兼書籍。
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artscape編集部のランキング解説
「庭」や「庭園」と聞いて、どんなものを思い浮かべるでしょうか。映画やドラマに登場する庭でのワンシーンや、茂った植物、土の香り、丹念に手入れされた日本庭園や西洋庭園の美しい風景など、さまざまなイメージが喚起されると思います。今回「庭園」というキーワードの元となった「センス・オブ・ワンダー もうひとつの庭へ」という展覧会のタイトルは、レイチェル・カーソンの遺作『センス・オブ・ワンダー』から取られたものですが、この本のなかでは、カーソンが姪の息子である幼い男の子とともに別荘の周りの森や海岸を探検する様子が、そこで出会う自然の姿とともに生き生きと描かれています。
今回のランキングに目を移すと、ランクインしている本の多様性にまず驚きますが、そのなかでも「庭園」というものが歴史的・文化的な遺産として、建築や工芸、絵画、彫刻などと並ぶ大きな柱のひとつであることが窺えるタイトルが、複数目に付きます(1位、3位、7位、8位ほか)。美術品のように鑑賞する対象でありつつ、実際に足を踏み入れられる空間でもあり、人の手だけではその景観は完成しないという独特の時間感覚を持ち合わせる庭園というメディアは、国・地域を問わずその時代ごとの資産家や権力者によって計画・整備され、富や権力の象徴とされてきました。
その一方で、絵を描く(あるいは塗る)人にとって、描く対象としての「庭園」への関心の高さもランキングから垣間見えます(2位、6位)。そのつながりで、絵画空間がいかに遠近法を意識してつくられているかが解説されている『遠近法がわかれば絵画がわかる』(10位[1])のなかでは、造園における遠近法についても言及が。庭園を魅力的に描くヒントが見つかるかもしれません。
その空間の中に身を置き、感覚をひらく場所としての「庭園」。ウイルスの影響を受ける場面も引き続き多い昨今ですが、営業を再開する美術館もずいぶん増えてきました。展示や本の力を借りて、心身ともに解き放つことのできる、のびのびとした心の庭が持てるといいですね。
2020/07/01(水)(artscape編集部)
カタログ&ブックス | 2020年6月15日号[近刊編]
展覧会カタログ、アートやデザインにまつわる近刊書籍をartscape編集部が紹介します。
※hontoサイトで販売中の書籍は、紹介文末尾の[hontoウェブサイト]からhontoへリンクされます
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「文明」と「野蛮」のアーカイヴ ゴダール『イメージの本』からリヒター《アトラス》へ
「展覧会」のスケールを超えた恐るべき作品群と未曽有の展示空間により、「飼いならされて」いないアートとは何か、その問いと答えをわれわれに突きつけた、内外より多大な評価を得た〈堂島ビエンナーレ2019:シネマの芸術学_東方に導かれて_ジャン=リュック・ゴダール『イメージの本』に誘われて〉。ゲルハルト・リヒター《アトラス》最新版全点(本邦初公開)含めた全記録(カラー280頁)と詳細な書き下ろしテキスト(展覧会概観、作家・作品解説、図版付ゴダール作品詳細解説)を展覧会を超えた驚愕の構成により1冊に。完全バイリンガル版(日英)にて満を持して刊行!
