artscapeレビュー
artscape編集部のレビュー/プレビュー
カタログ&ブックス | 2020年12月15日号[近刊編]
展覧会カタログ、アートやデザインにまつわる近刊書籍をartscape編集部が紹介します。
※hontoサイトで販売中の書籍は、紹介文末尾の[hontoウェブサイト]からhontoへリンクされます
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キュレーターズノート 二〇〇七ー二〇二〇
美術、美術館、展覧会、プロジェクト、ワークショップ、地域、美術教育、まちづくり、芸術祭、アイデンティティ、町家、NPO、都市とアート……さまざまな可能性を持つ人や場と共創し、新たなアートの生成に立ち会う、キュレーターの実践と思考のノート。著者初の単著。
TIMELESS 石岡瑛子とその時代
伝説のデザイナーがいた。前田美波里をスターにした資生堂のポスター、大ブームになったパルコの広告。それらを手がけた後に渡米し、アカデミー賞に輝いた彼女は、変化の時代をいかにサバイブしたのか。スティーブ・ジョブズも崇拝したエイコの「私」に迫る評伝。
国際文化交流を実践する
コロナ禍や一国主義の台頭で揺らぐ国際協調をいかに守るか? 心と心の触れ合いに懸けたJF職員たちの渾身のルポルタージュ!
美術/中間子 小池一子の現場
日本のクリエイティブを草創期からつくり続けてきた小池一子。その多彩な仕事と歩みを豊富なビジュアルとともに通覧する一冊。
「宮島達男 クロニクル 1995-2020」展覧会図録
2020年9月19日〜12月13日まで開催されている「宮島達男 クロニクル 1995-2020」展の公式図録。
宮島達男は、LED(発光ダイオード)のデジタル・カウンターを使用した作品で高く評価され、世界で活躍する現代美術作家です。1980年代より宮島は、「それは変化し続ける」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」「それは永遠に続く」という3つのコンセプトに基づき、これまで30ヵ国250ヶ所以上で作品を発表してきました。作品のモチーフであるデジタル数字は命の輝きをあらわし、0が表示されず1から9の変化を永遠に繰り返すことで、人間にとって普遍的な問題である「生」と「死」の循環を、見る者に想像させます。
本展は千葉市美術館の開館25周年記念として、首都圏の美術館では12年ぶりに開催される大規模な個展です。
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※「honto」は書店と本の通販ストア、電子書籍ストアがひとつになって生まれたまったく新しい本のサービスです
https://honto.jp/
2020/12/15(火)(artscape編集部)
カタログ&ブックス | 2020年12月1日号[テーマ:100年]
テーマに沿って、アートやデザインにまつわる書籍の購買冊数ランキングをartscape編集部が紹介します。今回のテーマは、弘前れんが倉庫美術館(青森県)で開催中の「小沢剛 オールリターン —百年たったら帰っておいで 百年たてばその意味わかる」にちなみ「100年」。このキーワード関連する、書籍の購買冊数ランキングトップ10をお楽しみください。
「100年」関連書籍 購買冊数トップ10
1位:デザインのひきだし プロなら知っておきたいデザイン・印刷・紙・加工の実践情報誌 41 特集写真と図解でよくわかる製本大図鑑
180度開く製本、コデックス装、スケルトン装、ドイツ装、和綴じ…。日本でいまできる製本を、問い合わせ先も含め徹底的に大紹介。別冊記事「『100年ドラえもん』ができるまで」付き。
2位:一生モノのジャズ・ヴォーカル名盤500(小学館新書)
究極の「ジャズ歌」名盤ガイド
『ジャズ100年』シリーズ監修の後藤雅洋氏による「ジャズ・ヴォーカル」名盤紹介。『一生モノのジャズ名盤500』『厳選500ジャズ喫茶の名盤』(小学館)同様、ジャケット写真とわかりやすい解説に加え、主要アルバムを「歴史」や「スタイル」ではなく、「実際に聴いた感じ」(目覚めに聴きたい、気分を落ち着かせる時などの “シチュエーション” やウォーム、ハスキー、ソフトなどの “声質” )で分類して解説。また、「ポピュラー・シンガーが歌うジャズ」「21世紀のジャズ・ヴォーカル」など、幅広い視点でジャズ・ヴォーカルの楽しみ方を紹介していきます。難解な専門用語になじみのない初心者からジャズ通までをターゲットとした、ジャズ・ヴォーカル名盤のすべてがわかる1冊です。巻末に、著者インタビューと、アーチスト別索引、全アルバムデータを収録。
