artscapeレビュー
建築に関するレビュー/プレビュー
《台北パフォーミングアーツセンター》
[台湾、台北市]
OMAによる《パフォーミングアーツセンター》を見る。都市間競争のなかで、台中の国家歌劇院に対抗して新しくできるモニュメントだ。昨年だいぶ完成していたので、仮囲いはもうないのかと思いきや、まだ残っており、全容はわからない。とはいえ、夜空を背景に球体部分だけがむき出しで飛び出し、むしろ異様な雰囲気を漂わせていた。そばを通り過ぎる観光客もぎょっとして見上げており、アイコン建築の役割としてはすでに完成している。
2016/12/27(火)(五十嵐太郎)
国立故宮博物院
[台湾、台北市]
台湾へ。およそ20年ぶりくらいで故宮博物院を訪れた。やはり、ここのコレクションはどのジャンルも、すさまじいものばかりである。特に《九層象牙球》の究極の手技芸は、以前見たときと同じ感想になるのだが、いまでもコンピュータ制御によって、まだこのレベルの精緻さは実現できないのではないかと思うほどだ。フィクションでもよいから、この作品をつくった職人の物語を読んでみたい。またショップにおける書画や所蔵品のカタログの充実ぶりはすごかった。これは日本でも見習うべきである。
写真:上から、《国立故宮博物院》、九層象牙球、翠玉白菜ほか
2016/12/27(火)(五十嵐太郎)
妹島和世《すみだ北斎美術館》
「新しい建築の楽しさ2016」展
会期:2016/11/08~2017/03/04
バンバタカユキの会場デザインが軽やかに模型が宙に浮くような雰囲気、そして外の風景も混ざっていくような効果を巧みに生み出す。今回は6組の若手建築家が出品しているが、リノベーションの多さに時代を感じる。山岸綾によるあいちトリエンナーレ2016の豊橋会場、神本豊秋の品川ビル再生計画などである。
写真:上から、バンバタカユキの会場デザイン、山岸綾によるあいちトリエンナーレ2016の豊橋会場、神本豊秋の品川ビル再生計画
2016/12/21(水)(五十嵐太郎)
マギーズ東京
[東京都]
オープンしたばかりのマギーズ東京へ。建築批評家のチャールズ・ジェンクスの妻ががんを体験したことから始まった精神ケアの施設で、建築にこだわり、ジェンクス、ザハ・ハディド、OMA、フランク・ゲーリー、黒川紀章らもイギリスでデザインを手がけたものが、日本で初登場した。阿部勤がコーディネイトした本館と、日建設計の勝矢武之らによる実験的な木造ギャラリーも新木場から移設して、連結させる。現場で知ったのだが、家らしさをもつマギーズ東京は豊洲市場の真向かいだった。なるほど、完成したこの巨大施設を使わないとしたら、究極のもったいない、である。TBSの豊洲新劇場は自業自得の感はあるが、もし風評被害でマギーズ東京の活動にも悪影響が出るなら、ひど過ぎる。
写真:左列=マギーズ東京 右列=豊洲市場
2016/12/18(日)(五十嵐太郎)