イタリア芸術のプリズム 画家と作家と監督たち
西洋美術史家にして現代思想のよき道案内である著者の小さな総括。黄金期70年代までの映画を真ん中に、美術、文学、思想、宗教を縦横無尽に語り尽くす快著。
建築の東京
平成から令和へ。オリンピックを前にして東京はいかに変貌したか? 一貫して都市の「メタボリズム」を重視し、「すぐれた建築が壊されるとしても、その後に志のある建築がつくられるなら必ずしも反対しない立場」をとる著者が近過去に登場した建築=景観、丹下健三・岡本太郎以後の建築家・アーティスト双方による東京計画・未来都市の系譜、各種メディアのなかの東京を検証する。
現代アートをたのしむ 人生を豊かに変える5つの扉
「わからない」が「面白い」に変わる、現代アートの入門書! 《「なんだか難しそう」「よくわからない」といわれがちな現代アートについても、あなたがほんの一ミリでも関心をもっているのだとすれば、あなたとアートは、ぐっと距離を縮められる。》(原田マハ「ドアを開く前に──まえがきにかえて」から) アンディ・ウォーホル、シンディ・シャーマン、エルネスト・ネト、ハンス・ハーケ、ビル・ヴィオラ、大竹伸朗、高嶺格など、著者がお薦めする作家の作品群をカラーで掲載するとともに、美術館や展覧会の楽しみ方を女子トークでご案内。 単行本『すべてのドアは、入り口である。』を大幅に加筆・修正。こんなときだからこそ、おうちでじっくり美術鑑賞をしてみては。
DECODE/出来事と記録──ポスト工業化社会の美術
2019年9月14日〜11月4日に埼玉県立近代美術館で開催された「DECODE/出来事と記録──ポスト工業化社会の美術」のカタログ。近年国際的に評価が高まっている「もの派」の記録写真や資料との関係から検証した展覧会。
U-35 展覧会 オペレーションブック 2020-21
2020年10月16日~26日に大阪駅前・うめきたシップホールにて開催された35歳以下の若手建築家による展覧会「Under 35 Architects exhibition 35歳以下の若手建築家による建築の展覧会2020」のカタログ。倉方俊輔×藤本壮介×平沼孝啓の緊急座談会などを収録。
新写真論 スマホと顔
スマートフォンは写真を変えた。
だれもがカメラを持ち歩き、写真家は要らなくなった。
すべての写真がクラウドにアップされ、写真家も要らなくなった。
写真の増殖にひとの手は要らなくなり、ひとは顔ばかりをシェアするようになった。
自撮りからドローン、ウェアラブルから顔認証、ラスベガスのテロから香港のデモまで、写真を変えるあらゆる話題を横断し、工場写真の第一人者がたどり着いた圧倒的にスリリングな人間=顔=写真論!
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※「honto」は書店と本の通販ストア、電子書籍ストアがひとつになって生まれたまったく新しい本のサービスです
https://honto.jp/
2020/06/15(月)(artscape編集部)
カタログ&ブックス | 2020年6月1日号[テーマ:ビエンナーレ]
テーマに沿って、アートやデザインにまつわる書籍の購買冊数ランキングをartscape編集部が紹介します。今回のテーマは、アーティゾン美術館(※2020年6月1日現在、臨時休館中)で開幕を待つ、第58回(2019年)ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展の日本館展示の帰国展「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」にちなみ「ビエンナーレ」。2年に1回のペースで開催される美術展覧会全般を指すこのキーワード関連する、書籍の購買冊数ランキングトップ10をお楽しみください。
「ビエンナーレ」関連書籍 購買冊数トップ10
1位:スイミー ちいさなかしこいさかなのはなし
【産経児童出版文化賞】【国際絵本ビエンナーレ金のリンゴ賞(第1回)】小さな黒い魚スイミーは、広い海で仲間と暮らしていました。ある日、なかまたちがみんな大きな魚に食べられてしまい、一匹のこったスイミーは…。
2位:英語でもよめるスイミー
【産経児童出版文化賞】【国際絵本ビエンナーレ金のリンゴ賞(第1回)】泳ぐのが誰よりも速い魚スイミー。ある日、恐ろしいまぐろに襲われ、兄弟たちが1匹残らず飲み込まれてしまった。逃げたのはスイミーだけで…。多彩な技法で描いた美しい海の様子をダイナミックに伝える絵本。英語訳付き。
3位:共感・時間・建築(TOTO建築叢書)
第15回ヴェネチア・ビエンナーレ(※編集部注:国際建築展)の日本館帰国展にあわせて行われたシンポジウムを再構成し書籍化。展示によって開かれた可能性を検証し、この先の建築を展望する。縮小時代を生き抜くための、建築家による議論の集成。
4位:アール・ブリュット(文庫クセジュ)
鑑賞されることを目的としない、真に純粋で生の芸術、アール・ブリュット。その起源、呼び名、概念、作品の素材や形式、愛好家やコレクター、近年のブーム、美術館や市場までを概説する。
5位:我々は人間なのか? デザインと人間をめぐる考古学的覚書き
我々は人間なのか? 今、デザインに求められるのは、この問いだ──。第3回イスタンブール・デザイン・ビエンナーレの準備をしていた過去1年半の活動記録。人間という動物を定義する上でのデザインの役割を考える。
6位:山形 米沢・鶴岡・酒田(ことりっぷ)電子版
山形県全域を舞台に、「いい感じの小さな旅」を提案する『ことりっぷ』。注目のテーマは、「文翔館と山形ビエンナーレ」、「七日町をぶらりおさんぽ」、「山を感じるカフェ&レストラン」、「新庄マルシェと金山町でレトロさんぽ」、「かみのやまクアオルトウオーキング」、「熊野大社で良縁祈願」、「フラワー長井線に乗って花めぐり」、「手仕事の技がキラリ置賜クラフト」、「羽黒山麓へ、湯殿山麓へ」、「飛島へワンディトリップ」、「最上峡と幻想の森を訪ねる」など。
