artscapeレビュー
建築に関するレビュー/プレビュー
黄金町バザール2016 アジア的生活
会期:2016/10/01~2016/11/06
黄金町エリアマネジメントセンター[神奈川県]
毎年恒例のイベントとなり、アジアの作家が多く参加する平常運転の展示だった。個人的にはユ・ソンジュンや津川奈菜の絵が印象に残る。ハツネウィングでティエムラボやパーシモンヒルズアーキテクツがリノベーション的な空間デザインを行なう。横浜にぎわい座では、西倉潔、安田博道、敷浪一哉、青島琢治らの建築家が展示していた。ただし、模型はケース越しではなく、生で見たかった。
写真:左=上から、パーシモンヒルズアーキテクツ、ティエムラボ 右=上から、津川奈菜、西倉潔、ユ・ソンジュン
2016/11/05(土)(五十嵐太郎)
藤森照信《多治見市モザイクタイルミュージアム》
[岐阜県]
多治見のモザイクタイルミュージアムへ。とぼけた輪郭と極小窓とすり鉢外構でぐいっと心をつかむ。洞窟風の階段を上ると、風呂場タイルなどの屋外展示に、なぜかクラシック(パッヘルベルのカノン等)が流れ、なんともキッチュである。一方、室内や裏側は割と普通のデザインだ。ともあれ、つい触りたくなる藤森建築はモザイクとの相性もよく、観光バスが訪れるほど、集客に大成功していた。
2016/11/04(金)(五十嵐太郎)
BankARTスクール2016 鎌田友介・加藤直樹「シェアスタジオ旧劇場について」
会期:2016/11/03
BankART Studio NYK[神奈川県]
横浜建築家列伝において、最年少となるアーティストの鎌田友介と建築家の加藤直樹をゲストに迎える。彼らがハンマーヘッドスタジオで知り合い、ストリップ劇場をリノベーションしたシェアスタジオ「旧劇場」を拠点とした経緯を語ってもらう。ハンマーヘッドスタジオ出身のクリエイターで、ほかにあまりそうした事例はないようだ。そして加藤からはインテリアのプロジェクト、鎌田からは空襲やアントニン・レーモンドなど、建築の記憶をアートに昇華した作品が紹介された。
2016/11/03(木)(五十嵐太郎)
パウロ・メンデス・ダ・ローシャ展
会期:2016/09/24~2016/11/20
GA Gallery[東京都]
パウロ・メンデス・ダ・ローシャ展へ。ブラジルのモダニズムといっても、活動する時期としては21世紀の現代にも食い込み、国ごとの潮流の違いを感じさせる。力強いダイナミックな造形が緊張感を孕んでいる。同じくブラジルのオスカー・ニーマイヤー、リナ・ボ・バルディの展覧会に続き、野口直人が模型を手がけたおかげで、立体的な展示になっていた。
2016/11/03(木)(五十嵐太郎)
Under 35 Architects exhibition 2016 記念シンポジウムII
大阪駅中央北口前 うめきたシップホール[大阪府]
毎年秋の恒例になったU-35建築展@シップホール。今回は五十嵐淳が公募から選んでいるが、いつもとは違い、実施作のみではなく、プロジェクト段階の建築も入っているのが特徴だ。川嶋洋平は、道路に線を引く修士設計から、リニアな空間単位を組み合わせた集合住宅までを紹介する。小引寛也+石川典貴は、土木、公共への視野を打ち出しつつ、石巻の石の祈念堂を展示する。酒井亮憲はイギリスから輸入した椅子とその配置、床パターンから教会のあり方を考える。竹鼻良文は幾何学的な造形によって他分野との交流を積極的に展開しながら、同時に街づくりなどさまざまな活動に取り組む。前嶋章太郎は、ぶどう畑の原風景を抱きつつ、グリッドに基づく、ポリカーボネイトに囲まれた軽やかな野菜畑の倉庫や住宅を提示する。松本光索は、3カ月住み込みながらの民家リノベのギャラリーを1/1スケールで切り取りながら展示を行なう。高池葉子は準備できない状況となったらしく、残念ながら欠席だった。U-35の記念シンポジウムでは、前半はまず、伊東豊雄のレクチャーが行なわれ、2勝4敗のコンペ事例を紹介する。続いて出展者がプレゼンを行ない、後半は討議となった。伊東は建築が内向せず、社会に開き、接続することで次世代の建築を見せて欲しいとメッセージを送る。そして、伊東賞は、ヘンに力まない、さわやかな畑の倉庫の前嶋に贈られた。
写真:左=上から、川嶋洋平、小引寛也+石川典貴 右=上から、竹鼻良文、前嶋章太郎、松本光索
2016/10/29(土)(五十嵐太郎)