3位:死ぬまでに観たい映画1001本 第4版
〜100年以上前の名作から最新作まで〜
映画を愛するすべての人に捧げる名作映画ガイドブック決定版!! 表紙デザインも一新、2015年の改訂新版からさらに新作32タイトルを追加収録!! 1902年『月世界旅行』から古今東西の名作を厳選。それぞれの作品の成り立ちから解説まで詳しく記述。映画の歴史がこの1冊に詰まっています。
4位:オーデュボンの鳥 『アメリカの鳥類』セレクション
枯れ枝にとまる仲睦まじげな鳥のつがい。伊坂幸太郎ファンにはおなじみのリョコウバト(デビュー作『オーデュボンの祈り』)、人間の愚行のせいで100年あまり前に絶滅してしまいました。
絵の作者オーデュボンは、大革命まぢかの1785年、仏領サン=ドマング(現ハイチ)に生まれました。18歳で渡米、35歳で「北米に生息する野鳥を描き尽くし、世に問おう」と決意します。20年後、その集大成である全435点の博物画集『アメリカの鳥類』が完成しました。天地約1m×左右約70cmの巨大な紙面に、手彩色版画により多様な鳥たちを実物大で描いたものです。幼いころから培った卓抜な観察眼と苦心のすえ編みだした独自の表現法で、「自然のなかで躍動する生命のありのままの姿」をみごとにとらえ、博物画の概念を刷新しました。(中略)
このたび435点のなかから150点を精選し、コンパクトなA5サイズ、オールカラーでお届けします。作品の順序(原作は制作順)は、作者の自然への深い見識に学ぶ意図のもと、テーマ別編成としました。「消える種」の章では、6種が絶滅、21種が危機にさらされている現状が判明します(保全には一刻の猶予もありません)。巻末には実物写真つきのかんたんな解説を付しました。冬に日本に渡ってくる鳥たちも登場します。鳥類愛好家、美術愛好家の方々はもちろん、生物多様性やアメリカ史に関心のある方々もぜひ。プレゼントにも最適です。(編集部)【商品解説】
5位:エレンベルガーの動物解剖学
100年を超えて愛される、動物解剖学の古典名著を復刻!!
美しく描かれた精緻な画像からは、躍動する動物の息づかいまで聞こえてくるようです。動物を描く方には、表からは見えない構造を理解するリファレンスとしてお使いいただけます。架空の動物を創造する方には、クリーチャーに実在感のある構造を与えるリファレンスとして役立ちます。(中略)
本書は、ヴィルヘルム・エレンベルガー、ヘルマン・バウムによって1900年ごろから出版された書籍「Handbuch der Anatomie der Tiere fur Kunstler(芸術家のための動物解剖学)」を1冊にまとめた、翻訳・加筆版です。
6位:映画表現の教科書 名シーンに学ぶ決定的テクニック100
カメラ位置、編集、音響の作法から、衣装、ロケーション、色の効果まで…500を超える場面写真と76の脚本抜粋が織りなす映画史100年を貫く映像のレトリック。
7位:ファン・ゴッホの手紙 新装版
ファン・ゴッホの没後100年を記念して、全4巻からなる新しいオランダ語版の書簡全集が1990年に刊行された。これまでに刊行されてきたファン・ゴッホの書簡集は一部に削除、省略、伏せ字などがあったが、近年それらが開示され、原文の綿密な解読作業による修正もなされてきている。この日本語版の一巻本選集は、この面目を一新した書簡全集の全貌を簡潔なかたちで日本の読者に示そうとして編者が新たに編んだものである。また、アルルでの共同生活前後のゴーガンの手紙もこの選集のなかに組み込まれている。
8位:日本映画史110年(集英社新書)
日本映画史の全貌を明らかにした、映画ファン、映画を学ぶ人必携のテキスト。2000年刊の「日本映画史100年」に、日本映画を巡る近年の状況を踏まえ、最新の研究成果も折り込みながら、新たなる論考を加える。
9位:厳選500ジャズ喫茶の名盤 (小学館新書)
老舗ジャズ喫茶主人が名盤500を厳選!