※本誌は2018年版内容について詳細データの更新を行い、2019年版としたものです。※一部コンテンツが採用されていない場合があります。
7位:日本画を描く悦び オールカラー版(光文社新書)
第46回ヴェネツィア・ビエンナーレで東洋人初の絵画部門名誉賞を受賞し、大徳寺聚光院別院の襖絵を完成させた著者。母の影響から人生を変えた岩絵の具との出合い、「日本画の持つ底力」まで、思いのすべてを描き尽くす。
7位:都市のエージェントはだれなのか 近世/近代/現代 パリ/ニューヨーク/東京(TOTO建築叢書)
東京という都市の生成変化を、パリ/ニューヨーク/東京という、異なる都市の成り立ちから論考。2010年のヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展「トウキョウ・メタボライジング」の展示コンセプト像を詳述したもの。
7位:ゲンロン 2(2016 April)慰霊の空間
特集:慰霊の空間
特集の中心をなすのは、津田大介らが参加した、2016年ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展日本館のコンペ展示案。挑戦的なプランを2色刷りで完全再現。中沢新一へのインタビュー、五十嵐太郎・黒瀬陽平とともに災害と慰霊を再検討する鼎談など、多様な側面からこの国における慰霊のありように迫る。
10位:越境と覇権 ロバート・ラウシェンバーグと戦後アメリカ美術の世界的台頭
【サントリー学芸賞芸術・文学部門(第38回)】1964年のヴェネツィア・ビエンナーレでアメリカ人初の大賞を受賞し、名声を得たラウシェンバーグ。彼の越境性に着目し、戦後の国際美術シーンにおけるパリからニューヨークへの覇権の移行を、世界美術史の見地から検証。
10位:建築の民族誌 第16回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館カタログ
第16回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館カタログ。建築のドローイングをめぐる新たなアプローチの探究を映し出す42作品とともに、貝島桃代らキュレーターによる3本の論考を掲載する。英語版も同時刊行。
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artscape編集部のランキング解説
数年おきの美術展覧会を指す「ビエンナーレ」(2年に1回)、あるいは「トリエンナーレ」(3年に1回)といった語は日本でもすっかり浸透しましたが、そのオリジナルであるイタリアのヴェネツィア・ビエンナーレには100年以上の歴史があり、そのなかで国際美術展だけでなく、音楽祭や映画祭、演劇祭、そして建築展などが派生・独立していったという経緯があります。今年2020年の5月から開催されるはずだった国際建築展と、2021年に予定されていた国際美術展は、新型コロナウイルスの影響でそれぞれ開幕延期が発表されており、今後の展開にも注目したいところです。
「ビエンナーレ」というキーワードで抽出された今回のランキングは、ヴェネツィアだけでなく世界各国の多様なビエンナーレの姿が垣間見えるものになりました。1位と2位はいずれも絵本『スイミー』(2位は英語併記版)。第1回国際絵本ビエンナーレ「金のリンゴ賞」を受賞したレオ・レオニの代表作として、長年広く親しまれている作品です。トルコのイスタンブール・デザイン・ビエンナーレの共同キュレーターである二人が著した『我々は人間なのか? デザインと人間をめぐる考古学的覚書き』(5位)は、従来型のアートではなくデザインのビエンナーレをつくるというバックグラウンドを端緒として、現代の人間にとってデザインとは何か?と問いかけ新たな定義に思索を巡らせることのできる一冊。
近年のヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展の日本館に関連する書籍も目立ちます。2018年に開催された第16回の日本館のカタログ(10位)だけでなく、第15回の帰国展でのシンポジウムを採録した『共感・時間・建築』(3位)、日本館のコンセプトや展示コンペを振り返る『都市のエージェントはだれなのか』と『ゲンロン 2』(いずれも7位)など、設計や展示を支えるリサーチや言論の場も含めて、ヴェネツィア・ビエンナーレが建築家たちにとっての大舞台のひとつであることが伝わってきます。
緊急事態宣言の解除を受けて、営業を再開する美術館も少しずつ出始めてきました。アーティゾン美術館が再オープンした暁には、ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展の空気が日本にいながらにして体感できる「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」展にもぜひ足を運んでみてください。
2020/06/01(月)(artscape編集部)
カタログ&ブックス | 2020年5月15日号[近刊編]
展覧会カタログ、アートやデザインにまつわる近刊書籍をartscape編集部が紹介します。
※hontoサイトで販売中の書籍は、紹介文末尾の[hontoウェブサイト]からhontoへリンクされます
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ラディカル・ミュゼオロジー つまり、現代美術館の「現代」ってなに?
