artscapeレビュー
建築に関するレビュー/プレビュー
安藤忠雄《亜州大学現代美術館》
[台湾、台中市]
亜州大学の現代美術館へ。安藤忠雄の設計だが、現地に行くと彼の名前をとって「安藤美術館」の表示がある。三角形のモチーフを使い、全体から細部まで統一してデザインされている。3階に上がると、三角形の展示室から外に視界が開け、外周でサン・ピエトロ大聖堂風の図書館を含むキャンパス全体を見渡す。幾何学のルールによって生じる三角形や平行四辺形の部屋は、うまく展示に使われていたこともあり、意外と気にならなかった。
2016/12/29(木)(五十嵐太郎)
921地震教育園区
[台湾、台中市]
台中へ。921地震教育園区を初めて訪問する。1999年に2,500人近い死者を出した巨大地震のメモリアルであり、防災教育を啓蒙する施設だ。ちょうど断層の上だったために破壊された中学校を活用する。驚かされるのは、上下左右に激しくズレた運動場。さすがに、どんな屈強な構造、耐震や免震だろうと、地面が割れて、こんなに動いたら建築は絶対に壊れる。この裂け目を縫うように膜の屋根をかぶせる。設計はJAY W.CHIUほか。さらに進むと、アクリルの柱で補強した壊れた教室群が視界に入る。映像体験の展示を抜けると、ぺしゃんことしか言いようがない無惨な校舎があり、ブリッジを渡ると、上から見学できる。百聞は一見に如かず。が、日本だと、残念ながら、こういう震災遺構は残らない。
2016/12/29(木)(五十嵐太郎)
益品書屋
[台湾、台北市]
さらに仁愛路の益品書屋へ。ここもビルの一階部分が興味深い図書空間になっていた。150席あり、100元(約400円)でフリードリンク、時間制限なしで、2,500冊のヴィジュアルブックを閲覧できる。滞在時には音楽の生演奏もしていた。漫画喫茶ではなく、わりとデザイン系の本が多く、日本でもこういう場が欲しい。
2016/12/28(水)(五十嵐太郎)
《VVG chapter》《齋東詩舍》
VVG chapter、齋東詩舍[台湾、台北市]
古い日本家屋を改修し、予約でしか入れない図書スペースのVVG CHAPTER文房へ。2016年にグッドデザイン賞に選ばれた物件である。2時間ごとの入れ替え制で、一度に12名までを事前に受け付け、ぜいたくな時間と空間を過ごすことができる。しかも、お茶とお菓子を無料で提供する。誠品書店が登場したときにも驚いたが、VVGもすごい。カッコいい、先端的な図書空間である。
近くにある《齋東詩舎》へ。これも官舎だった25号と27号、二棟の日本建築を改造したものである。陳瑞憲のリノベーションによって、詩や文学の展示施設と活動の場に生まれ変わった。床を掘り下げた畳の空間、付書院介入、押し入れにぴったりと入る展示用の什器など、心憎いデザインが室内で展開される。
写真:左列、右上=VVG CHAPTER文房 右下=齋東詩舍
2016/12/28(水)(五十嵐太郎)
迪化街
[台湾、台北市]
台北の迪化街を久しぶりに訪れた。最初に来たときは独自に西洋の様式を解釈した近代建築がよく残っているエリアという印象だったが、いまはリノベーションによる再生物件が増え、おしゃれな店が目立ち、観光客でにぎわう。横浜も東京も、昔はこんなストリートがたくさんあったはずなのだが、ほとんど壊滅しているのは残念である。
2016/12/28(水)(五十嵐太郎)