東京四谷の老舗ジャズ喫茶「いーぐる」の店主であり、小学館のCD付きジャズマガジン「JAZZ100年」「ジャズの巨人」監修者であるジャズ評論家、後藤雅洋氏による、『一生モノのジャズ名盤500』(小学館101新書)に続くジャズCDガイドです。「聴いた感じ」別に18のセクションに分け、500枚のジャズCDを紹介する、というフォーマットは『一生モノの~』と同じですが、今回はよりディープな、いわば「ジャズ喫茶で愛される名盤」を厳選。新しいアルバムも積極的に選び、「次のステップ」を目指すジャズ・ファンに向けて紹介します。巻末に新宿の老舗ジャズ喫茶「ダグ」店主中平穂積氏との対談を収録、ミュージシャン索引も完備。
10位:韓国映画100選
2013年に韓国映像資料院が選定作業を行った「韓国映画100選」の結果、同率順位を含む101本の映画をまとめ、映画研究者や評論家ら52人による文章を掲載。2014〜2019年を代表する5作品とその解説も収録。
100年間の名画に映し出される日本統治時代、民主化、南北分断、フェミニズム。現存する最古の作品から『パラサイト 半地下の家族』まで、韓国映画の歴史を辿る決定書!
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artscape編集部のランキング解説
明治期から100年以上にわたり青森県弘前市の街の風景をつくってきた酒造会社の煉瓦倉庫を改修し、今年7月にオープンした「弘前れんが倉庫美術館」。そこで現在開催されている小沢剛さんの個展のタイトル「小沢剛 オールリターン —百年たったら帰っておいで 百年たてばその意味わかる」でも、「100年」という時間の単位は私たちの想像力をかき立てる不思議な磁力を持っています。
「100年」というキーワードで抽出した今回のランキングでは、映画やジャズの辿ってきた歴史や名作・名盤を振り返る書籍が数多くランクインしています(2位、3位、6位、8位、9位、10位)。映画もジャズも、19世紀末〜20世紀初頭の草創期を経て、この100年と少しの間に現在のかたちに確立されていった比較的新しいともいえる芸術分野。ランクインした本のなかでも、10位の『韓国映画100選』では、隣国でありながら意外と知らない韓国の歴史や文化を、映画作品(カンヌ国際映画祭のパルムドール受賞が記憶に新しい『パラサイト 半地下の家族』なども!)を通して再考するのにふさわしいオススメの一冊です。
その一方で、このたび1位に輝いた『デザインのひきだし』41号は、小学館からこの冬発売された永久保存版の『ドラえもん』全45巻(通称「100年ドラえもん」)の制作過程を取材した製本特集号。「22世紀まで読み継がれる」ことをコンセプトに、装丁・印刷・造本などすべてにこだわり抜いたこの愛蔵版は、『ドラえもん』の原作連載開始50周年を記念しての発売だそう。ほかのページでも、普段私たちが何気なく触れている書籍の「製本」という面に焦点を当てた今号では、その技術の意外な多様性に驚くはず。
また、注目したいのが『オーデュボンの鳥 「アメリカの鳥類」セレクション』(4位)と『エレンベルガーの動物解剖学』(5位)。博物学の一環として観察対象の植物や動物などを写実的・説明的に描き記録する博物画(そしてその知識の土台のひとつである解剖学)に関連した二冊です。収録されている絵の中にはすでに絶滅してしまった動物も。19世紀以降の写真技術の登場によって網羅的な博物図譜が出版されることは減ったものの、いま改めて博物画を眺めると、その精緻な筆跡や構図の選び方などに、写真や絵画では表現できない独自の美意識が感じられます。
いまから100年前の日本は大正9年。近代化があらゆるところで進み、その一方で第一次世界大戦後の恐慌が起こったりと騒がしい時代でした。人間の平均寿命だと少し足りない100年という時間。これらの本を通して見えてくる、各分野のミニマルな歴史に思いを馳せてみてください。
2020/12/01(火)(artscape編集部)
カタログ&ブックス | 2020年11月15日号[近刊編]
展覧会カタログ、アートやデザインにまつわる近刊書籍をartscape編集部が紹介します。
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企画展示図録「性差(ジェンダー)の日本史」
無意識のうちに私たちを強くとらえているジェンダー。その歴史は、驚きと発見に満ちています。企画展示「性差(ジェンダー)の日本史」では、歴史の面白さを満喫しながら、ジェンダーにとらわれず、誰もが自分らしく生きられる社会を築く手がかりを見つけていただけるのではないでしょうか。