複数の過去/現在/未来がぶつかりあう場としての現代美術館。
投機的な思惑によって動く美術市場や非政治的な相対主義が支配する現代美術の現状に抗して、「現代美術(コンテンポラリー・アート)」の「現代(コンテンポラリー)」の意味をラディカルに問う、世界各国の美術関係者によって数多く引用されている重要論文。
イメージのヴァナキュラー 写真論講義 実例編
写真はイメージとしてのみ浮遊しているのではない。そこには多様な物質性やメディア性、撮影・受容する身体の痕跡が刻み込まれている。そうした重層的な位相を解きほぐしつつ、写真集、スライド、アマチュア、セルフィなどを分析する。イメージ=写真の新たなパースペクティヴを切り開くヴァナキュラー写真論。前著『イメージを逆撫でする──写真論講義 理論編』につづく著者待望の写真論。
自然 コレージュ・ド・フランス講義ノート
本書は、1956年から1960年にいたる〈自然〉を主題としたメルロ=ポンティのコレージュ・ド・フランス講義を、受講生のノートや著者自身の講義準備草稿をもとに再構成したものである。デカルト、カント、ブランシュヴィック、シェリング、ベルクソン、フッサールなど哲学者の諸考察、さらに自然科学、なかでも20世紀の物理学やフォン・ユクスキュル、ポルトマン、ローレンツなど生物学の成果を援用しつつ、自然と人間のあり方について、著者はさまざまな角度から探究を深めてゆく。
『行動の構造』『知覚の現象学』以後、晩年の野生の存在論、生の存在論にいたる稀有の哲学者の思考の歩みを生々しく伝える、貴重な講義ノート。
Cosmo-Eggs|宇宙の卵 コレクティブ以後のアート
アーティゾン美術館で行われる第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 日本館帰国展「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」に際して、本展の内容をつぶさに振り返り、またそこから発展させた様々な現代におけるトピックを、作家自身や、多彩な表現者との対話によって再考する一冊を刊行します。
「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」は、キュレーターの服部浩之を中心に、美術家、作曲家、人類学者、建築家という4つの異なる専門分野のアーティストが協働し、人間同士や人間と非人間の「共存」「共生」をテーマに構成されました。ジャンルの異なる5人によるコレクティブを「共異体」を呼び、「津波石」を起点に、創作神話、映像作品、音楽、その音を出す装置としてのバルーンなど複数の要素が、ひとつの展示空間で共鳴し合います。本書においても、論考、インタビュー、展示風景のみならず、日記形式の制作プロセスや参加作家による振り返り座談までを収録しています。
アッセンブリッジ・ナゴヤ2019|ドキュメント
昨年開催したアッセンブリッジ・ナゴヤ2019の活動をまとめた、ドキュメントブックが完成しました。
音楽・アート・サウンドブリッジ、各部門のプログラムや展示の様子、レビューなどを豊富な写真とともに収録した全104ページです。また、プログラムのひとつとして開催した、港まちブロックパーティーのスナップショットを別刷カードとして収めました。表紙のニス加工など、質感も楽しめる一冊になっています。
映画への不実なる誘い 国籍・演出・歴史 増補新版
戦争の時代でもあった20世紀を、映画の時代として擁護し、その魅力を分析する。現代の映像文化に確かな視線を送るために。
コンテンポラリー・ダンスの現在 ノン・ダンス以後の地平
1990年代半ばフランス舞踊界でなにがおこったのか──?
