artscapeレビュー

カタログ&ブックス | 2020年5月15日号[近刊編]

2020年05月15日号

展覧会カタログ、アートやデザインにまつわる近刊書籍をartscape編集部が紹介します。
※hontoサイトで販売中の書籍は、紹介文末尾の[hontoウェブサイト]からhontoへリンクされます





ラディカル・ミュゼオロジー つまり、現代美術館の「現代」ってなに?

著者:クレア・ビショップ
翻訳:村田大輔
発行:月曜社
発行日:2020年4月
定価:2,000円(税抜)
サイズ:四六判、134ページ

複数の過去/現在/未来がぶつかりあう場としての現代美術館。
投機的な思惑によって動く美術市場や非政治的な相対主義が支配する現代美術の現状に抗して、「現代美術(コンテンポラリー・アート)」の「現代(コンテンポラリー)」の意味をラディカルに問う、世界各国の美術関係者によって数多く引用されている重要論文。

イメージのヴァナキュラー 写真論講義 実例編

著者:前川修
発行:東京大学出版会
発行日:2020年4月13日
定価:4,000円(税抜)
サイズ:四六判、296ページ

写真はイメージとしてのみ浮遊しているのではない。そこには多様な物質性やメディア性、撮影・受容する身体の痕跡が刻み込まれている。そうした重層的な位相を解きほぐしつつ、写真集、スライド、アマチュア、セルフィなどを分析する。イメージ=写真の新たなパースペクティヴを切り開くヴァナキュラー写真論。前著『イメージを逆撫でする──写真論講義 理論編』につづく著者待望の写真論。

自然 コレージュ・ド・フランス講義ノート

著者:モーリス・メルロ=ポンティ
編集:ドミニク・セグラール
翻訳:松葉祥一、加國尚志
発行:みすず書房
発行日:2020年5月1日
定価:8,400円(税抜)
サイズ:A5判、528ページ

本書は、1956年から1960年にいたる〈自然〉を主題としたメルロ=ポンティのコレージュ・ド・フランス講義を、受講生のノートや著者自身の講義準備草稿をもとに再構成したものである。デカルト、カント、ブランシュヴィック、シェリング、ベルクソン、フッサールなど哲学者の諸考察、さらに自然科学、なかでも20世紀の物理学やフォン・ユクスキュル、ポルトマン、ローレンツなど生物学の成果を援用しつつ、自然と人間のあり方について、著者はさまざまな角度から探究を深めてゆく。
『行動の構造』『知覚の現象学』以後、晩年の野生の存在論、生の存在論にいたる稀有の哲学者の思考の歩みを生々しく伝える、貴重な講義ノート。

Cosmo-Eggs|宇宙の卵 コレクティブ以後のアート

著者:下道基行、安野太郎、石倉敏明、能作文徳、服部浩之
アートディレクション&デザイン:田中義久
編集:柴原聡子、網野奈央
発行:torch press
発行日:2020年4月17日
定価:2,300円(税抜)
サイズ:B5版変型、248ページ

アーティゾン美術館で行われる第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 日本館帰国展「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」に際して、本展の内容をつぶさに振り返り、またそこから発展させた様々な現代におけるトピックを、作家自身や、多彩な表現者との対話によって再考する一冊を刊行します。
「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」は、キュレーターの服部浩之を中心に、美術家、作曲家、人類学者、建築家という4つの異なる専門分野のアーティストが協働し、人間同士や人間と非人間の「共存」「共生」をテーマに構成されました。ジャンルの異なる5人によるコレクティブを「共異体」を呼び、「津波石」を起点に、創作神話、映像作品、音楽、その音を出す装置としてのバルーンなど複数の要素が、ひとつの展示空間で共鳴し合います。本書においても、論考、インタビュー、展示風景のみならず、日記形式の制作プロセスや参加作家による振り返り座談までを収録しています。

アッセンブリッジ・ナゴヤ2019|ドキュメント

レビュー執筆者:高橋かおり、秋庭史典、中村史子、慶野結香、茂原奈保子、ミヤギフトシ、野路千晶、藤井明子、二村利之、蓮沼昌宏
翻訳:河西香奈、折笠 純(KANA KAWANISHI ART OFFICE)
デザインディレクション:中西要介(STUDIO PT.)、溝田尚子
デザイン:根津小春(STUDIO PT.)
編集・発行:アッセンブリッジ・ナゴヤ実行委員会
発行日:2020年3月
定価:非売品(郵送可、後日WEBサイトでPDFデータを公開予定)
サイズ:A5判、104ページ

昨年開催したアッセンブリッジ・ナゴヤ2019の活動をまとめた、ドキュメントブックが完成しました。
音楽・アート・サウンドブリッジ、各部門のプログラムや展示の様子、レビューなどを豊富な写真とともに収録した全104ページです。また、プログラムのひとつとして開催した、港まちブロックパーティーのスナップショットを別刷カードとして収めました。表紙のニス加工など、質感も楽しめる一冊になっています。

映画への不実なる誘い 国籍・演出・歴史 増補新版

著者:蓮實重彦
発行:青土社
発行日:2020年3月24日
定価:2,200円(税抜)
サイズ:四六判、211ページ

戦争の時代でもあった20世紀を、映画の時代として擁護し、その魅力を分析する。現代の映像文化に確かな視線を送るために。

コンテンポラリー・ダンスの現在 ノン・ダンス以後の地平

著者:越智雄磨
発行:国書刊行会
発行日:2020年3月23日
定価:4,000円(税抜)
サイズ:A5判、256ページ

1990年代半ばフランス舞踊界でなにがおこったのか──?
振付家、ダンサー、観客という固定された関係性への疑義。それまでのダンスに内在化された慣習的なコードを拒絶し、大きな議論を巻き起こした「ノン・ダンス」という概念の出現。これらを巡る考察を通して「作者のダンス」から「作者の死」後のダンスへと移行するダイナミックな運動を記述し、変容し続けるコンテンポラリー・ダンスの現在を明らかにする。

21世紀の画家、遺言の初期衝動 絵画検討会2018

編著:高田マル
共著:浦川大志、竹浪音羽、Taxxaka、千葉成夫、千葉大二郎、秦雅則、藤井雅実、宮下夏子
装丁:小林すみれ
発行:絵画検討社
発行日:2020年4月14日
定価:2,500円(税抜)
サイズ:四六判、336ページ

絵画はいま、本当に必要か。
「なぜ、描くのか」から21世紀の絵画のありかたを考える一冊。5つの展示図版、作家間の膨大な会話から、新しい器としての「絵画」を練りだすとともに、期間限定でネット上に公開し話題を呼んだ藤井雅実、千葉成夫の最新絵画論も掲載。 絵画史や美術史とは異なる方向から考え抜かざるをえない、「描くこと」をめぐる思考、信心。そこから生まれる、これからの絵画について。





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2020/05/15(金)(artscape編集部)

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