実況・比較西洋建築史講義
“比較”であぶり出す建築史の実験
版を重ねた『実況・近代建築史講義』の姉妹篇。本書では古代ギリシアからルネサンスの始まりまでを扱う。聴けば建築史が好きになる早稲田大学の人気講義をまるごと収録。「歴史とは、少なくとも二つ以上の事象の間に発生する想像的な時空のことである」。複数の建築物・事象を比較によって類推し、なぜそのように構築されたのかを、歴史的背景とともに、実況形式でわかりやすく解説。代表的な建築物と当時の時代精神、新たな構法が導入され課題が克服されてゆく変遷の様子が、多数の図版と併せ、歴史の動力と関係づけて理解できる、面白さ抜群の中谷建築史第二弾。付録地図付。
エアロゾルの意味論 ポストパンデミックの思想と芸術 粉川哲夫との対話
ウイルスの時代を背景に交わされる、美術家と思想家の往復書簡。文明と歴史、人間と自然、ブラック・ライヴズ・マター、インフォデミック──世界への、広く深き思考の交感。
別府
環境計画からアートの現場に越境し、幾多のプロジェクトを実践してきた著者が、世界有数の温泉地・別府を舞台に虚実織り交ぜ綴る、芸術とまち、芸術と環境を巡る思考の旅。
この星の絵の具 中 ダーフハース通り52
伝説のキュレーター、ヤン・フートに招かれ、小林はベルギー・ゲントの地に降り立った。
なにもわからず飛び込んだのは、国際的なアートシーンのど真ん中。世界的なアートピープルやアーティストらが交差する開かれた世界で、小林は、ダーフハース通り52番地にスタジオを構え、新たな作品制作にとりかかる。
ゲントの光は芸術家としての眼を開かせ、啓示にも似た直感を得た小林は、やがてオリジナルな絵画スタイルを獲得する。そして、新しいミューズとの出会い……。
異国の地での挫折や成功を経て、自身の芸術を追い求める姿を自伝小説の形式で語るビルドゥングスロマン3部作の第2作。
建築学生ワークショップ東大寺2020 全国の大学生を中心とした合宿による地域滞在型ワークショップ全収録
2020年に東大寺で行われた建築学生ワークショップのドキュメントブック。各班の作品紹介、式辞、総評などを収録する。取り外せる冊子「プロセス(実施制作に向けた経緯)」付き。
たね
アーティスト・ときたまの全編iPhone写真による写真集。2016年から、アフターコロナまでをカバーした2020年5月までの膨大なデータからプリントした約5000枚から、391点が写真集に収録されています。
KYOTOGRAPHIE 2020 Catalogue+Visual Book
京都を舞台に開催される国際的な写真祭「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭」の2020年度公式カタログ。
HAPS 事業報告書 2019年度
東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)の2019年度の活動をドキュメントしたアニュアルブック。
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2020/11/15(日)(artscape編集部)
カタログ&ブックス | 2020年11月1日号[テーマ:食べる]
テーマに沿って、アートやデザインにまつわる書籍の購買冊数ランキングをartscape編集部が紹介します。今回のテーマは、京都dddギャラリー(京都府)で開催中の「食のグラフィックデザイン」にちなみ「食べる」。このキーワード関連する、書籍の購買冊数ランキングトップ10をお楽しみください。
「食べる」関連書籍 購買冊数トップ10
1位:大正昭和レトロチラシ 商業デザインにみる大大阪
大正14年(1925)、東京市を抜いて日本第1位、世界第6位のマンモス都市に膨張した大阪市。「大大阪」と称された華やかな時代の秀選チラシ約360点を、「買う」「食べる」といった6つのテーマに分けて収録する。
2位:結局できずじまい(SHINSUKE YOSHITAKE Illust Essay Books)
おしゃれ、ボウリング、柔軟体操、キレイに食べる、パソコンへの心構え、献血、お祭りをエンジョイ、自発的な行動…。なんでこんな簡単なことができないんだろう? 「自分のできないこと」をテーマにしたお話をまとめた、誰もが感じるモヤモヤを描いたイラストエッセイ。
3位:ゴッホ原寸美術館 100% Van Gogh!(100% ART MUSEUM)