振付家、ダンサー、観客という固定された関係性への疑義。それまでのダンスに内在化された慣習的なコードを拒絶し、大きな議論を巻き起こした「ノン・ダンス」という概念の出現。これらを巡る考察を通して「作者のダンス」から「作者の死」後のダンスへと移行するダイナミックな運動を記述し、変容し続けるコンテンポラリー・ダンスの現在を明らかにする。
21世紀の画家、遺言の初期衝動 絵画検討会2018
絵画はいま、本当に必要か。
「なぜ、描くのか」から21世紀の絵画のありかたを考える一冊。5つの展示図版、作家間の膨大な会話から、新しい器としての「絵画」を練りだすとともに、期間限定でネット上に公開し話題を呼んだ藤井雅実、千葉成夫の最新絵画論も掲載。
絵画史や美術史とは異なる方向から考え抜かざるをえない、「描くこと」をめぐる思考、信心。そこから生まれる、これからの絵画について。
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2020/05/15(金)(artscape編集部)
カタログ&ブックス | 2020年4月15日号[近刊編]
展覧会カタログ、アートやデザインにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
※hontoサイトで販売中の書籍は、紹介文末尾の[hontoウェブサイト]からhontoへリンクされます
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あいちトリエンナーレ2019 情の時代 Taming Y/Our Passion
全作品のヴィジュアル+解説、芸術監督及びキュレーターのエッセイ、あいちトリエンナーレ2019 作品リスト、「表現の不自由展・その後」の展示中止や再開をめぐる出来事をまとめた資料など。
AONO FUMIAKI NAOSU
2019年11月2日から2020年1月12日まで開催した展覧会「青野文昭 ものの,ねむり,越路山,こえ」の展示作品や青野の過去作品を掲載した記録書籍『AONO FUMIAKI NAOSU』を出版いたします。作品図版のほかには、青野の手記や、美術批評家の椹木野衣、福住廉による各論考、青野の映像ドキュメンタリーを作成した映像作家の小森はるかの制作ノートなどを掲載。
VOCA展2020 現代美術の展望──新しい平面の作家たち
Nerhol、菅 実花、李 晶玉、黒宮菜菜、宮本華子、浅野友理子など2020年の出品作家計33人(組)の作品を掲載。
アーティスト・イン・レジデンス2019/夏「はかなさへの果敢さ」
青森公立大学国際芸術センター青森[ACAC]で、2019年7月27日〜9月8日に開催された展覧会「はかなさへの果敢さ」のカタログ。ジャンフランコ・フォスキーノ、三原聡一郎、カルロス・ヌネスの3名が同センターのアーティスト・イン・レジデンスに参加し、滞在制作した作品を発表した。
東北の風景をきく FIELD RECORDING vol.04
Art Support Tohoku-Tokyo(ASTT)は、東京都による芸術文化を活用した被災地支援事業。プログラムの記録と成果を広く共有するため、さまざまなドキュメントを発行している。変わりゆく震災後の東北のいまを記録し、その先にふれるためのジャーナル『FIELD RECORDING』4号目の特集は「出来事を重ねる」。
東日本大震災を経験し、だんだんとほかの土地の厄災の経験に気がつくようになりました。同じような課題を見出し、取り組む手法への共感をもつ。そうして双方が学び合うように導き出させる視点は、まだ厄災を経験していない人々にとっても意義があるかもしれない。そして、時間が経つことで遠くなってしまう震災の経験を、遠くの人々と共有するための糸口になる可能性もあるのではないか。(「はじめに」より)
地域アートはどこにある?
2019年4月13日〜9月1日に開催された十和田市現代美術館 10周年記念企画展「ウソから出た、まこと」展のカタログ。北澤潤、Nadegata Instant Party、藤浩志の3組のアーティストを迎え、作品展示にとどまらず、「地域アートはどこにある?」というプロジェクトを進行した。展示紹介やプロジェクト中のクロストークや論稿を収録。
ヒトの目、驚異の進化──視覚革命が文明を生んだ
アルファベットや漢字など世界各地の文字から、字形を構成するL、K、Xほか19の「文字素」を抽出し出現頻度を解析した著者は、驚くべき事実を目の当たりにする。すべての人類は、同じ文字を読み書きしている。それは、文字が自然を模倣するように「進化」した結果である──。ヒトの目が持つ4つの超人的能力を検証、大胆かつ精緻な仮説によりかつてない興奮と発見を多分野にもたらした、視覚科学の冒険。解説/石田英敬
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2020/04/15(水)(artscape編集部)