ゴッホの名画を迫力の原寸で再現! 《ジャガイモを食べる人々》《アルルの跳ね橋》《夜のカフェ・テラス》《ひまわり》《星月夜》《糸杉》など、初期から晩年まで、ゴッホの代表作を厳選。力強い筆触やマティエール(絵肌)などゴッホ作品の魅力を原寸図版ならではの迫力で再現。また、制作時期による「自画像」や「肖像画」の変貌や、「ジャポニスム(日本趣味)」との関わり、風景画や静物画における様々な挑戦、さらに素描や水彩画など、その画業を通じて試みた技法と様式の多様性・変遷を概観。
4位:世界のSweets & Dishes(ぬり絵BOOK)
カラフルなスイーツ、湯気をあげるジューシーな料理、旬の食材。国は違えど、おいしいものはみんなの心をわくわくさせてくれます。作っている風景や食べる人々の笑顔も、おいしいスパイス。本書はそんな「食」をテーマにしてぬり絵を作りました。
5位:見てすぐ描ける動物スケッチ イヌ38種・ネコ16種・野生動物80種を見る・読む・描く
「走る」「歩く」「おすわり」「食べる」「身づくろい」など、イヌ、ネコ、草食動物、食肉・雑食動物、サル目の様々な動作を描いたスケッチを、各動物に関する知識とともに収録。
6位:この椅子が一番! 椅子に関わる専門家100人が本音で選んだシーン別ベストな椅子とは…
家具デザイナー、建築家、インテリアショップ店長、家具メーカー商品開発担当者など、椅子に関わる専門家100人に、名作椅子ベスト20.座りやすい椅子ベスト10・ワースト10、仕事がバリバリはかどる椅子、パスタを食べる時に座りやすい椅子、5歳の子どもに座らせたい椅子など、約40項目のアンケートを実施。その回答を基に、それぞれの項目に適する椅子をベスト20、ベスト10、ベスト5形式で紹介する。
7位:はりねずみのあずき&もなかポストカードブック
はりねずみ界の大スター、父あずき&娘もなかのポストカードブック
インスタグラムでりんごを食べるあずきの動画が海外メディアの目にとまり紹介されたのをきっかけにフォロワー数が激増し、一躍スターとなったあずき。今回、素敵なポストカードブックを発売。窓辺、キッチン、リビング、バスルーム、書斎……。人間世界でいたずらをする父あずきと娘もなかとのストーリー。ファンタジーの世界を表現したスタイリングで撮りおろした作品は、SNSでは見られないプレミアム感満載です。
8位:柳家喬太郎江戸料理平らげて一席
柳家喬太郎が語る、江戸の食が要の噺35席
いま実力・人気ともNo.1の若手落語家・柳家喬太郎が、江戸の食が噺の要になっている落語について語ります。師の豊富で深い蘊蓄、そして演者としての視点からの演じ所、聞き所のツボが、高座そのままの軽妙な語り口で展開。喬太郎師匠の、“読む落語”とも言える一冊です。本寸法の古典落語34席に、自身の新作『寿司屋水滸伝』も入った、厳選35席。読んだら食べたくなってしまう、そんな江戸料理ラインナップには、料理そのものの歴史や解説も。落語を聞いた後、登場する料理を食べながら居酒屋で蘊蓄を一捻り、と言う、ひと味違う落語通を気取れる豆知識も付いています。
9位:池波正太郎の世界(コロナ・ブックス)
「散歩」と「食べること」の達人、「映画」の見巧者、そして「猫」を愛した東京人−池波正太郎。人を惹きつけてやまないその男振りを、エッセイ、写真、スケッチの数々で再び甦らせる。
10位:いろは落語づくし 1 落語からわかる江戸の食
芋から酢豆腐、雲古まで、落語に出てくる食べ物噺を楽しむ一冊。「うまいもん」をいろはの順に並べ、それが登場する落語とともに紹介。落語が完成したとされる江戸時代の庶民の暮らしも一緒に味わえる。
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artscape編集部のランキング解説
食は人なり。医食同源。食べることにまつわることわざや慣用句は数多くありますが、食は私たちが健康に生きるうえで必要不可欠なものであるという以上に、食べることが何よりの人生の喜びでありエンターテイメントという人も少なくないのではないでしょうか。
「食べる」というキーワードで抽出した今回のランキング。『柳家喬太郎江戸料理平らげて一席』(8位)、『いろは落語づくし 1 落語からわかる江戸の食』(10位)と、落語に関する本が2冊もランクインしているのが興味深いポイントです。そのいずれもがテーマにしているのは、江戸時代に食べられていた料理の数々。蕎麦を啜ったりお酒を飲んだり、噺家の洗練された身振りを通して見えてくる食の風景はいつも美味しそうですが、数多くの噺を食という視点で掘り下げると、江戸の庶民の食文化の奥行きに驚かされること間違いなし。
『りんごかもしれない』や『もう ぬげない』、『りゆうがあります』などの絵本で知られるヨシタケシンスケの『結局できずじまい』(2位)は、著者が「うまくできない」と感じる日常のあれこれをユーモラスな筆致で綴ったイラストエッセイ。その中で、ごはんをキレイに食べることができないというジレンマに共感する人は実は多そうです。生活のさまざまなシーンごとに適した椅子を専門家たちが選び紹介する6位の『この椅子が一番! 椅子に関わる専門家100人が本音で選んだシーン別ベストな椅子とは…』では、「パスタを食べる時に座りやすい椅子」というピンポイントなシチュエーションまでカバー。食以外のシーンを通しても、椅子というプロダクトの想像以上の多様性を知ることができるユニークな一冊です。また、「食×本」を語るうえで外せない、数多くの優れた食のエッセイを遺した文筆家・池波正太郎の世界を総覧できる一冊もやはりランクイン(9位)。
食欲の秋、京都dddギャラリーで開催されている「食のグラフィックデザイン」展では、広告をはじめとした古今東西の食にまつわるグラフィックデザインが一堂に会しています。食べる楽しみを伝えるものだけでなく、フードロスなどの社会問題を提示し、私たちに問いを投げかけるのもグラフィックデザインの役割。今回ランクインした本たちも、生きることと切り離せない食を考える、新しい手がかりになることを願います。
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絵画の力学
芸術を経験することとは、振動する差異と諸力のただなかに巻き込まれることだ。芸術の思考=批評はそこから開始される。
アンディ・ウォーホル、ジャクソン・ポロック、バーネット・ニューマン、カール・アンドレ、ロバート・モリス、香月泰男、福沢一郎、辰野登恵子、高松次郎、ゴードン・マッタ゠クラーク、ロザリンド・クラウス、クレメント・グリーンバーグ、イサム・ノグチ──。
「美術手帖」芸術評論募集第一席を受賞した著者による堂々たる初の単著。単行本書き下ろしとして、イサム・ノグチ論「火星から見られる彫刻」を収録する。美術批評の新たな達成。
佐賀町エキジビット・スペース 1983–2000 現代美術の定点観測
パルコなどの企画広告ディレクターであり、プライベートブランドの先駆けでもある「無印良品」の発案立ち上げなどに関わった小池一子は、東京都江東区佐賀にあった食糧ビル(1927年竣工)を修復し、1983年に佐賀町エキジビット・スペースを開設しました。(中略)行われた展覧会は106回、関わったアーティストは400人以上にのぼり、2000年12月に幕を閉じるまで、多種多彩な現在進行形の美術を発信し続けました。本書は、その一連の活動を「定点観測」という言葉に集約し、1983年から2000年までの全展覧会会場風景と、当時出展した作品約50点を展示する展覧会のカタログをかねた、佐賀町エキジビット・スペースと、日本の現代美術の軌跡を辿る決定版です。
「ユーザーフレンドリー」全史 世界と人間を変えてきた「使いやすいモノ」の法則
車のハンドル、コンピュータのデスクトップ、iPhone、「いいね!」ボタン…私たちの生活をガラリと変え、瞬く間に定着した数々の大ヒットデザインはなぜ生まれ、そうでないものはなぜ姿を消していったのか? 現代の私たちを取り巻くすべてのモノの根底にある「人間が使いやすい=ユーザーフレンドリー」という概念が生まれて発達してきた100年余りの歴史をたどりながら、生活やビジネス、思考といった人間の営みにデザインがいかに深く関わっているのかを考察する、現代デザイン文化史の決定版。
デザイン偉人伝 WHO DESIGNED FIRST?
「デザイン」という言葉が生まれる以前からデザインの偉業は成されていた! トリミングの達人・俵屋宗達、オールオーバーの先駆者・モネなど、偉人たちの手法や着想のヒントを時代背景とともに解き明かす。目からウロコのデザイン史!
工夫の連続 ストレンジDIYマニュアル
視点を変えるだけで、あらゆるものは素材になる。ゼロから考えずに、すでにあるものをハックする方法を獲得しよう。まわりの環境を変える工夫を身につければ、世界はより豊かで楽しいものになる! 自由に形を考えられるフルーツ・ボウルから駅の階段を使った劇場まで、さまざまなスケールのものを自らの手で作り、考えるための画期的なDIYマニュアル。ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展への出展などで注目を浴びる建築家、元木大輔による初の著書!
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2020/10/15(木)(artscape編集部)